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八条学園騒動記

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第七百話 工作員の表の仕事その八

「摂理とさえな」
「階級がないこと自体が」
「そう言っていてな」 
 それでというのだ。
「我々の世界、エウロパのそれをな」
「徹底的に嘲笑していますね」
「そうだ」
 大尉は忌々し気に話した。
「連合という国はな」
「実に忌々しいですね」
「全く以てな、それは日本も同じだからな」
「あちこちで我が国を侮蔑するものを見ますね」
「卑しい敵としてな」
「左様ですね」
「テレビでも漫画でも小説でもな」
 そうしたところでもというのだ。
「そして報道でもだ」
「我々は悪ですね」
「そう書かれていてな」
 そしてというのだ。
「描かれている」
「特に報道が酷いですね」
「先日陛下が報道されたが」
 プロイセン王がというのだ、大尉はプロイセン人それも伝統あるプロイセンの軍人として言うのだった。
「実に酷かった」
「あの報道ですか」
 上等兵も気付いた顔で応えた。
「あれは確かにです」
「酷かったな」
「はい」
 まさにというのだった。
「悪意に満ちていましてプロイセン人ではないですが」
「君もか」
「非常に不愉快に思いました」
「そうだったか」
「実に品がないですね」
「連合らしいな」
「全くです、日本語であれこれと言っていて」 
 日本での報道のことも話した。
「そのことを省いても」
「不愉快だったな」
「そもそもプロイセンから学ぶ立場でしたね、日本は」
「十九世紀後半はな」
「そうした国でしたね」
「プロイセンというかドイツにな」
 この国にとだ、大尉は答えた。
「今のドイツとはな」
「また違いますね」
「今のドイツは共和国だが」
「帝国の頃のドイツでしたね」
「我がホーエンツォレルン家が皇帝だったな」
「あのドイツですね」
「少し複雑だがな」
 大尉はその辺りの事情も話した。
「ドイツ皇帝であられたが、あの頃は」
「プロイセン王でもあられ」
「そして今はな」
「プロイセン王ですね」
「他の爵位もお持ちだが」
 それでもというのだ。
「一番大きいのはな」
「プロイセン王ですね」
「そうだ」 
 まさにというのだ。
「今はプロイセン王国のだ」
「国王であられて」
「ドイツ系国家だが」 
「ドイツとは違いますね」
「またな」
「左様ですね」
「それをな」
 大尉は顔を顰めさせて話した。 
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