| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ハッピークローバー

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第四十二話 カレーライスを食べてその十四

「曲りなりにもな」
「ちゃんと描いていたのよね」
「週刊でな」
「今じゃ信じられないわね」
「二十世紀の話だけれどな」
 それでもというのだ。
「昔はな」
「ちゃんと描いていたのね」
「ああ、それがな」
 今ではというのだ。
「あんな風だよ」
「どうしてそうなったのかしら」
「編集部と揉めてるって話あるけれどな」
 俗にそう言われている。
「前の世紀からな」
「長いわね、揉めるのが」
「月刊でもいいけれどな」
 兄は本音を述べた。
「俺としては」
「ちゃんと描いてくれるなら」
「それならな」
「それに越したことはないわね」
「ああ、せめて俺が死ぬまでにな」
 かなり本気での言葉だった。
「あの作品完結して欲しいな」
「流石に完結してるでしょ」
 留奈は深く考えずこう返した。
「あの作品も」
「そう思うか?」
「やっぱりね」
「あれだけ描かなくてもか」
 兄の問いは真顔によるものだった。
「それでもか」
「そう言われると」
「わからないだろ」
「ええ」
 留奈も言われて頷いた。
「あの漫画については」
「そうだろ、だからな」
 それでというのだ。
「俺が死ぬまでにな」
「終わって欲しいのね」
「出来るだけな」
 兄は本気で言った、そしてだった。
 留奈は兄と話した後でそれをスマートフォンで理虹に話した、すると彼女も家でその作品のことを彼女の妹と話したのだった。


第四十二話   完


               2022・6・15 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧