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八条学園騒動記

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第六百九十九話 エウロパ工作員の苦悩その五

「これがです」
「他の言語とは違うな」
「そう感じました」
「元はスペインだった」
 バスクはとだ、大尉は話した。
「しかしな」
「ずっと独立運動が起こっていましたね」
「弾圧も受けた」
 フランコ政権はバスク語の禁止を政策として定めた程だった、言語を禁じてその文化の抑制にかかったのだ。
「そうだった」
「それが宇宙の時代になり」
「国父ブラウベルグの頃にな」
「各国の王制派が新たな国家を持った様に」
「私の国も然りだ」
 大尉は言った。
「プロイセンもな」
「ドイツから出る形で、ですね」
「ホーエンツォレルン家の方にお願いしてだ」
 プロイセン王家だったこの家のというのだ。
「ただドイツ皇帝はな」
「そちらはですね」
「ホーエンツォレルン家の方がお断りされてな」
「なかったですね」
「どうもだ」
「王家であることはよくても」
「エウロパ総統が皇帝となる」
 この解釈はかつて皇帝を擁したオーストリアやフランスも同じだった。
「そう考えられるな」
「ローマ皇帝の後継者なので」
「エウロパでは皇帝はだ」
「ローマ皇帝かその後継者です」
「東西のローマのな」
「そしてEUもまた」
 エウロパの母体となったこの組織もというのだ。
「同じですね」
「二十世紀に復活したローマ帝国だ」
「そうでしたね」
「EUからエウロパになり」
「その総統はですね」
「ローマ皇帝となる」
 こう上等兵に話した。
「まさにな」
「それでどの王家の方々もですね」
「ホーエンツォレルン家もハプスブルク家もな」
「そしてボナパルト家も」
 ナポレオンの家である、この家はエウロパではコルシカ王家となっている。
「そうでしたね」
「そうだ、その辺りはな」
「法律で定められていませんが」
「エウロパでは絶対のだ」
 それこそというのだ。
「不文律だ」
「それで、ですね」
「ホーエンツォレルン家の方々もそうされたが」
 ドイツ皇帝には復位しなかったというのだ。
「プロイセン王に戻られた、その時にな」
「バスクも独立して」
「国家になったが」
「そのバスク語がです」
「わからなかったな」
「全く、エウロパの言語にはです」 
 それにはというのだ。
「思えなかったです」
「公用語の新ラテン語とも違うな」
「エウロパの」
「そして各国の言語ともな」
「違う感じがします」
「エウロパの言語はラテン語が元になっている」
 その根幹だというのだ。 
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