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第三十九話 合コンが終わってその九

「この団地って出るのよね」
「妖怪がだよね」
「そう言われてるのよね」
「うちの学校妖怪とか幽霊の話滅茶苦茶多いけれど」
「この団地も出るってね」
「私達って妖怪に縁あるわよね」
「そうだよね、ただ妖怪ならいいよ」
 達川は隣にいて一緒に歩いている一華に笑顔を向けて話した。
「通り魔とかよりもね」
「妖怪は別に悪いことしないからね」
「幽霊だってね」
「その幽霊次第なのよね」
「怨霊だったら怖いけれど」
「生霊でも死霊でもね」
「幽霊って結局は身体にいるかいないかだから」
 達川は一華に話した。
「普通の人間との違いはね」
「そうよね」
「だから怨霊は身体にあったら」
「怨みの塊ね」
「そうした人だよ」
 魂が身体にあればというのだ。
「身体があったら」
「それで身体から出ていたら」
「怨霊になるんだよ」
「そうよね」
「生きている人も」 
 死んでいる場合だけでなくというのだ。
「あんまりにも怨念が強いと」
「身体から魂が出るのよね」
「源氏物語や雨月物語であるけれど」
 こうした古典作品でというのだ。
「それで身体から出てね」
「怨念を発揮するのよね」
「そうなんだよね、これが」
「生きていても怨霊になるのね」
「うん、勿論死んでもね」
 この場合もというのだ。
「怨霊になるよ」
「怨みを持っているかどうか」
「本当に人間と幽霊の違いは」 
 それはとだ、達川は一華に話した。
「身体があるかないかだよ」
「それだけの違いね」
「だから怖いのは」
「人間よね」
「実際人間って怖いよ」
 達川は顔を曇らせて語った。
「そうした一面は確かにあるよ」
「そう言われるとね」 
 一華は達川の今の言葉を受けてやや俯いた、そうして考える顔になってそのうえで達川に対して言葉を返した。
「そうした人もいるわね」
「怨念に凝り固まったりしてね」
「おかしくなって」
 そうなってというのだ。
「もう人間でない様な」
「怨霊にね」
「そんな風になってる人いるわね」
「そうだよね」
「そうした人こそが」
 まさにとだ、一華は言った。
「一番ね」
「怖いよね」
「ええ」
 達川に考える顔のまま答えた。
「本当にね」
「そうだね、怨念や狂気に支配されて」
 そうなってとだ、達川は話した。 
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