八条学園騒動記
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第六百九十七話 弱肉強食とその十二
「とてもね」
「結べなかったわね」
「それをね」
「龍馬さんは結ばせたのね」
「その時の一連のやり取りもね」
言葉のそれもというのだ。
「土佐の言葉だったから」
「余計に印象に残ったのね」
「そうみたいよ、けどね」
「けど?」
「いや、私はまだ土佐星系の言葉はわかるわ」
こちらはというのだ。
「けれどね」
「それでもなのね」
「薩摩星系とか津軽星系になると」
「わからないのね」
「どうしてもね」
これがというのだ。
「残念なことに、日本語とさえね」
「思えないのね」
「どうもね」
そうだというのだ。
「これが」
「私もだけれどね」
「わざとわかりにくくしただけあって」
七海は薩摩の方言の話をした。
「凄いわね」
「薩摩星系の言葉はね」
「もう翻訳が必要よ」
「そのレベルよね」
「津軽星系だって」
この星系の方言もというのだ。
「こっちは別にね」
「意識してないわよね」
「わかりにくくはね」
その様にというのだ。
「していないけれど」
「それでもよね」
「わかりにくいわ」
「あちらは濁音の感じが凄くて」
「それで独自の言葉もあって」
方言のそれがというのだ。
「それでね」
「そうなのよね」
「それをマスターすることは」
それはというのだ。
「エウロパの連中にはね」
「無理よね」
「出来るものならね」
それこそというのだ。
「もうね」
「してみろよね」
「そうよ」
こう言うのだった。
「どっちの方言もよ」
「やれるものならね」
「やってみればいいのよ」
「絶対に出来ないから」
「文字を一つしか使えなくて」
そしてというのだ。
「方言も滅茶苦茶凄い言語をね」
「真似出来るか」
「そんなことはね」
到底というのだ。
「出来る筈がないわ」
「若し真似ても」
「ばれてね」
そうなってというのだ。
「それでよ」
「捕まるわね」
「エウロパの工作員も必死で」
彼等は彼等なりにというのだ。
「それでね」
「何とか化けてるのね」
「ええ、けれどね」
それでもというのだ。
「薩摩とか津軽の言葉はね」
「そうはなのね」
「真似出来るか」
それはというのだ。
「出来ないわ」
「そうよね、私達ですらわからないのに」
「それがわかるなんてね」
「まず有り得ないわね」
「絶対にね」
二人でこうした話をした、だがここでその方言が思わぬことになるとはこの時二人は思いもしなかった。
弱肉強食と 完
2022・12・24
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