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イベリス

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第八十三話 合宿前日その十一

「そうした方でしたら」
「そうですか、じゃあ合宿もですね」
「安心して行かれるといいです」
「それでは」
「いい部活に入ることが出来ますと」
 その場合についてだ、速水は述べた。
「その人の一生に貴重な財産になります」
「そうなるんですね」
「悪い部活なら逃げることです」
「辞めることですか」
「先程言った様な教師が顧問なら」
 それならというのだ。
「悪いことは言いません」
「占って」
「いえ、占うまでもありません」
 速水は一言で答えた。
「そうした先生のところにいていいことは一つもありません」
「だからですか」
「そうです、そうした先生とわかれば」
 そうであればというのだ。
「即座にです」
「辞めることですか」
「さもないとです」
 それこそというのだ。
「碌なことはないので」
「だからですか」
「はい」
 まさにという返事だった。
「お逃げ下さい」
「辞めてですね」
「どれだけ好きなことを活動していても」
 そうであってもというのだ。
「そうした先生ではです」
「いいことはありませんか」
「常に暴力を振るう輩のところにいるなぞです」
 速水はさらに言った。
「下手をすれば怪我では済みません」
「死ぬこともありますか」
「そして死んでもです」 
 教師の暴力でというのだ。
「この場合は殺人になりますが」
「凶悪犯罪ですね」
「ですが」
 それでもというのだ。
「隠蔽されるので」
「泣き寝入りですね」
「残された人達は」
「そうなりますね」
「ですから」
 それ故にというのだ。
「決してです」
「そうした先生のところにはですね」
「いないことです」
「そうですか」
「悪い部活はそうです」
 辞めるべきだというのだ。
「いいことは一つもありません」
「けれどいい部活ならですね」
「是非です」
 それこそというのだ。
「いるべきです」
「それで楽しむべきですね」
「左様です」
 速水は確かな声で話した、そのうえでミルクティーを飲んでその味を楽しんでからそのうえでさらに話した。
「是非共」
「楽しめてそうしてですね」
「人生の財産になります」
「いいこと尽しですね」
「はい」 
 まさにというのだ。
「その通りです」
「じゃあ明日から」
「合宿をですね」
「楽しんで」
 そうしてと言うのだった。
「色々やらせてもらいます」
「そうして下さい、素晴らしい経験はです」
 速水は暖かい目で述べた、
「人を心地よく成長させてくれます」
「心地よくですか」
「苦い経験は悲しさや悔しさ、無念さと共に成長させてくれ」
 そしてというのだ。
「素晴らしい経験は心地よくです」
「成長させてくれますか」
「人生ではどちらの経験も絶対にありますが」
「やっぱりどっちもですか」
「出来る限り楽しくの方がいいですね」
「はい、それは」
「ですから」
 それでというのだ。
「この度の合宿はです」
「気持ちよくですか」
「経験して下さい」
「そうしてきます」
 咲も笑顔で応えた、そうしてだった。
 アルバイトの後は家に帰って合宿に持って行くものの最終チェックを行い風呂に入り歯を磨いて寝た、そして翌朝起きると合宿に参加する為登校したのだった。


第八十三話   完


                    2022・10・15 
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