ハッピークローバー
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第七十五話 合宿最後の日その四
「美味しいわ」
「飲みやすいわよね」
「かなりね、そんな夏にね」
「熱燗とかはね」
「考えられないわ」
かな恵に答えた。
「とてもね」
「まあ泉鏡花さんは特別だったから」
それでとだ、かな恵はこうも話した。
「お酒もね」
「そうして飲んでいたのね」
「あと森鴎外さんも」
この作家もというのだ。
「やっぱり細菌嫌いで」
「あの人そっちの医学の人だったし」
ドイツに留学してコッホに教わってだ。
「それでよね」
「お風呂にも入らなかったし」
湯舟には多くの細菌があると言ってだ。
「お寿司もね」
「食べなかったのよね」
「生ものでね」
「人が手で握ったから」
「物凄く細菌が多いって言って」
「食べなかったのね」
「私この人あまり好きじゃないけれど」
かな恵は森鴎外についての自分の考えも話した。
「正直いい人には思えないから」
「脚気とか?」
「やたら偉そうとか」
「いい人じゃなかったのよね」
「だからね」
そう聞いているからだとだ、一華達との海上自衛隊幹部候補生学校でのやり取りを思い出しつつ話した。
「このお話もね」
「どうかって思うのね」
「それにお寿司好きだし」
かな恵は笑って話した。
「だからね」
「かな恵ちゃんとしては」
「鴎外さんは好きじゃないわ」
「この学校じゃ評判よくないわね」
「脚気のことがね」
何と言ってもと言うのだった。
「学校で教わるから」
「それでなのね」
「脚気って大問題だったから」
日本においてだ。
「江戸時代だってそうで」
「明治でもよね」
「もう白いご飯ばかり食べていたら」
それでというのだ。
「なるね」
「命にも関わる病気で」
「日本以外の国には殆どなかったのよね」
「だって他の国麦食べるし」
ウェールズから来た娘は今は日本酒を飲みつつ話した、その米から造る酒を楽しんで飲んで話をしている。
「パンもそうだし」
「包とかね」
「そう、中国のね」
「そういうの食べるから」
「あとお肉も食べるし」
「豚肉とかね」
「昔の日本はお肉もね」
こちらもというのだ。
「そうそう食べなかったでしょ」
「鶏肉位は食べてたけれど」
「まあ滅多によね」
「ええ、そうだったわ」
「本当にビタミンB1がある食べものは」
「都会だとね」
兎角白いご飯ばかり食べてというのだ。
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