八条学園騒動記
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第七百五話 巨人の様にその四
「考える」
「そうした国ですね」
「その中に三百以上の国があるが」
「どの国もですね」
「そうだ、二度と植民地にならずだ」
「支配されない」
「搾取されない為にな」
そう考えてというのだ。
「考える時もな」
「動きを止めないですね」
「癪だが」
大尉はこう前置きして言った。
「連合は何も考えないか」
「そうした国ではないですね」
「ただ動くだけでなくな」
「考えてもいますね」
「蟻や蜂は考えていない」
「働き蟻等は」
「ただ本能に従ってだ」
そのうえでというのだ。
「動いている、昆虫も知能はあるが」
「人と比べるとそれは低いですね」
「著しくな」
「だから本能とですね」
「私も言った」
そうだったというのだ。
「その様にな」
「そういうことですね」
「蟻や蜂ならそうだが」
「連合はですね」
「考える、それも猿どころかだ」
「人間ですね」
「連合の者達を侮るな」
大尉は上等兵に言った、語る顔にあるその目はこれまで以上に強く鋭い光を放っていた。その光が全てを語っていた。
「決してな」
「はい、侮るとですね」
「そこでだ」
「しくじりますね」
「二次大戦まで我々はだ」
「有色人種を下に見ていましたね」
「そうだった」
白人至上主義のことを言うのだった。
「もっと言えばそれからもだ」
「下に見ていましたね」
「長い間な、だが」
「彼等を侮ることは」
「駄目だ、侮ってだ」
かつてはというのだ。
「そしてだ」
「今がありますね」
「連合創設前からな」
「何度もでしたね」
「連合は出し抜いてきた」
「そうでしたね」
上等兵も頷いた、周りに自分達がエウロパの工作員であることは悟られない様にそのうえで話をしていた。
「何度も何度も」
「それを見てもな」
「連合の者達はですね」
「決してだ」
「侮れないですね」
「その頭もだ」
「悪くないですね」
「確かに品性はない」
このことは事実だというのだ。
「連合はな、しかしだ」
「愚かではないですね」
「勤勉でな」
それでというのだ。
「そうだ」
「そうしたことは事実ですね」
「嫌ってもいい」
大尉はそれはよしとした。
「しかしだ」
「侮ってはならないですね」
「それは相手の見方を誤る」
「そして失敗しますね」
「だからエウロパは二次大戦でだ」
「叩きのめされましたね」
「日本にな、欧州各国は衰退し」
二次大戦で受けた傷によってだ。
ページ上へ戻る