八条学園騒動記
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第七百五話 巨人の様にその十
「情報収集能力そして謀略だ」
「確かに謀略家ですね」
「こと買収においてはな」
伊東はこれが上手だと裏でよく言われている、謀略といっても別に暗殺や破壊工作を行う訳ではないのだ。
「誰よりもだ」
「上手ですね」
「相手を陥れることは好まない様だが」
「こちらに引き入れる為のですね」
「買収はだ」
これはというと。
「連合の誰よりもだ」
「上手ですね」
「相手の欲しいものを突き止めてだ」
まず情報収集を行いそうしてというのだ。
「その欲しいものを差し出す」
「お金なり何なりですね」
「そうしてだ」
「相手を買収する」
「若し金銭欲がない者でもだ」
「他のものですね」
「例えば女好きだったりするとな」
買収しようと考えている相手がだ。
「その相手の好みの女性も把握してな」
「そうした女性を提供する」
「風俗嬢に声をかけてな」
「風俗嬢ですね」
「風俗嬢と店の経営者にそっと話してな」
そしてというのだ。
「協力を願う、連合でああした店の関係者は他の職業よりも口が堅い」
「それも極めて」
「客の嗜好を知っていてもな」
「そして誰が来てもですね」
「言わないのが店のルールだからな」
「それも絶対の」
「だからだ」
それ故にというのだ。
「あの首相殿が工作を要請し報酬を約束するなら」
「その工作にも乗りますね」
「そして風俗嬢の中からだ」
「相手の好みの女性を選び行ってもらう」
「それで買収する」
「そうもしますね」
「人間には欲がある」
大尉は正面を向いて強い声で話した。
「誰でもな、だから何かしらの買収はだ」
これはというのだった。
「可能だ」
「誰であっても」
「欲が薄い人間はいてもだ」
「欲はない人間はいない、ですね」
「それこそ仏教で言うな」
尚エウロパには仏教徒は存在しない、連合各国で信仰されているがあくまで連合だけの仏教である。発祥の国であるマウリアではヒンズー教の一派であると考えられているがこれは釈尊がヴィシュヌ神の転生の一つと考えられているからだ。
「解脱してだ」
「仏ですね」
「それにならないとだ」
「欲はありますね」
「特に連合はな」
「欲を肯定している社会ですね」
「欲があるからこそ人はよくなろうと思ってだ」
そうしてというのだ。
「励み社会を発展させる」
「求めるものは働き手に入れろですね」
「そうした考えの社会だからな」
「欲はですね」
「かなり肯定してな」
「欲が深いですね」
「そうした国だ、あの首相殿はそのことも理解してだ」
そのうえでというのだ。
「買収を仕掛ける」
「そうした御仁ですね」
「だからだ、手強い」
「ただ小柄だけではないですね」
「そうだ、忌々しい巨人達の中の小人だが」
連合のというのだ。
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