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ハッピークローバー

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第五十一話 暴力の代償その十五

「じゃあお願いね」
「またの機会にね」
「そうしてね、暴力も色々あるのね」
 留奈はしみじみとして言った。
「一口に言っても」
「そこにあるものはね」
「最低だけれどね」
 暴力自体はというのだ。
「本当に」
「けれど実際にあってよ」
「自分も遭うかも知れないから」
「それでよ」
「充分以上に気をつける」
「そうしてね」
「そうするわね、そしてまたお話してくれたら」
 その時はというと。
「あらためてね」
「頭に入れてくれるわね」
「そうするわね」
「そうしてね、人はよく忘れるけれど」 
 言われたこと、それに見たこともだ。
「何度か覚えなおすとね」
「その都度頭に入って」
「完全に覚えるからね」
「何度も言ってくれるのね」
「大事なことはね、このことはそうだから」
 その大事なことだからだというのだ。
「とてもね」
「それで何度も言ってくれるのね」
「そうするからね」
「お願いするわね、大事なことは何度もなのね」
「言うことよ、そうしてね」
「相手に覚えてもらうことね」
「そのことも大事なのよ、じゃあね」
 母はあらためて言った。 
「後は飲みましょう」
「ええ、しかし多いわね」
 気付けば五〇〇ミリリットルのビールの缶が幾つもある、留奈はそれを見て何時の間にとも思った。
「今日これだけ飲むのお母さん」
「あんたもよ、実はお豆腐貰ったけれど今日までだから」
「ビールのおつまみにして食べるのね」
「お父さんもいるけれどね、お兄ちゃんも」
「二人共お豆腐好きじゃない」
「兎に角一杯貰ったのよ」
 それでというのだ。
「私達もよ」
「食べて少しでも減らすのね」
「そうするからね」
「わかったわ、じゃあいただくわね」
 ビールだけでなく豆腐もとだ、こう答えてだった。
 留奈は母と共にビールのつまみとして豆腐を食べた、後でその父と兄も来てそのうえで豆腐は無事に全部食べられた。


第五十一話   完


                 2022・8・23 
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