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八条学園騒動記

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第七百五話 巨人の様にその九

「かなり強い、連合で一五〇センチとなるとな」
「成人女性の平均が一八〇なので」
「かなりだ」
 そう言っていいまでにというのだ。
「小さい」
「頭一つ分はですね」
「そうだがな」
「巨人の中の小人ですね」
 上等兵はここでこんなことを言った、大柄な連合市民の中では伊東はそうしたものだというのである。
「そうですね」
「言われてみるとな」
「左様ですね」
「彼女はな」
 まさにというのだ。
「そうしただ」
「人物ですね」
「だがな」
「それでもですか」
「能力は確かだ」
 このことはというのだ。
「それ故日本にとってだ」
「有益な人物ですね」
「その為支持率も高い」
「教養と学識があり」
「頭の回転が速くな」
 伊東、彼女はというのだ。
「そして決断もな」
「速いですね」
「また自分が間違えているとなるとな」
「軌道修正もしますね」
「そこがいい、人も意見も聞くしな」
 伊東にはこの長所も備わっているのだ。
「一度決めたことを変えないことはいい時もあれば」
「間違えたまま進むこともありますね」
「人の意見を聞かずだ」
 これをワンマンと呼ぶ場合もある。
「考えを変えないならだ」
「時として最悪の結果をもたらしますね」
「そうした人物が組織のトップになるとな」
 そうした場合はというと。
「時として取り返しのつかない事態にもだ」
「陥りますね」
「だがあの御仁は違う」
 伊東はというのだ。
「頭は柔軟だ」
「軌道修正もしますね」
「生粋の学者でありな」
 そうしてというのだ。
「政治家だ」
「まさにですね」
「首相は狐でいい」
 大尉は確かな顔で述べた。
「頭がいいならな」
「そこが君主と違いますね」
「立憲君主となるとな」 
 この国家システムでの君主はというのだ、連合もエウロパも全ての君主国はそうしたシステムとなっている。
「権威であることがな」
「重要ですね」
「そうなる、だが首相はな」
 この立場の者はというと。
「権威はだ」
「いらず」
「求められる能力はな」 
 それはというと。
「政治家としての能力でな」
「あの首相殿はそれがありますね」
「知識と長期的でかつ広い視野とな」
 伊東はこうしたものを兼ね備えているというのだ。 
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