神々の塔

「色々あるのが人生でな」
「それでやね」
「その中でな」　
「周りに友達がおらん時もある」
「けどそうした時でもな」
「何かせんことがあったりするかも知れんし」
「その時に友達がおらんって問題か」
　自分だけでもせねばならぬ、そうした大事を前にした時はというのだ。羅は綾乃に考える顔のまま言った。
「果たして」
「そういうもんやないね」　
　綾乃も言った。
「もう友達がおらんから出来んとか」
「それで大切なもん失うとかな」
「ないわ」
「一人でも戦う、前に進む」
　羅はこうも言った。
「そうした気持ちがないと大事は果たせんかもな」
「友達はいてくれた方が有り難くても」
「自分を高めていったら」
「友達はやね」
「自然と巡り合ってな」
　そうなりというのだ。
「出来るんかもな」
「そういうことやね」
「少なくとも陸上部のあの屑共なんてな」
　羅も彼等のことを話した。
「我も付き合いたくもな」
「ないんやね」
「我も連中見たが」
　その姿をというのだ。
「ほんまこいつ等がってな」
「思ってただけか」
「いつも二人でおるが」
「逆に言うとお互い以外はやね」
「もう誰からも相手にされてへん」
「そんな状況やね」
「屑は屑で集まる」
　羅は冷たい目になって言った。
「人を裏切る連中もな」
「そうした人等で集まる」
「そういうことやろな」
「それでやね」
「あいつ等はいつも一緒におるんや」
「裏切者同士でやね」
「まあお互いに信用はしてへんな」　
　羅はこのことははっきりと言った。
「それぞれ裏切者ってな」
「わかってるし」
「それでや」
「お互いにやね」
「信用はな」　
　これはというのだ。
「してへん、あと友達やなくて」
「ちゃうんやね」
「ごっこや」
「友達ごっこ？」
「それや、お互いに信用してへんで何が友達や」
　こうも言った。
「それでや」
「二人でおっても」
「いつもな」
「それでもやね」
「友達やないわ」
「まあ傷舐め合うっていうか他に居場所がない」
　施も言った。
「そうしたモン同士か」
「学校の何処にもやね」
「居場所がのうなった」
「そんな人達やね」
「逆に裏切られたモンは」
　その彼のこともだ、施は話した。
「支えてくれる人とな」
「本物の彼所さんが出来て」
「それで何でも悪い家族と縁切ってな」
「自分を大事にしてくれる大叔母さんお二人のお家に入って」
「幸せになったらしいな」
「ハッピーエンドやね」
「せめてな」　
　ここでだ、施はこうも言った。