ハッピークローバー
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第四十九話 ラフな格好をその八
「本当にそれだけでね」
「不幸ですね」
「そうよ、それで鈴木さんは」
「幸せです」
そうだとだ、かな恵ははっきりと答えた。
「そう思っています」
「そうよね」
「実際に。今阪神も強いですし」
「ああ、あのチーム強いわね」
先輩もそれはと頷いた。
「今シーズンも」
「もう無敵ですね」
「昔は弱かったというか」
「暗黒時代で」
そう言ってよかった、監督で言うと第二次吉田政権最後のシーズンから野村政権の頃のことである。
「もう負けて負けてで」
「どうにもならなかったのよね」
「私その頃生まれてないですが」
「聞いてるのね」
「それもかなり聞いてネットでもその頃のこと読んでるので」
それでというのだ。
「よく知っていてそれで」
「それで?」
「見てきたみたいに知ってます」
そのレベルでというのだ。
「本当に」
「弱いどころじゃなくて」
「助っ人は全部外れで」
まずこれがあってというのだ。
「バッターの方は」
「今は打つ人ばかりなのに」
「特にグリーンウェルが酷くて」
この助っ人がとだ、かな恵は洗いものをしつつ答えた。
「破格の契約金で契約して」
「駄目だったのね」
「いえ、中々来なくて」
日本にというのだ。
「やっと来たかと思ったら」
「どうなったの?」
「すぐに帰国して引退でした」
「すぐになの」
「それで詐欺って言われてます」
阪神ファンの間ではだ。
「それも国際ってつく」
「物凄いことね」
「そんな助っ人もいましたし」
阪神暗黒時代にはだ。
「投手陣は抑えていても」
「打線が打たなかったのね」
「はい」
実際にというのだ。
「そうでした」
「それで毎年みたいに最下位だったのね」
「昔は」
「けれど今は強いから」
「そのことも嬉しいです」
こう先輩に話した、ここでスープが出来て先輩は火を止めた。
そして鍋をキッチンの水槽に入れた、水槽に蓋をしてだった。
蛇口を開いて水を入れてだった。
氷も多く入れた、そうしてスープを冷やしに入った。かな恵はそれを手伝いつつ先輩にさらに話した。
「阪神が強いことも」
「そうなのね」
「とても」
実際にというのだ。
「有り難いです」
「幸せなのね」
「いい家庭で」
そしてというのだ。
「阪神が強かったら」
「幸せなのね」
「しかも健康なら」
このこともあればというのだ。
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