おっちょこちょいのかよちゃん
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281 妖術を打ち破れ
前書き
《前回》
レーニンおよび杉山と対峙するかよ子だったが、藤木がいるとされる方角が緑色に光った為、かよ子は戦いを中断してその光の方向へと急ぐ。杉山も向かおうとするが、三河口の鎖鉄球で足止めされ、更に臆病者呼ばわりされて激怒し、鎖鉄球を振り払い、藤木のいる場所へと急ぐ。藤木は遊女達と逃げようするも、自分の約束を思い出して嫌われたばかりと解っていながらもりえも連れて行こうとする。かよ子はあり達と合流し、藤木やりえを捜索する。そしてかよ子達と別行動していた大野達が藤木達を発見し、獲補に乗り出した!!
かよ子はあり・悠一、シャクシャインに次郎長と共に襲撃で混乱した屋敷を巡っていた。
(藤木君やりえちゃんはここにいる・・・!!)
かよ子は緑色の光が導くものは藤木の居場所だとイマヌエルから連絡を受けている。更に長山の報告によると藤木は攫われたりえと共にいるとまで聞いていたのだった。
「あ、あちらに侵入者だ!」
「追い払いましょう!」
数名の女性がかよ子達の前に立ちはだかった。だが、ありがカムイを召喚する。女性達をあっけなく返り討ちにした。
「キャアア!」
悠一もテクンカネでシャクシャインの能力を強化させた。
「そりゃ!!」
シャクシャインも女性達を襲撃する。遊女達は龍や虎などを召喚して対抗した。
「よし、私も!」
かよ子も怠ける訳にはいかなかった。杖を剣に変化させた。かよ子は龍の喉を掻き切る。そして襲ってくる虎も剣を振り回して対抗した。
「山田かよ子、某も助太刀するぞ!」
次郎長も斬りにかかった。虎の胴体が切断されて消滅する。
「もう一度!」
女性達が虎や龍をもう一度召喚する。
「キリがないよ・・・!!」
「私が!」
ありがパヨカカムイを召喚した。パヨカカムイが虎や龍に突撃する。虎や龍が病を与えられて苦しんだ。
「次で終わりだよ!」
かよ子は電撃を女性達に浴びせる。
「あああ!!」
その女性達は電撃で焦がされてそのまま消滅した。だが、消え方に違和感があった。今までの異世界の人間ならば光と化すのにこの女性達は煙になって消えたのだ。
「この消え方は・・・!?」
「恐らくこれはこの世界で作り出されたものではなく、この屋敷の人間が作り出した人間だったのであろう」
次郎長が説明した。
「って事は藤木君はこの女の人達と今まで遊んでたの・・・!?」
「侵入者だ!排除せよ!!」
近衛兵や女性達がまたかよ子達を包囲した。
「また来た・・・!!」
かよ子は藤木を捜索する余裕を持たされず苦労した。
「あれは!」
「噂に聞く聖なる杖だ!奪え!!」
かよ子達は迎撃を始めた。ありがカムイを一体召喚する。ホヤウカムイという翼の生えた蛇が現れた。ホヤウカムイは突進し、悪臭を放つ。対して敵達は槍から衝撃波を放ったり、電撃などで対抗したりした。
「電撃・・・!!」
かよ子は電撃に杖を向け、更に強力な電撃を放ち、女性や兵達をなぎ倒す。そしてホヤウカムイの悪臭で多くの兵達が溶かされた。
「うご・・・」
「何よ、この臭い息・・・!!」
「ホヤウカムイの毒は近づいただけで皮膚が焼け爛れて死に至るのだ!!」
シャクシャインが解説した。
「よおし!!」
かよ子は杖から丸鋸を出してフリスビーのように発射した。ホヤウカムイの毒を避けようとしている者達を丸鋸が切り刻んだ。
「かよちゃん、凄いわね」
「うん、七つの泉で強くさせたんだ・・・!!」
敵がいなくなったところでかよ子達は別の場所へ移動した。
(あの人の妖術を何としても破らないと・・・!!)
しかし、かよ子には一つ気になった。どうすれば妲己の妖術を封じればいいのかという事である。
りえがまる子達の元へ走ろうとした時、妲己がりえに炎を吹きかけた。
「な!」
「りえちゃん!」
「大変じゃ、燃えてしまうぞ~!!」
友蔵は喚いている中、ブー太郎が水の石で消火を試みた。しかし、炎は消えない。
「これは燃やす為の炎じゃないぞ」
「何!?」
「さあ、坊や、逃げるのだ!この小娘と共にな」
「うん!」
鳳凰が現れてりえと藤木を乗せて逃げてしまった。
「逃がさないよ!」
お蝶が脇差を振る。遠距離で鳳凰を斬りつけようとしたが、失敗した。
「手分けせよ!」
石松が促した。
「うん!」
皆は撤退した。
「させないよ!」
妲己は妖術を使用し、巨大な石の壁を出して藤木救出班の一部を包囲した。
「取り返してやらないよ。そもそも、あの坊やはそちらの世界に帰りたがっていない。坊やの幸せを奪う気かい?」
「だ、だからってそんな卑怯な事はさせないブー!!」
ブー太郎が反論した。
「ほう、本気でそう思っているのかい?あの杯の所有者を嫁にしてやろうかと思って祝言を挙げてやったのにどうやら嫁の方は藤木茂坊が好みではないようだ」
「貴様の話など聞いている暇はない!!」
石松は石壁を破壊する。しかし、上から妲己が攻めて来る。
「まずい!攻撃して来るぞ!」
「くそお!」
大野は草の石を使う。大木が生えてその枝が妲己を串刺しにしようとする。
「おおっと!」
妲己は火を吹いて大野の攻撃を避けた。そして木に炎が付いて燃える。
「うわあ、枝が落ちてくるう!!」
「ま、まる子お〜!!」
まる子と友蔵が抱き合って泣き出した。
「もう一度消してやるブー!」
ブー太郎の水の石で炎を消した。そして焦げた枝を押し上げて飛ばした。
「富田太郎!お主の水の石でこの壁を砕けるかもしれぬ!」
「う、うん!やってみるブー!!」
ブー太郎は水の激流で石の壁の突破を試みた。
「ブー太郎、俺も手伝ってやる!」
大野の草の石で出した木が石の壁を殴りつけた。そして少しずつ壁にひびが入った。
「よし、某も行くぞ!」
その場にいた石松やお蝶、小政なども石の破壊を試みた。
「おお、頑張れ〜!」
友蔵は応援した。最もそれしかできないのだが。
「よおし、アタシも行くよ!」
まる子は炎の石で炎を出して壁の破壊を試みた。
「あれ!?」
「さくらももこ、炎では石の壁は効かぬ!」
「ええ!?」
だが少しずつ壁を破壊されてく。ブー太郎の水の勢いでようやく壁を全て打ち破った。
「やったブー!!」
「あの女はどこだ!?」
しかし、皆は妲己を逃してしまった。大野は通信機を取り出す。
「こちら大野けんいち!狐に変化する奴と藤木達を取り逃がしちまった!」
『解った!こっちも探すよ!!』
おっちょこちょいの杖の所有者が応答した。
藤木はりえと共に鳳凰に乗っていた。
「ちょっとっ、降ろしてよっ!」
「ごめんよ!僕は君を守りたいんだ・・・!!」
「私を守りたいんなら今私を降ろしてっ!!」
「う・・・」
藤木は迷った。ここでりえを降ろしたら自分には何が残るのか。
「どうしたのっ!?できないのっ!?藤木君はやっぱ・・・」
「わ、解ったよ、降ろすよ!!」
藤木は鳳凰に下降するように命じた。しかし鳳凰はなかなか降りようとはしなかった。
「な、降りてくれ!」
「茂様!!」
藤木は下から遊女の声が聞こえるのを確認した。
「う・・・!!」
藤木はここで降りるとりえは解放されない。しかし、自身の安全ならここで降りたい。ジレンマに悩まされる。
「くう・・・」
「あ、そこにいるの、藤木君じゃない・・・!?」
「え・・・?」
藤木は振り向いた。その場には高校生の女子一名、男子二名の合計三名がいた。
「藤木君、覚えてる?笹山かず子ちゃんの知り合いよ」
「あ、あの・・・」
藤木は思い出した。嘗て笹山の知り合いが通うという高校の文化祭で会った人・徳林奏子だった。
「藤木君、いなくなってかず子ちゃんが心配してたわよ。藤木君の友達もいるから戻ろう」
(ここで、戻る・・・?もしかして、僕はまた・・・)
藤木は元の世界に戻ってもただ皆から卑怯者と軽蔑・非難される毎日が来ると思っていた。そうなると・・・。
「り、りえちゃんなら返すよ・・・。僕は、戻りたくない!!」
「え?」
「帰ってください!僕はもう笹山さんの事は忘れたし、もう卑怯呼ばわりされたくないんだ!!」
「藤木君・・・」
奏子は藤木の意見に呆然とした。
「徳林さん!」
「え?」
北勢田に呼ばれて奏子は我に返った。下の方から遊女が攻撃を仕掛けている。奏子は乗っている羽衣で防御した。
「こいつら!」
北勢田は矛で強力な電撃を放電した。多くの遊女が攻撃される。
「や、やめてくれ!!」
「あ!?」
「その人達は僕の大事な人なんだ!」
「馬鹿言え、お前は敵に自分を売ったのか!?」
北勢田は怒鳴り返した。
「う・・・」
「こいつらは赤軍って奴等と手え組んで日本を戦争の道に進めようとしてんだよ!」
「そ、そんな・・・」
その時、りえは羽衣に飛んで乗り換えようとした。
「り、りえちゃん!!」
だがその時だった。
「な、何だ!?俺の矛が・・・」
「俺の剣も効かないだと!?」
「何、この、威圧感・・・」
「貴様らは剣を奪い返した連中だな」
その場には戦争主義の世界の長が追いついていた。
後書き
次回は・・・
「失われていく物」
藤木やりえを探すかよ子とありは景勝と兼続から藤木が逃走しようとしていると知る。そして彼女らのもとに紂王が立ちはだかる。濃藤、北勢田、奏子を気絶させたレーニンは杉山と身体を入れ替え、藤木にりえを連れてその後はどうするのか藤木に問いかける。投降して元の世界にもどるか、それともこのまま逃げるのか、藤木が選んだ選択肢は・・・!?
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