八条学園騒動記
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第七百四話 休まず動く国その一
休まず動く国
大尉は上等兵と共に食堂で昼食を食べ終えるとまずはだった。
喫茶店に入った、そこで向かい合って座ってコーヒーを飲んだ。上等兵が飲んでいるのは紅茶だった。
共に飲みつつだ、大尉は言った。
「食事の後はな」
「こうしてですね」
「休むことだ」
「そうですね、こうしてです」
「落ち着いてな」
「コーヒーや紅茶を飲みながら」
「そうするものだが」
それがというのだ。
「連合ではな」
「喫茶店で飲んでも」
食後にというのだ。
「しかしです」
「そうしてもな」
「お喋りをしたり勉強をしたり」
「本を読んだりな」
「飲みつつ」
「休憩なぞだ」
本当の意味でのそれはというのだ。
「全くだ」
「していませんね」
「連合に食休みはない」
「食べればですね」
「昼休みはあってもな」
「実際は遊んでいて」
「それでだ」
そうしていてというのだ。
「休むことはな」
「しないですね」
「休むことは即ちだ」
それはというと。
「睡眠だ」
「寝ることですね」
「寝ていない時はな」
まさにというのだ。
「常にだ」
「動いていますね」
「働き学び遊んでな」
そうしていてというのだ。
「全くだ」
「止まらないですね」
「流石に寝ている時は止まるが」
それでもというのだ。
「しかしな」
「それでもですね」
「その時以外はな」
まさにというのだ。
「常にだ」
「動いている国ですね」
「全く休まずな」
そうしていてというのだ。
「そうした国だ」
「左様ですね」
「だからだ」
「このこともですね」
「品がないとな」
「言えますね」
「アリスではないのだ」
大尉は不思議の国の方も鏡の国の方も入れて話した。
「必死に前に進まないとだ」
「そこにいられない床でしたね」
「そうだ、それではないのだ」
「休まずに動くままというのは」
「確かに働き学ぶことはだ」
「必要です」
上等兵は確かな声で答えた。
「人であるのなら」
「当然のことだな」
「働かなくてはです」
「それが何でありな」
「人として生きるなら」
そうであるならというのだ。
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