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八条学園騒動記

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第六百九十八話 本当に全くわからないその一

               本当に全くわからない
 ダンは日本人の七海と彰子が二人でいるところに来て怪訝な顔になって言ってきた。
「出来たら菅も入れて三人でな」
「どうしたの?」
「何かあったの?」
「いや、日本人に聞きたいことがあってな」
 それでというのだ。
「来たんだが」
「聞きたいこと?」
「いや、日本語のことでな」
「ってあんたも日本語わかるでしょ」
 七海はこう返した。
「琉球も公用語日本語でしょ」
「日系国家だからな」
「アイヌと一緒でね」
 尚アイヌ連邦はアイヌ語も公用語だ、ただし文字は日本語になっている。
「そうでしょ」
「だが方言がな」
「ああ、琉球はね」
「日本語でもな」
「琉球の言葉ね」
「文章は標準語だが」
 それでもというのだ。
「言葉にするとな」
「違ったわね」
「琉球の方言でな」
 それでというのだ。
「かなり違う」
「そうだったわね」
「それにだ」
 ダンはさらに言った。
「方言はわからない」
「日本語の」
「それでこの前困ったんだ」
「一体どうしたの?」
 彰子はダンに尋ねた。
「それで」
「いや、薩摩の人に会ったんだが」
「薩摩星系の」
「道を聞かれたが」
「ああ、それわからなかったのね」
「全くな、あんまりにもわからなくてな」
 それでというのだ。
「スマホを出してな」
「翻訳機能使って」
「音声をその都度録音してだ」
「翻訳してもらって」
「何とかな」
 そうしてというのだ。
「わかった」
「そうだったのね」
「ショックだった」
 ダンは真顔で述べた。
「俺もな」
「わからなくて」
「本当にな」
 こう言うのだった。
「日本語には自信があったが」
「実は私達もなの」
 彰子はそのダンに答えた。
「日本人でもね」
「あの言葉はわからないか」
「そうなの」
 実際にというのだ。
「本当にね」
「あと津軽星系の言葉もよ」 
 七海も言ってきた。
「全くよ」
「そうなのか」
「むしろ国は違うのに」
 それでもというのだ。
「琉球やアイヌのね」
「そちらの日本語の方がか」
「ずっとわかるわ」
「そうか」
「もうあれよ」
 七海はこうも言った。 
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