おっちょこちょいのかよちゃん
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292 皇帝(ハン)の息子達
前書き
《前回》
りえは杉山によって藤木が戦争主義の世界に来た経緯および過去の記憶を視聴し、藤木のクラスメイトから卑怯呼ばわりされた過去を知る。その頃、西部の領土の奪還を目指しているすみ子達組織「義元」は夜に敵の世界の人間の襲撃を受ける。その敵は燕王・チンキム、安西王・マンガラ、北平王・ノムガン。彼らは高校の文化祭の時に交戦したフビライの息子達だった!!
とある場所で赤軍達は移動後の疲れを休めていた。
「総長、随分と劣勢になってますけど逆転のチャンスなんてあるんですか?」
丸岡が房子に聞いた。
「ここでおびき寄せれば杖も護符も私達の物になれるのよ。そうすればレーニン様も喜ぶはず」
「しかし、剣をどう取りますか?平和主義の世界にありますし、俺が足立と吉村を取り返した時のように同じ手は使えないはずですが」
「それはその後考えるしかないわ」
かよ子はまる子と友蔵が食べた後すぐに眠くなって寝てしまっていたのを見て相変わらず呑気だと思った。同じおっちょこちょいでも自分はいつ襲われるかわからないと見てなかなか寝付けない。
「そういえば・・・」
「どうした?」
次郎長が聞いた。
「藤木君達は北の方へ行ったって事はあそこにはもっと手強い人がいるのかな?」
「おそらくそうであろう。赤軍の連中もその方に集約しておるだろうしな」
「うん・・・」
かよ子は懸念した。敵が集まっているという事は自分も杖が狙われやすくなると。
(杖が取られないように何としても藤木君を取り返さないと・・・!!)
すみ子達はフビライの三人の息子・チンキム、マンガラ、ノムガンに翻弄されていた。
「ど、どこなの・・・!?」
その時、何かの衝撃波がすみ子達を襲う。
「させるか!」
ジャンヌが聖マルグリットの能力を借りて防御した。
「濃藤すみ子、お前の銃で全てを守るのだ!」
「うん・・・!!」
すみ子は銃を周囲に幾度も乱射した。
「このマンガラの衝撃波を舐めてもらっちゃ困る!」
マンガラの衝撃波がすみ子が何重も出した結界を破ろうとした。だが、衝撃波で破られてもすみ子は銃の使用をやめなかった。
「ノムガン、お前の番だ!」
「おう!」
すみ子が出した結界が消えた。すみ子はもう一度銃で結界を出そうした。しかし、出てこない。
「・・・え?」
「このノムガンは地界に対応する戦い方をする。お前らの道具の使用で苦しみの罰を与えるのだ!」
「そんな・・・!!」
「纏めて攻撃だ!」
チンキム、マンガラ、ノムガンが纏めて攻撃してきた。
「聖マルグリットよ!」
ジャンヌが聖マルグリットの能力を借りて皆を防御した。
「聖カトリーヌ!鳩を利用して奴等の場所を定めよ!」
多くの鳩が出現した。鳩が飛び回り、やがて三方へと向かって行った。
「この鳩がどうしたという!?」
マンガラは鳩を倒そうとした。
「あの方向だ!」
「おうでやんす!」
ヤス太郎がパチンコを鳩が向かう三方に飛ばした。その時、三人の姿が現れ、眠ってしまった。
「よし、サンキュー、ヤス太郎!」
「へへへでやんす!」
山口が矢を放った。
「これでとどめにしてやる!!」
山口が放った矢で毒を浴びせ、三人をいちころで終わらせる。それが山口の考えていた事だった。放たれた矢から毒の煙が出て、フビライの息子達を襲う。
「やったか・・・!?」
これで終りかと皆が思っていた。しかし、三人とも消えていなかった。
「な・・・!?これはどういう事だ!?」
「・・・そうか、チンキムの能力だな!」
ジャンヌは推測した。
「え、でもさっきエレーヌさんの能力で使えなくなったんじゃ・・・!?」
「そうだと思ったのだが、彼の天界に対応する術は瀕死になりそうな時にはいかなる状況でも発動できるのであろう」
「なんでやんすか、その反則級の術は!?」
「どうしても倒せねえってんじゃ面倒臭いぜ!」
「私の秤で何とかできれば・・・!」
ジャンヌは秤を出した。今現在秤は水平だった。つまり現状では互角であるという事だ。
(このハンの子らの能力を以下にして打ち破れるか・・・!?)
そしてジャンヌは剣を持った。
「試しに斬ってみる!兵達よ、私に続け!」
ジャンヌは兵と共にチンキム達を襲撃した。しかし、それでも三人に近づく事はできなかった。
「エレーヌ、支援を!」
「あい!」
だが、直ぐに三人の敵は起きた。
「もう起きやがったか!」
川村がバズーカを発砲した。だが、マンガラに防御された。
「お前らを先ずは静粛してやろう」
マンガラがジャンヌやエレーヌに狙い定めた。
「させるか!」
「地獄を味わせてやる!」
ノムガンは地界の攻撃を仕掛けた。ジャンヌの能力を無効化させ、速攻で殺すつもりだった。
「や、やめて・・・!!」
すみ子は思わず銃を放った。フビライの息子達に結界を張った。
「我々に結界を張るとは血迷ったのか?それとも寝返ったのか?」
ノムガンはそう思った。しかし、攻撃がジャンヌに当たらない。自分に帰って来た。
「な・・・!!」
ノムガンが苦しみだした。
「ノムガン!」
「待ってろ、俺が助けてやる!」
チンキムが天界の能力でノムガンを楽にさせようとした。
「おお、すみ子、すげえぜ!」
山口が賞賛した。
「俺達も怠けてられねえぜ!」
「はいでやんす!」
山口が矢を放って爆発を起こした。ヤス太郎もパチンコで火薬玉を飛ばした。チンキムとマンガラに当たった。だが、チンキムは天界の能力で無効化させていた。
「神を操る能力は本当に手強いですね・・・」
エレーヌは改めてそう実感した。
「大天使ミシェルよ!」
ジャンヌが秤と剣を出してミシェルの能力を借りようとした。
「何が『だいてんしみしぇる』だ。その前に我々が貴様をコテンパンにさせて・・・」
チンキムが対抗しようとした。だが、ジャンヌが持つ持つ剣から炎が現れた。秤も大きく振動する。
「優劣がどうなっているのか解らなくなってきたな」
そして確認した。右の秤が傾いている。
「よし、今、我々が優勢に傾いた!!皆の者、今だ!」
「はいでやんす!」
「おう!」
山口、川村、ヤス太郎が纏めて攻撃した。ノムガンはすみ子の銃で攻撃できずにおり、最初はノムガンを助けようとしていたチンキムもそれどころではなくなっていた。
「俺が対抗してやる!」
マンガラが迎撃態勢を整えた。衝撃波で矢、バズーカ、パチンコの攻撃を打ち消そうとした。だが、そこにエレーヌの舞いで強化され、ジャンヌが召喚した大天使ミシェルの炎の能力、ジャンヌの兵の突進も合わさる。
「喰らえ!」
「これで終わりにする!」
「決まってくれでやんす!」
マンガラが劣勢になった。衝撃波が弱まる。チンキムの天界の能力もミシェルの炎とのぶつかり合いで打ち消されつつあった。
(お願い、皆、頑張って・・・!!)
すみ子はそう願った。
後書き
次回は・・・
「更に北方へ」
すみ子達はチンキム、マンガラ、ノムガンの戦いに終止符は打てるか。杉山はレーニンと共に北東へと向かうが、妲己との連絡に想定外の事に気づき始める。かよ子の父は娘の無事を祈願する為に三保神社に向かう。そしてかよ子は藤木の元の世界への帰還を嫌っていた事を思い出しながらも藤木を取り返す為に進み・・・!?
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