その小さな女の子のことが気になってしまったんだが、どう接していけばいいんだろう
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10-6 ななの高校入学式
そんな訳で、入学式の日、僕は待ち合わせて、ななのちゃんと駅にスーツ姿で立っていた。ななのちゃんは可愛らしい襟元が紺のリボンでチェツクのスカートの新しい制服だった。
そこに、ナナコちゃんがお母さんとやって来て、手を振りながら
「ななの おはよう わぁー シュウさんと一緒? 一緒なの?」
「うん お母さん 来れないから 代理」
「へぇー そーなんだぁー へぇー いいなぁー ななの」
「ふふっ いいでしょーぅ」
そして、駅に着いてから高校に向かって歩いている時は、ななのちゃんとナナコちゃんは並んで先に歩いていたが、僕はナナコちゃんのお母さんと並んで歩くはめになってしまって・・。
「あのー ななのちゃんのお兄さんなんですか?」
「いえ そのー 親しくさせてもらってるー いや お母さんが仕事で来れなくて 代理です そのー スポーツセンターの職員なんです サッカーの関係で・・」僕は、説明にしどろもどろで・・。
「あっ そうなんですか サッカーの 大変ですねぇー でも ななのちゃんは勉強も出来て、サッカーも頑張っていて あの子 お父様 いらっしゃらないのでしょ ナナコに聞いています でも、何にでも、頑張って 卒業式の時も 代表して答辞も読んだりしてましたワ うちの子にもななのちゃんを見習いなさいって言ってるんですの いつも、のんべんだらりとしていて」
「そうですかぁー でも、ナナコちゃんは、地道に努力してますよ サッカーも初めてだったんだろうけど、他人よりも練習して、今はななのちゃんとチームを引っ張っていくようになりましたし それに、他人の価値なんて、成果出すのに遅い早いがありますから・・ナナコちゃんはゆっくりでも頑張ってますよ いつも ななのちゃんは閉じこもり気味だったのに、ナナコちゃんのお陰で明るくなったし」
「そうですか うちの子をそういう風に褒めてくれたのって 初めてですワ うれしい 失礼ですけど あなた お名前は?」
「はぁ 北番秀って言います スポーツセンターの」
「そうなんですか そーいえば シュウさんってって 最近 よく うちの子が言ってるの聞きましたワ あなたが・・ 優しくて・・良い人ネ」
そして、体育館で、新入生が入場してくるところしか見れなかったけど、ななのちゃんは、髪の毛を後ろに束ねて、ひときわ長くて目立っていたのだ。
一通り高校の手続きを済ませて、帰る時もナナコちゃんのお母さんと一緒なので、僕は、内心、余計な事を聞かれないかとビクビクしていたのだけど・・。幸い、僕とななのちゃんの関係については触れてこなかったのだ。
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