ハッピークローバー
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第三十九話 合コンが終わってその十
「完全にね」
「人間としておかしくなっている」
「そんな人こそがね」
「怖いわよね」
「妖怪とかめじゃないよ」
それこそというのだ。
「妖怪が団体で歩いていてもね」
「百鬼夜行ね」
「それは面白いけれど」
「幽霊、怨霊だとね」
「京都にそうしたお話あるからね」
「あそこに?」
「あわわの辻って言って」
それでというのだ。
「藤原氏に怨念を持つ人達の怨霊が集まって」
「それでなの」
「団体で歩いて藤原氏の屋鋪の前まで来るんだよ」
「そんなお話もあるの」
「それでこれがね」
「怖いのね」
「怨霊の団体だからね」
それ故にとだ、達川は話した。
「妖怪だったら歌って踊りながら行進するけれど」
「パレードみたいなものね」
「怨霊だとね」
「そういうのもなしね」
「もう怨みを出して」
そうしてというのだ。
「恐ろしい顔で進んでいくんだ」
「それがあわわの辻なのね」
「俺もそれ読んで怖いと思ったよ」
「そうだったの」
「うん、本当に怖いのは人間だよ」
「怨霊も人間ね」
「まあ心が人間でないなら」
それならとだ、達川はこうも話した。
「もう人間じゃないだろうけれど」
「化けものね」
「どんな外見でも心が人間だと人間だろうけれど」
「心が人間でなかったら」
「人間でないよ」
「化けものね」
「妖怪はいいとして」
この存在はというのだ。
「けれどね」
「化けものは」
「もう妖怪よりも遥かにね」
それこそというのだ。
「恐ろしいよ」
「人間がそうなると」
「そう思うよ」
「一番怖いのは人間がなるものね」
「そうじゃないかな、だからこの団地に妖怪がいて」
「私達の前に出て来ても」
「怖くないよ、精々驚かしてくる位だからね」
妖怪ならというのだ。
「それよりも通り魔とかの方が怖いよ」
「実際に襲って来るし」
「うん、あと最近ね」
「最近?」
「狂犬病の予防接種してる人減ってるらしいから」
「えっ、そうなの」
一華はその話に顔を顰めさせて返した。
「犬の」
「うん、予防接種は七割位で」
「後の三割の人が接種させてないの」
「そうらしいよ」
「あの、狂犬病って」
一華はこの病気について話した。
「感染したらほぼ確実に」
「死ぬよ」
「そうよね」
「最近それをね」
「接種させてない人がいるのね」
「だから若しかしたら」
達川は暗い顔で話した。
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