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ハッピークローバー

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第五十七話 少しでも思うことその十一

「そんなの読んで時間潰すより」
「漫画を読んでね」
「勉強すべきだよ」
「色々と大事なことが書いてあるわね」
「そうだよ、それで世の中で経験も積んで」
「成長もすることね」
「難しい本を読んで」
 そうしてというのだ。
「読破したら偉いでもないし」
「ちゃんとしたこと知ってよね」
「そうだよ、まさかさっき話した教会にいた人は」
「そうした本読んで?」
「勝手にね」
「自分を偉いと思い込んだのかしら」
「所謂中二病かな」
「それを五十過ぎても持っていたのね」
「中二病ってそうした年齢だからなるけれど」
 思春期にだ、中学二年という年頃がその頃なのでそう呼ばれるという。
「それでもね」
「五十過ぎて中二病はね」
「ないわよね」
「幼稚だよね」
「五十過ぎてそれで」 
 中二病を患ってというのだ。
「この世で一番偉いとか」
「そうした風にだね」
「考えるなんて」
 それこそというのだ。
「もうね」
「どうにもならないわね」
「全くだよ」
 ここでも眉を顰めさせて言った。
「五十年以上生きて来て何もしてこなくて」
「何も出来なくてね」
「それであまつさえだよ」
「そんな中二病患うなんて」
「幼稚でね」
 そうしてというのだ。
「自分はどう思っていても」
「偉いとか」
「主観でね、けれどね」
 それでもというのだ。
「客観ではね」
「他の人から見たらね」
「馬鹿な話だよ」
「これ以上はないまでに」
「それでその人生もね」
 これもまたというのだ。
「滑稽な位馬鹿だよ」
「そうよね」 
 一華も否定しなかった。
「知ってる人が振り返ってもね」
「馬鹿な奴だったでね」
「終わりね」
「それも最低最悪の部類でね」
 そのレベルでというのだ。
「酷いよ」
「そうよね」
「そんな人生だけは歩いたら駄目だから」
「努力することね」
「うん、こんな滑稽で馬鹿な人生歩んで」
「幸せにならないなら」
「生きていて残念だから」
 それ故にというのだ。
「本当にね」
「努力しないとね」
「うん、けれど努力したら」
 そうしたらというのだ。
「絶対にだよ」
「それが実ってね」
「幸せになれるよ」
「そうよね」
「しかし幾ら何でも」
 達川は首を傾げさせながらこうも言った、それは心から考えて結論を出せないでいる人間の物腰だった。 
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