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ドリトル先生と桜島

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第七幕その二

「半分以下の戦力で戦わざるを得ないなら」
「そのことがわかっていたらね」
「武田家も必死だよね」
「自分達の劣勢は明らかだから」
「武田家の総大将勝頼さんも迷ったんだ」
 この人もというのです。
「織田家の強さもわかっていたしね」
「愚かな人じゃなかったんだよね」
「よく悪く言われてるけれど」
「その実はね」
「結構優秀な人だったのよね」
「そうだよ、事実徳川家康さんには一度も負けていないよ」
 この人にはというのです。
「長篠の後も滅びるまでずっとね」
「家康さんには勝っていたんだね」
「家康さんも強かったけれど」
「その家康さんにもなんだ」
「そうだよ、家康さんは武田家とその家臣だった真田家にはね」
 この二つのお家にはというのです。
「結局勝ったことがないんだ」
「大坂の陣でもね」
「あれは負けてるしね」
「冬の陣でも夏の陣でも」
「どちらでもね」
「夏の陣の時は危なかったしね」
 真田幸村さんの最後の攻撃の前にです。
「三方ヶ原では散々に負けてね」
「あの戦い有名よね」
「家康さんが惨敗した戦いだって」
「そうね」
「そう、そしてね」
 そのうえでというのです。
「長篠の戦いの後でもね」
「勝ってないんだ」
「武田家には」
「その戦いでかなり弱まったのに」
「そうだったんだ、それだけ強かったんだ」
 武田家はというのです。
「勝頼さんもね」
「そう思うと侮れないね」
「勝頼さんも強かった」
「決して愚かではなかった」
「そうした人だったのね」
「そうだよ、だから劣勢を察して撤退も考えたけれど」 
 織田家は自分達の倍以上の戦力を擁していると知ってです。
「そこで後ろを攻められて」
「啄木鳥だね」
「叩いたところから出た虫を食べる」
「その要領だね」
「川中島でお父さんの信玄さんがしようとした戦術をね」
 上杉謙信さんに対してというのです。
「時と場所は違うけれどね」
「信長さんもしたんだね」
「長篠の戦いにおいて」
「そうしたのね」
「それで勝頼さんも戦わざるを得なくなって」
 そうなってというのです。
「それならもう一気に敵軍をね」
「叩く」
「その布陣を敷いたんだね」
「けれどその武田家に対して」
「織田家、つまり信長さんは」
「三千丁の鉄砲だけでなくね」
 これに加えてというのです。
「川を前にして」
「それで武田家の突撃を防ぐ」
「川があると障害物になるから」
「まずそれがあるね」
「そこにさらに柵も造ったからね」
 このこともあってというのです。 
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