ハッピークローバー
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第六十五話 日本の夏の料理その五
「お昼にするわよ」
「わかりました」
「そうしましょう」
「今からね」
先生はこう言ってだった。
皆でいただきますをしてだった。
料理部の面々は全員で流し素麺にサラダそして冷奴を食べた、勿論かな恵もそうしたが流し素麺を食べつつだ。
一緒に食べる部員達にだ、笑顔で話した。
「流石三輪素麺よね」
「滅茶苦茶美味しいわね」
「普通のお素麺よりもね」
「味が違うわね」
「そうよね」
おろし生姜をたっぷりと入れたつゆで食べつつ応えた。
「本当に」
「コシが違うわ」
「味もね」
「他のお素麺とはね」
「格が違うわね」
「そうよね、喉越しもね」
これもというのだ。
「いいわね」
「それだけど」
ここでだ、東京から来ている二年の先輩が言って来た。名前を永井麻友という。料理部のホープと言われている。
「東京じゃね」
「あっ、噛まないんですよね」
「お蕎麦とかは」
「それで喉越し味わって」
「そうして食べるんだよ」
東京の下町訛りの言葉で話した。
「あたしもそうしてたよ」
「東京だと」
「おつゆが違うんだよ」
「あっちは辛いですよね」
「おろし大根のお汁とお醤油でね」
「そのお醤油も辛くて」
「それでだよ」
麻友はかな恵の横で素麺をすすりつつ話した、今は噛んでいる。
「あまり漬けるとね」
「お蕎麦を」
「辛いしね、噛んでもね」
「やっぱり辛くて」
「お蕎麦はおつゆに少し漬けてね」
「噛まないで、ですね」
「喉越しを味わってだよ」
その様にしてというのだ。
「食べるんだよ」
「あっちじゃそうですね」
「だからお素麺もね」
今自分達が食べているこの麺もというのだ。
「噛まないでね」
「そのまま飲み込むんですね」
「通を自認してると特にね」
「そうして食べるんですか」
「そうなんだよ」
「そうですか」
「お蕎麦は特にね」
こちらはというのだ。
「吉君もそうしてるよ」
「あの自転車部の三年の」
「そうだよ、幼馴染みでね」
麻友は明るい声で話していった。
「学校も一緒だけれどね」
「東京だとですね」
「特に下町だとね」
「今でもですね」
「お蕎麦はそうして食べるんだよ」
「お素麺も」
「それでお風呂だってね」
こちらもというのだ。
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