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八条学園騒動記

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第七百一話 潜入前にその十一

「非常にだ」
「堕落した考えに満ちた国ですね」
「豊かだが堕落しきった」
「そうした国であり」
「ソドムとゴモラにだ」
 聖書にある神の怒りで焼き尽くされた街達だ、尚この二つの街では同性愛が蔓延っていたとされている。
「国家全体がだ」
「なっていますね」
「同性愛は置く」 
 二つの街に満ちていたこのことはというのだ。
「別にだ」
「悪くはないですね」
「連合でもあるが」
「エウロパにもあります」
「私の趣味ではないが」 
 大尉はこう断わりさらに話した。
「しかしだ」
「同性愛自体はですね」
「古代ギリシアでは普通だったしな」
 エウロパ文明の源泉の一つであるこれにというのだ。
「キリスト教でかつて禁止されていても」
「今のエウロパではです」
「特にだ」
「おかしくはないですね」
「そうしたものだからな」
 そう考えられているからだというのだ。
「別にだ」
「連合にそれがあっても」
「何も言わない、だが」
「そのことを抜いても」
「連合はな」
「堕落しきっていますね」
「そうした国だ、それでだ」
 エウロパから見て腐敗し堕落した国家だからだというのだ。
「軟弱でだ」
「連合軍も弱兵ですね」
「エウロパ戦役でもな」
「数と装備だけで」
「質はだ」
 将兵達のそれはというのだ。
「全く以てだ」
「低いものでした」
「だからだ」
「連合全体で、ですね」
「硬派というものはな」
「ないですね」
「しかしだ」
 それでもとだ、大尉はあらためて話した。
「薩摩星系はな」
「硬派ですね」
「男はそうあるべきであるというな」
「考えがあるのですね」
「流石に男尊女卑ではないが」
 この考えは薩摩星系にもない。
「しかしな」
「武士の様な」
「尚武でな」
 その気風でというのだ。
「質実剛健だ」
「そうした風潮ですね」
「連合では極めて稀少だ」 
 そうした気風だというのだ。
「実にな」
「そしてその薩摩星系のですね」
「者になってな」
 そのうえでというのだ。
「潜入を行うぞ」
「その様に」
「いいな、ではな」
「行きますね」
「これよりな」
 こう話してだった。
 二人で教会を出るが留守役はだった。
「では頼むぞ」
「わかりました」 
 女性のシスターになっているメアリー=ブルボン伍長が応えた。
「留守はお任せ下さい」
「ではな」
「それでは」
「行って来る」
 こう話してだった。
 大尉は上等兵を連れて学園に向かった、途中着替えもして変装もしてだった。そのうえで薩摩星系の方言を喋るのだった。


潜入前に   完


                   2023・1・24 
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