八条学園騒動記
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第六百九十九話 エウロパ工作員の苦悩その七
「まさにバスク語とそれ以外の言語だ」
「そこまで違いますか」
「そして日本語もな」
「日本語とそれ以外の言語ですか」
「そこまで違う」
上等兵に話した。
「そう言っていた」
「そうなのですね」
「実際学んでもわかるな」
「発音もです」
上等兵は困った顔になって答えた、その返答こそが彼が何よりも困っているという証であった。それを隠しもしていない。
「全くです」
「他の言語と違うな」
「銀河語ともです」
連合の公用語とも、というのだ。
「全くです」
「違うな」
「はい、あの言語も難解ですが」
「文字の種類も複数でな」
「しかしです」
それでもというのだ。
「日本語と比べますと」
「ましだな」
「遥かに、文法も発音もです」
「独特でな、日本語は」
「文字も複数ですから」
「厄介だ、何でもだ」
大尉はサラミを食べながら話した。
「昔は男性は片仮名を使っていたらしい」
「書く文章に」
「そして女性は平仮名をな」
「使っていたのですか」
「性別によってだ」
「使う文字が違っていましたか」
「当然漢字は使うが」
それと共にというのだ。
「片仮名や平仮名はな」
「分けていましたか」
「そうだったらしい、しかもな」
大尉はさらに話した。
「古文書があるな」
「昔の文章ですね」
「君は読んだことがあるか」
「話は聞いていますが」
それでもという返事だった。
「実際にはです」
「見ていないか」
「はい、どんなものでしょうか」
「文字が崩してあってな」
「崩しているのですか」
「印刷技術のある時代でもな」
その時代の文章でもというのだ。
「それぞれの人間が書いていてな」
「文字が読みにくいですか」
「公文書でもな」
公の政治的なものでもというのだ。
「そう書いてあってな」
「読みにくいですか」
「そうだ」
まさにというのだ。
「これがな」
「そうなのですか」
「これの解読もな」
これもというのだ。
「非常にだ」
「難しいのですね」
「そうなのだ」
「日本語にはそれもありますか」
「しかも文体が複数ある」
日本語にはというのだ。
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