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イベリス

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第八十四話 合宿その一

                第八十四話  合宿
 学校に来て部室に入るとだ、部長がいて咲に言ってきた。
「早いね」
「あの、部長さんの方が」
「僕も今来たばかりだよ」
「そうなんですか」
「だから言ったんだ」
「早いって」
「若しかしてやる気あるとか?」
 部長は咲に笑って尋ねた。
「小山さんも」
「あるって言えばあります」
 咲も否定せずに答えた。
「私も」
「そうなんだね」
「それでも燃えるとか」
「そこまではいかないんだ」
「そうしたタイプじゃないですから」
 自分を振り返ったうえでこう答えた。
「ですから」
「それでなんだ」
「はい、私はです」 
 これといってというのだ。
「今もです」
「やる気はあってもだね」
「燃える位かっていうと」
「そこまではなんだ」
「いかないです」
「そうなんだね」
「はい、ただはじめての合宿なので」
 部活のそれでというのだ、尚咲は塾の合宿等も経験がない。だからこそ内心不安を感じてもいる。はじめてのことであるからだ。
「どうなるか」
「心配だね」
「はい」
 部長のその通りだと答えた。
「どうなるか」
「別に問題ないよ、寝る場所は男女別々でね」
 部長は不安を述べた咲にまた笑って話した。
「他の部の人達も一緒だから」
「寝る場所はですね」
「あと食べたりシャワーを浴びるのも」
 こうした時もというのだ。
「一緒だしね」
「大勢での合宿ですね」
「それなりにね、まあ神戸の本校は江田島で殆どの部活が合宿するらしいね」
「殆どですか」
「野球部とかラグビー部とかサッカー部とかは独自で行うらしいけれどね」
「どれも強豪でしたね」 
 神戸の八条学園本校のこともだ、咲は知っていて応えた。
「そうですね」
「そう、だからね」
「独自で、ですか」
「そうした部活は合宿を行うんだ」
「そうなんですね」
「そうした部はその部だけの寮もあるしね」
「凄いですね」
 咲はその部の為だけの寮があると聞いて驚いて言った。
「それはまた」
「いや、私立だとよくあるよ」
「そうなんですか」
「部活に力を入れている学校だとね」
「そうした寮もありますか」
「奈良の天理高校だってそうだよ」
「あの野球や柔道で有名な」
 咲も知っていてすぐにその学校の話をした。
「ラグビーや吹奏楽でも」
「物凄い有名だよね」
「そうですよね」
「高校で弦楽とか雅楽もやってるから」
「オーケストラとか日本の音楽もですね」
「あそこは凄いよ」
 部長は唸る様にして話した。 
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