八条学園騒動記
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第六百九十九話 エウロパ工作員の苦悩その六
「今は新ラテン語というが」
「この言語がですね」
「特にラテン系国家ではな」
「そうですね」
「イタリア語もスペイン語もな」
そうした言語はというのだ。
「特にだ」
「ラテン語の影響が大きいですね」
「フランス語、ポルトガル語もな」
「同じですね」
「しかしバスク語はな」
大尉はあらためてこの言語の話をした。
「スペイン語とはな」
「全く違っていて」
「他の言語ともな」
「やはり違いますね」
「ルーツが不明ともだ」
言語のそれがというのだ。
「言われている程だ」
「そうですね」
「何でもだ」
大尉は考える顔で話した。
「バスク人はクロマニョン人の血が濃いそうだ」
「あの原人の」
「古代に混血してな」
そうしてというのだ。
「それが顔立ちにも出ているそうだ、二十世紀だが」
「あの頃ですか」
「革命家だったゲバラだが」
チェ=ゲバラ、キューバ革命の英雄である。
「彼はバスク人だったが」
「クロマニョン人の顔立ちでしたか」
「写真を見るとどうもな」
これがというのだ。
「出ている」
「クロマニョン人が」
「そうだった、その他にもな」
「バスク人にはですか」
「クロマニョン人の影響が見られる顔立ちの者がいて」
そしてというのだ。
「言語にもな」
「出ていますか」
「そうかも知れない」
バスク語にもというのだ。
「クロマニョン人の言語がな」
「そうでしたか」
「私が思うにだ」
大尉自身がというのだ。
「専門家の言葉ではない」
「言語学者のですね」
「だが言語学者の友人が言っていた」
エウロパのというのだ。
「バスク語と日本語はかなりな」
「独特の言語ですか」
「色々な系統の言語があるが」
それでもというのだ。
「インド=ヨーロッパ語なりな」
「セム語やハム語ですか」
「あるな」
「はい、世界史の授業で習いました」
上等兵はワインを飲みつつ答えた。
「そのことは」
「古代の言語からだ」
「そこからですか」
「色々な言語が派生して今にだ」
「今りますか」
「しかしな」
それでもと言うのだった。
「バスク語とだ」
「日本語はですか」
「古代言語から見てもな」
「特異ですか」
「エウロパではだ」
即ち自分達の国ではというのだ。
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