ハッピークローバー
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第八十一話 甲子園へその十三
「それでね」
「いいのね」
「だからね」
「冒険してもなの」
「いいからね、お父さんには内緒よ」
「そんなのしないから」
一華は知らないが鳴海と同じ考えで言った。
「そんなのまだまだ先よ」
「あら、奥手ね」
「奥手もなにもね」
「高校生ならなの」
「早いでしょ」
やはり鳴海と同じ様なことを言った。
「流石に」
「そう言うなんて奥手ね」
「昔は十三歳で結婚だったから」
「宋よ、お母さんの頃だってね」
「高校生でって人いたのね」
「今でもよ」
一華達の年代でもというのだ。
「それ位ね」
「普通なの」
「そうでしょ」
こう言うのだった。
「中学生でって子達もいるのに」
「だからね」
「あんたは違うのね」
「そうよ、大学に入って」
やはり鳴海と同じことを言った。
「そしてね」
「それからなのね」
「それでいいわよ」
こう言うのだった。
「もうね」
「そうなのね」
「ええ、ただね」
「ただ?」
「備えはすべきよね」
母にこうも言った。
「そうよね」
「ええ、わかってるじゃない」
「あれよね」
コンドームを直接言わずに述べた。
「あれを持っておくことね」
「備えあれば憂いなしよ」
「知識を備えて」
「そうしたものもよ」
それもというのだ。
「ちゃんとね」
「持っておくことね」
「そしてね」
そのうえでというのだ。
「ちゃんとね」
「用意しておくことね」
「そうよ、もう持ってるわよね」
「持ってるわよ」
「ならいいわ、兎に角ね」
「するつもりはなくても」
「ちゃんと勉強して」
そして知識を備えてというのだ。
「それでね」
「用意はしておくことね」
「万が一の時にも助かるから」
それでというのだ。
「いいわね」
「わかってるわ、じゃあ甲子園でもね」
「楽しんできてね」
「それじゃあね」
母の言葉に頷いた、そうしてだった。
一華はその日達川と共に甲子園に行った、そのうえで昼からはじまるその試合を観戦するのであった。
第八十一話 完
2023・4・8
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