綾小路くんがハーレムを構築する話
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清隆くんのお宅訪問 堀北編
3月中旬の朝。
AM6:00
堀北「ん……もう朝なのね。」
私は少し伸びをしてからベッド降りて、洗面所に向かった。
私にとってこの時間に起きるのはいつもの事。だけど……今日に限って言えばあまりよく眠れなかった気がする。
顔を洗ってから髪をいつも通り整えて、制服に着替えた。
着替え終わった私はキッチンにいき、簡単な朝食作りを始める。栄養とビタミンが豊富な野菜を使ってサラダを作り、あとは簡単にトーストとヨーグルトを用意してテーブルに持っていった。
堀北「……いただきます。」
しっかり手を合わせてから、自分の作った朝食を口に運ぶ。私はテレビを観たりしないため、咀嚼音のみが部屋に響く。
朝食を食べ終えて、お皿を片付けてからコーヒーを淹れる。
コーヒーを飲みながら、学校に行くまでの少し空いた時間を使ってゆっくりと静寂の中、小説を読んで過ごす。
これが私の日常。
他人から見ればつまらない日常に見えるかもしれない。それでも私はこの瞬間が一番落ち着く。
静寂の中、ページをめくる音のみしか響かない部屋で本の世界に没頭できる朝が好き。
でも今は……小説に集中できてない自分がいた。
堀北「ふぅ……彼はもう起きたのかしら?」
いま、私が小説に集中出来ないのは綾…清隆くん……彼が原因だった。朝早く目覚めると不意に彼が起きてるか気になってしまう。
多分、起きてるわね……ここ暫く彼は早い時間に登校しているもの。
少し前までは私より遅く登校して来て、いつも眠そうにしながら『おはよう、鈴音』と言って来るのが常だったのだけど……
今ではその逆で、机に座って頬杖をつきながら眠そうにしている彼に私から『おはよう。』と挨拶するようになった。
そのやり取りが嫌なわけではないし、むしろそれが心地良く感じて……
堀北「……何で私は彼のこと考えてるのよ//////!」
こんなこと考えている自分に恥ずかしくなって、慌てて大きな声で否定した。
この私が朝から一人の男の子の事考えるなんて……ありえないわ!
これは、その、何て言うか……星之宮先生が提案した事がチラついて色々考えてしまうだけであって……いつも彼の事を考えている訳ではないんだから//////!
ふぅ……落ち着きなさい、私。こんなことで心が乱れるなんてらしくないわ。
少し深呼吸して、落ち着けましょう……。
堀北「……今日の私で最後なのよね。」
深呼吸して落ち着いた私はカレンダーを見て確認する。
あの時引いたクジの番号は10番。つまり、私が最後。
でも………
私はこのクジを引いたからと言って、どうこうしようとは思わない。そんなのは時間の無駄遣いだし、第一どうだっていい。これはこのクジを引いた時から変わっていない。
けど………
堀北「一之瀬さんたちは彼と過ごしたのかしら?」
こんなことどうでもいいと自分では思っている筈なのに何故かそれだけが気にかかっていた。
彼を部屋に呼べる猶予は1日のみ……その間にそれぞれ彼を部屋に呼んだのだろうか?
坂柳さんの口振りだと彼女は部屋に誘ったのは間違いないでしょうけど……他の皆は良く分からないわね…。
まぁ、必ずしも誘わなければいけないルールなんて無いのだけれど……そもそも彼が承諾するかどうかも分からないのだから。
でも……何故こんなに気になってるのか自分でも良く解らない。
別に彼が他の誰かと一緒に居ようが、私には関係ない筈なのに……
一体どうして?
この気持ちは何なの?
いくら考えても解らない。
ただ、一つ解るのは……彼のせいで貴重な私の朝が無駄になったこと。それだけ。
堀北「はぁー……下らないことに時間を割いたわね。そろそろ学校に行く時間かしら?」
色々考えてしまう自分にうんざりしながら、時計を確認した。
意外にも7時を回ったばかりで驚いた。この時間ならまだ学校に行くには早いわね。
でも……この時間ならもしかして……
彼が登校してるかも……
堀北「また彼の事を考えて……//////」
いえ……これはただ、彼のせいで私の有意義な朝の時間を邪魔されたから腹が立っているだけ。
それだけよ……何だかイライラしてきたわね…。
今日彼に会ったら文句でも言ってやらないと気が済まないわ!
私はスッと立ち上がって、学校に行く準備をした。
私の朝を邪魔した彼には渇を入れてやるんだから!
そんな気持ちを抱えて部屋を出た。
7:15
堀北「流石に部屋を出る時間早かったわね……」
私はエレベーターを待ってる間、少しそわそわしていた。
こんな時間に学校に向かうなんて初めて……やっぱり一度戻ろうかしら?
いえ……そんな無駄な手間をかけるのは私らしくないわ。
それにエレベーターだってもう来る頃だろうし、大人しく学校に向かいましょう。
チン……
???「あれ?堀北さん?おはようー♪」
エレベーターが私の階に到着したので乗ろうとしたら……私は急に声を掛けられた。
そこには……
堀北「おはよう……一之瀬さん。」
一之瀬「こんな朝早く珍しいねー?」
堀北「えぇ、まぁ……貴女も早いようだけど、どうしてこの時間に?」
一之瀬「私は生徒会の仕事が忙しくてねー……最近はこの時間に登校してるんだー。」
堀北「……大変そうね、生徒会も。」
私たちは挨拶をして、少し会話をしながら一階に着くのを待った。
まさか……ここで一之瀬さんに鉢合わせるなんて思いもしなかったわ。
この時間なら誰も居ないと思っていたし……生徒会の用事で学校に向かってるなら仕方ない事ね。
この時期は特別試験など行事も多いものね。
一之瀬「ほんとに大変で猫の手も借りたいくらいだよ~。でも……この時間はいつも楽しみなんだけどね~…//////」
堀北「え?」
一之瀬「あ、えっと、な、なんでもないよ//////!」
堀北「?」
チン……
一之瀬さんの言い方に気になっていたら、エレベーターが止まった。
一之瀬さんや私の他にもこの時間に登校する生徒が居るの?
一之瀬さんはともかく一体そんな物好き誰かしらね……
私がそんな事を考えていたとき、乗って来た生徒は……
堀北「!!!」
???「おはよう、帆波。今日も早いな?」
一之瀬「うん!おはようー♪」
堀北「………」
???「………」
私は一瞬頭がフリーズしてしまった。
だって、ほんとにこの時間に会うなんて思ってなかったのだから……
彼は一之瀬さんに挨拶して、エレベーターに乗ろうとした瞬間立ち止まった。
私が乗っていたから驚いたのだろう。いつものポーカーフェイスは崩していないのだけど……
堀北「乗るの?乗らないの?早くして貰えるかしら……清隆くん?」
綾小路「……乗ります、乗ります。乗らせて頂きます。」
彼は足早にエレベーターに乗ってくると、私と一之瀬さんの間に来た。
堀北「おはよう、清隆くん。」
綾小路「……おはようございます。」
彼はまるで先生に向かって挨拶するように敬語で挨拶を返してきた。
堀北「随分と丁寧な口調のようだけど?どうかした?」
綾小路「いや……何となく怒っているような気がしてな。気に障ったのならすまない。」
堀北「いいえ、謝る必要はないわ。現に私は怒っているもの。」
綾小路「………」
一之瀬「えぇ?どうして堀北さん怒ってるのー?ただ、朝に出くわしただけじゃ…」
私たちの様子を見ていた一之瀬さんが、宥めるように割って入ってきた。
堀北「その通りよ、一之瀬さん。でもね……」
一之瀬「?」
堀北「一之瀬さんは彼の顔を見たかしら?」
一之瀬「顔?ん~……私にはいつも通りの清隆くんに見えるんだけどなぁ…。」
一之瀬さんはマジマジと彼を覗き込むように見ていた。
随分彼と距離が近いのが気になったけど……
堀北「一之瀬さん、それは違うわ。さっき彼は私の顔を見た瞬間、出会ってはいけない人を見てしまったような表情をしていたわよ?ねぇ、清隆くん?」
綾小路「………」
堀北「その沈黙は肯定と見させて貰うわね。」
一之瀬「ほぇ~堀北さん凄いね!一瞬で清隆くんの考えていること分かるなんて。」
堀北「これくらい、容易いわよ。」
綾小路「……こっちは気が気でないんだがな。」
堀北「何か言った?」
綾小路「……いえ、何も。」
彼の声は本当は聴こえていたけど、ここは聞き流すことにした。
そして、一階に着いた私たちはエレベーターから降りて学校に向かう。
ここで、私は彼に疑問をぶつけてみた。
堀北「いつもこの時間に登校しているの?」
綾小路「ここ最近はそうだな。理由はまぁ……察してくれ。」
理由なんて聞かなくても分かる。
彼が早く登校するのは目立ちたくないから。ここ最近の彼の状況を知っていれば容易に分かる。
それより気になるのは……
堀北「と言うことは……ここ最近は一之瀬さんと一緒に登校してるってことよね?」
綾小路「まぁ……そういうことになるのか?」
彼は疑問系の言葉を遣って一之瀬さんに確認していた。
私は彼女の方を見て表情を窺ったら……
一之瀬「えっと、うん…そうだね//////♪」
一之瀬さんは嬉しそうに満面の笑みを浮かべて言ってきた。
私は一之瀬さんの反応を見て確信した。
さっき彼女が言っていた朝の楽しみとは、このことなのだろうと。
堀北「………」
綾小路「鈴音さん……どうかしましたか?」
堀北「何が?」
綾小路「いや、何となくなんだが……さっきよりも怒ってるように見えるんだが…。」
堀北「そう?……気のせいじゃないかしら?」
綾小路「それならいいんだが……」
彼は腑に落ちないのか、暫く私の顔をじーっと見ていたけど……直ぐに視線を外した。
一之瀬さんは私たちが話し終わったのを見計らって彼と話し始めた。彼女は凄く楽しそうに話しかけていたのが印象的だった。
私は彼と特に話す事もなく、学校に向かった。
学校内。
一之瀬「じゃあ、またね♪清隆くん!堀北さん!」
堀北「えぇ。」
綾小路「あぁ、またな。帆波。」
彼女は生徒会室に向かうため、下駄箱の所で別れた。その際、彼に向かって可愛らしく手を振っていた。
私たちは教室に向かうため、一緒に歩く。
ガラッ……
彼は扉を開けた後、『お先にどうぞ。』と言わんばかりに私を教室に入らせた。
やはりと言うべきか教室には私たち以外誰も来て居なかった。
こんな早い時間に登校するメリットはないから当然ね。ただ、一人を除いては……だけど。
綾小路「今日はどうしてこんなに早いんだ?」
彼は自分の席に座ってカバンを置いてから私に疑問を投げ掛けてきた。
私は少しドキッとしてしまった。
何故ならば、彼に文句を言うために部屋を出るのを早めたのだから……
この事実をそのままはっきり言うのは何だか理不尽だし、馬鹿みたいに聞こえるわね…。
ここは……
堀北「別に深い意味はないわ。ただ早くに目覚めただけよ。」
綾小路「それにしては早いと思うが……」
堀北「私がいつ登校しようと自由じゃなくて?違う?」
綾小路「……仰る通りですね。」
堀北「ならこの話しは終わり。話し掛けないでくれる?」
珍しく私に食いついてくる彼にイライラして(まぁ元々彼のせいで朝からイライラしていたけど)少しきつめの口調で彼に対して言い放った。
彼はそれ以上何も聞かずに、カバンから小説を取り出して読み始めた。私もすることがないので、本を読むことにした。
暫く私たちの間で静寂が続いていると……
ガラッ……
茶柱「今日も早いんだな?綾小路?」
綾小路「……おはようございます、茶柱先生。」
茶柱「あぁ、おはよう。ちゃんと挨拶出来るようになったな、綾小路?」
綾小路「……ちゃんと挨拶はしていたと思いますが?」
茶柱「さぁ、どうだったかな……ん?今日は堀北も一緒なのか。珍しいな?」
堀北「茶柱先生おはようございます。彼と会ったのは偶然です。」
茶柱「おはよう、堀北。そうかそうか……なら丁度いい。」
堀北 綾小路「「?」」
茶柱「二人とも書類を運ぶの手伝ってくれ。」
堀北「書類……ですか?それは私たち生徒が関与しても大丈夫なものなんですか?」
茶柱「心配するな、堀北。春休み前に配るプリントで注意事項や春休みの過ごし方など記載したものだから心配はない。」
堀北「なるほど……しかし、私にメリットはないと思いますが?」
茶柱「日頃からお世話になってる先生の仕事を手伝うのも大事なことだと思わないか?堀北?」
堀北「……何故私もなんですか?彼だけ連れていけば事足りるでしょう?」
綾小路「あのな……」
茶柱「元々は綾小路に頼みに来たんだが……まぁ人手は多いに越したことはない。二人とも手伝ってくれるよな?」
余裕そうな微笑みを浮かべて茶柱先生はこちらを見てきた。
まさかこの時間に茶柱先生と会うとは思わなかったわ。しかも仕事を押し付けられるなんて……仕方ないわね。
堀北「分かりました。行くわよ、清隆くん?」
綾小路「……分かった。」
茶柱「そうか来てくれるか。優しい生徒を持って先生は嬉しいぞ?」
堀北 綾小路「「……」」
職員室。
堀北「ここに置けばいいんですね?」
私たちは事務室に移動してそれぞれ段ボールに入ったプリントを一箱ずつ持って職員室に運んだ。
それにしても……
事務室から職員室まで結構距離あるのね……この学校はとても広いから先生方は大変そうね。
茶柱「あぁ、二人とも本当に助かった。礼を言うぞ。」
茶柱先生も自分で運んでいた段ボールを机に置いて私たちにお礼を言ってきた。
綾小路「茶柱先生がそんな事言うなんて珍しいですね?」
茶柱「随分失礼な言い方だな?やはり綾小路お前一人に任せれば良かったかな?」
綾小路「……俺に対する扱い方が雑すぎじゃないですか?」
彼の皮肉たっぷりの言い方に腹を立てたのか茶柱先生はいつものクールな表情で彼を見ていた。
と言うことは……
堀北「茶柱先生も……彼がこの時間に登校していたの知ってたんですか?」
茶柱「ん?あぁ、まぁな。私はあの時間に教室のカーテンを開けるからな。」
堀北「なるほど……そうだったんですね。」
茶柱「まぁ、とにかく助かった。」
堀北「それでは私たちは失礼します。」
私たちはそのまま職員室を出ていこうとしたら茶柱先生が……
茶柱「あぁ、ちょっと待ってくれ。」
堀北 綾小路「「?」」
茶柱先生は私たちを引き止めた後、自分のデスクから何かを取り出し始めた。
一体なにかしら?
これ以上仕事を押し付けられるのはいくら何でも嫌なのだけど……
私がそう思っていると、茶柱先生は意外なものを取り出した。
堀北「映画のチケット……ですか?」
茶柱「そうだ。まぁ、運んでくれたお礼と思ってくれ。」
私たちに渡して来たのは映画のチケット。
今日上映のホラー映画だった。
綾小路「茶柱先生も映画鑑賞するんですね?そうは見えませんが…。」
彼は映画のチケットを貰いながら茶柱先生に向かって言った。
私も意外だと思ったけど……些か失礼かしら?
茶柱「いや…生憎だが興味はない。」
綾小路「それなら何故チケット持ってるんですか?」
私も気になった疑問を先に彼が切り出した。
興味が無いならこんなもの買わない筈……一体どうして?
茶柱「本当は知…星之宮が私と一緒に行こうと切り出して用意したものだったらしいんだが……その本人は仕事が溜まっていて今日から残業なんだ。全く。」
堀北 綾小路「「あぁ、なるほど…。」」
彼と私は全く同じタイミングで呆れるように言ってしまった。
いや、実際普段の星之宮先生ならあり得そうな話しなのだからしょうがないわよね?
茶柱「自分は仕事で観に行けないからと星之宮が私にチケットを押し付けてきてな……私は行くつもりないと言ったんだが、本人がせっかく買ったんだから観に行って感想聞かせてよ~と言ってきたもんで困っていたんだ。」
茶柱先生は顔をしかめながら、面倒臭そうに言った。
なんというか……先生も大変ね。
堀北「なるほど……理由は分かりました。ですが、私もこういった映画には興味無いので……それでは失礼します。」
茶柱「そうか。まぁ、それならそれで構わないぞ?別に強制ではないからな。」
茶柱先生は私たちにそれだけ言って、パソコンに目を向けた。
私たちは職員室を出た後、教室に戻るため一緒に歩く。
彼の方をふと見てみると……映画のチケットを凝視していた。
堀北「……貴方は興味あるの?」
綾小路「まぁな。休みの日は定期的に映画館に足を運んでるからな。結構観るぞ?」
堀北「そうなの?」
綾小路「あぁ。ホラー映画か……このジャンルはまだだったな。気晴らしに行ってみるか。」
彼は無表情を崩さず淡々と話しているけど、チケットを貰えて嬉しそうなのは分かった。いつもより饒舌だし。
本当に興味があるのね……少し意外だわ。
私は全く興味は無いのだけど……
綾小路「堀……鈴音は行かないのか?」
堀北「私は興味無いわ。」
綾小路「そうか。まぁ、ホラー映画が苦手な女子は観ないだろうし、怖いなら無理しなくてもいいしな。」
堀北「………」
私は彼の言い方が気になり、足を止めた。
これって……何だか馬鹿にされてる気分じゃない?
彼は私がホラー映画苦手だから行かないって言ってるように聞こえるんだけど?
綾小路「どうした?」
足を止めた私が気になったのか彼も足を止めてこちらを向いた。
堀北「……別に私は怖くないわよ。」
綾小路「ん?」
堀北「ん?じゃないわ。私は別に怖くて観ないわけではないわ!」
綾小路「あ、あぁ……興味無いんだろ?分かってるから落ち着け。」
私は彼に凄むように近づいて言い放った。
それに驚いたのか彼は宥めるように言ってきた。
堀北「いいえ、貴方は分かってない!それなら……私も映画観に行くわよ。」
綾小路「興味無いなら別に無理に行かなくてもいいんじゃな……」
堀北「良くないわよ!貴方の前で証明して見せるんだから怖くないって!だから私も貴方と映画観に行く。異論は?」
綾小路「……ありません。」
堀北「じゃあ、放課後よろしくね?清隆くん。」
私はそれだけ言って、先に教室に戻る。
今日の放課後証明してやるんだから!ホラー映画ごときで私は怖がったりしないって!
映画館。
放課後授業が終わって直ぐに私たちはケヤキモール内部にある映画館に来た。
内心楽しみになってきてる自分がいた。観るのはホラー映画なのだけど。
堀北「…意外と広いのね。」
綾小路「初めて来たのか?」
堀北「えぇ。私は今まで観たいと思った映画なんてないもの。」
彼はそうなのか?と言いながらドリンク二つ持ってこちらにやってきた。
わざわざ買って来てくれたのね……こういう気遣いは素直に嬉しいわね。
綾小路「オレンジジュースで良かったか?」
堀北「えぇ。ドリンクはいくら?払うわ。」
綾小路「これくらい別に構わない。こういうのは男の役目だしな。」
堀北「そう?それならお言葉に甘えようかしら…//////」
綾小路「あぁ。俺が言うのもなんだが、初めての映画鑑賞楽しんでくれたら嬉しい。……って言っても、ホラー映画だから楽しむっていうのも変だと思うがな。」
堀北「貴方ってほんと……//////」
綾小路「ん?何だ?」
堀北「……別に何でもないわ//////!早く中に入りましょう。」
綾小路「?」
こういった事をサラっと言ってしまう彼に不覚にもドキッとしてしまった//////
……ドキッていうのはちょっと驚いただけ//////!変な意味ではないわ!
私は彼に悟られないように先に中に入った。中には観に来てる生徒が多数いた。
今日が公開日だからかしら?いずれも男女同士で俗にいうカップルと来てるものがほとんどだった。私は指定された席に座ってふと思った。
あら?ちょっと待って……
今更なのだけど……これって……何だか……
綾小路「どうかしたか?」
堀北「な、なにが……//////?」
綾小路「いや、なんか顔が赤いぞ?」
堀北「べ、別に何でもないわ//////!」
綾小路「それならいいが…」
彼は私の顔を不思議そうに見ながら、私の隣に座った。男の子と二人っきりで暗闇の中……
これって……まるで……デー…とじゃないわ。そうじゃないわ//////!
これはほら……彼にホラー映画なんてフィクション私が怖がらないと証明するために来ただけ。そう、それだけだわ//////。
しっかりするのよ、鈴音。これしきの事で心が乱れるわけないんだから!
深呼吸よ、深呼吸。しっかりリラック……
???「げっ……なんであんたたちここにいんのよ!」
綾小路「……ここに居る理由は映画観に来る以外ないだろ。」
堀北「貴女は……」
深呼吸していた時、急に声が聞こえて驚いた。
そして更に驚いたのはその人物。そこに居たのは……
???「その言い方ほんとムカつく。」
綾小路「それ以外言い方ないだろ……伊吹。」
堀北「伊吹さん。こんなところで逢うなんて偶然ね?」
伊吹「堀北鈴音……あんたがいるなんて何の冗談?」
堀北「それはこっちのセリフだわ。」
声を掛けてきた人物はDクラスの伊吹澪さん。
私にとっても1学期の無人島試験の時から因縁がある生徒。
それ以来何かと彼女は私に突っかかってきた。体育祭のリレーでは勝負しろってうるさかったし……私が勝ったけど。
伊吹「……二人っきりで映画?なにあんたたちデートってやつ?」
彼女は私の方を見てニヤニヤしながら言ってきた。
幼稚なカマかけね。ここで焦ったりしたら、伊吹さんの思うツボ。
そう思って私は抗議しようとしたら……
綾小路「違うぞ?たまたま映画のチケット貰ったから鈴音と来ただけだ。」
私が言おうとしたことを彼が先に伊吹さんに言った。
伊吹「……鈴音?ふーん……」
綾小路「何だ?」
伊吹「……別に。」
伊吹さんは彼が私の事を名前で呼んでるのが気に入らないのか……彼女はそっぽを向いた。
彼女は自分の席に座ろうとした瞬間……
伊吹「……何で席隣同士なわけ?あんたの隣なんてやなんだけど?」
どうやら彼女の席は私の隣だったみたいね…。
堀北「それもこっちのセリフだわ。清隆くん席替わってくれない?彼女の隣だとうるさそうだから。」
私は立ち上がって清隆くんと席替わろうとしたら……
伊吹「はぁ?綾小路の隣もごめんなんだけど?あんたたち違う席に行きなさいよ。」
堀北「それは愚の骨頂だわ。文句があるなら貴女が移動すれば?」
私たちはその場でにらみ合いしていたら彼が……
綾小路「お前たち落ち着け。もう始まるぞ?ほら。」
『まもなく上映します。場内は暗くなりますので気を付けて席にお座り下さい。』
堀北 伊吹「「……」」
結局その後、折衷案として彼を私たちの真ん中に座らせることで落ち着いた。
ちなみに私は彼の右隣で伊吹さんは左隣。
堀北「せいぜい怖がらないことね。」
伊吹「はぁ?あんたこそ泣きべそかかないようにね。」
綾小路「お前たちもう止めとけ。」
堀北 伊吹「「……ふんっ。」」
最悪の気分にはなったけど……映画に集中すれば彼女なんて気にもならないわ。
映画に集中よ集中。
上映中。
堀北「中々リアルなのね…。」
ホラー映画の内容は男女5人組が心霊スポット巡りを敢行して山奥の廃校を興味本位で探検してそこは呪い?の学校という設定のお話しだった。
こんなところに行こうとするなんていくらフィクションでも有り得ないわね。時間の無駄よ。と思って観ていた。
ほら、こんなので怖がったりしないわ。
けど……
今時の映画ってこんなにもリアルなのね……映像もクリアだし……大型モニターだから臨場感が……
綾小路「おい……大丈夫か?」
堀北「え?あ、別に私は怖がってなんか…」
綾小路「ちょっと動き辛いんだが……伊吹。」
堀北「え?」
彼は私にではなく……伊吹さんに話し掛けたみたいで少し恥ずかしかった///
彼女を見てみると……彼の左手を掴んでいた。
伊吹「はぁ?こ、ここは私の肘掛けでしょ?あんたが邪魔なの//////!だから……ひゃっ!」
映画のシーンでドンッ……と大きな音がした瞬間、周りから(主に女性)の悲鳴が多数起きた。私も少し驚いたけど…
伊吹さんも例外ではなく、いつもの勝ち気な様子が無さそうだった。女の子のような悲鳴を上げて驚いていた。
彼は伊吹さんのその様子を見て小声で…
綾小路「……ホラー映画苦手なのか?」
伊吹「べ、別に苦手でも何でもないわよ。大きな音とか急に来るからびっくりするだけで……」
伊吹さんはあんな風に啖呵切った割にホラー映画は苦手のようね……
私たちが居る手前強がったのかしら?
綾小路「……」
伊吹「なによ……笑いたければ笑えばいいじゃない。」
綾小路「いや、別に笑わない。ホラー映画が怖いのは当然の事だしな。」
伊吹「……」
綾小路「怖いことは別に恥ずかしいことじゃないだろ?手を握って怖さが紛れるなら別に手を掴んでいても構わない。」
伊吹「だ、誰があんたの手なんか…//////」
綾小路「まぁ、とにかく怖がっても馬鹿にはしないから安心しろ。」
伊吹「……//////」
堀北「……」
彼は伊吹さんに出来る限り優しく言って、手を掴むのも許していた。
何だろう……何か朝のイライラがまたやってきた気がした。
何故かは分からないけど……私は気付くと…彼に手刀を入れていた。
綾小路「鈴音?痛いんだが……急に手刀入れないでくれるか?」
堀北「私ったら手が滑ったわ……ごめんなさいね。」
綾小路「それにしては結構威力あったんだが……」
堀北「気のせいよ。映画に集中したら?」
綾小路「何か……怒ってないか?」
堀北「……気のせいよ。」
彼は何故急に手刀を喰らわされたのか納得いってなさそうだったけど、映画の方に集中し始めた。
1時間後……
気づけば映画も終盤に差し掛かり、5人から主人公とヒロインの二人だけになっていた。
残りの3人はどのようにして物語から離れたのか、全く分からなかった。
何故なら……私はずっと彼と伊吹さんを注視していたのだから。
今、主人公たちは両手に鎌を持った血まみれの女の人に追いかけられているシーンだった。
せっかく来たのだから、オチだけは観ようと伊吹さんから目を離して映画に集中する。
映画のシーンとは言え何だか此方まで緊迫感が漂い、私はドキドキした。
何とか主人公たちは逃れてその場から脱出した。
何だか拍子抜けね?何のアクションも無しに逃れて終了なんて…所詮この程度と思った……次の瞬間!!!
堀北「!!!」
まだ逃げ切れておらず……主人公たちまで惨殺された……
主人公たちを惨殺した後、女の人は……こう言った。
『ツ……ギハ…オマ…エ…タチノ…バンダ……』
堀北 伊吹「「ひゃっ//////!!!」」
私と伊吹さんは全く同じタイミングで声を出して……更に全く同じ行動をしていた。
彼の手を掴む行為よりも更に恥ずかしい行為……それは…
怖さと驚きで私と伊吹さんは彼の腕を組むようにして掴んでいた//////。
綾小路「……二人とも大丈夫か?」
物語は終了しエンドロールが流れ始めたところで彼が話し掛けてきた。
堀北「な、なにが?これっぽっちも問題なんてなかったけど//////?」
伊吹「わ、私は堀北鈴音の声に驚いただけだし……最後のシーンでビビってないし//////!」
堀北「貴女……それはずるいんじゃない?良く言うわよ、ずっと彼の手を握り締めてた癖に!」
伊吹「はぁ?そういうあんたは最後のシーンで私より声だしてビビってたじゃない!」
堀北「最初から最後までビクビクしてた貴女よりマシだと思うけど?」
伊吹「この…」
売り言葉に買い言葉で突っかかってくる彼女と舌戦をしていたら……
綾小路「二人ともそこまでにしておけ。早くここから出るぞ。次の映画が始まるからな。」
堀北 伊吹「「……」」
彼の言葉で我に返った私たちはそれぞれそっぽを向いた。
どうして彼女は私に突っかかってくるのかしら?早く帰りましょう……疲れたわ。
と思っていたら彼が……
綾小路「二人とも……そろそろ離して貰えないか?動けないんだが…」
堀北 伊吹「「……////////////!!!」」
私たちはハッとなり、今の状況を客観的に見た。
私たちは今の今まで……彼の腕を組みながら舌戦をしていたのだと//////。
その瞬間……私たちは烈火の如く素早い動きで彼から離れた。
帰り道。
すっかり日が沈み、暗くなり始めた道を私たち3人は並んで歩いて帰っていた。
同じ寮に住んでいるのだから、帰り道が一緒なのは当然のこと。別に寄るところもなかったし……
帰り道にあるコンビニのところで伊吹さんが……
伊吹「じゃあ……私コンビニ寄るから。」
綾小路「あぁ、またな。」
彼は手で軽く挨拶していたけど、私はしなかった。そんな間柄でもないもの。
私たちは先に寮に帰ろうとしたところで伊吹さんは彼に向かっていって……
伊吹「綾小路!今日の事誰かに言ったら、ただじゃすまないから!分かった?」
綾小路「心配するな。お前が実は凄く恐がりだった……なんて事実を俺は吹聴する気はないから安心しろ。」
伊吹「ふんっ//////……バーカ。」
彼女は事実を言われて恥ずかしかったのか捨てゼリフを言ってコンビニに入っていった。
漸くうるさいのが居なくなったわね……清々するわ。
後は帰って心を落ち着けるだけね。私はそう考えながら寮に向かった。
寮内。
エレベーターに乗った私たちはそれぞれの階のボタンを押した。
ここまでの道のり、私たちは別に喋ったりしてはいない。
普通は映画など観たりしたら感想を言い合ったり、何処のシーンが印象的だったかなど話したりするかもしれないけど……
私たちはそんな浮わついた事はしなかった。
チン……
綾小路「じゃあ、またな。鈴音。」
堀北「えぇ、さよなら。また明日学校で……」
彼の部屋の階に着いたため、軽く挨拶した。そしてここで私は思い出す。
今日の私で最後だということに。
今日は映画に行っていてそんなこと考えなかったけど……まぁ、元々部屋に招待するつもりは無かったわけだし、このまま見過ごしても構わ……
やっぱり……ちょっと待って……
堀北「清隆くん。やっぱり、ちょっと待ちなさい。」
綾小路「……何でしょうか?」
堀北「貴方今日私の痴態を見たわよね?」
綾小路「痴態っていうほどでもないだろ…あれは鈴音が怖がって俺にしがみついただけで……」
堀北「それよ、それ//////!今すぐ忘れなさい//////。」
綾小路「分かった……忘れる。この事は誰にも言わない。それでいいか?」
堀北「良くないわ……貴方にはこれからの事もあるし、固く口止めしておく必要がある。」
綾小路「そんなことしなくても別に俺は吹聴したりしないんだが……」
堀北「念には念をってやつね。今から私の部屋に来て。」
綾小路「いや……待て。何でそういう話しになるんだ?」
堀北「私にとって大事なことなの。……来てくれるわよね?」
綾小路「……分かりました。」
彼は私の威圧感に根負けしたのか……渋々といった感じで了承し、再びエレベーターに乗った。
こうして彼を私の部屋に引き留めることに成功した。
私の部屋。
ガチャっ……
堀北「どうぞ、入って。」
綾小路「……お邪魔します。」
彼は部屋に入る前に辺りを確認してから、恐る恐る入ってきた。
いつも通り、自分の靴を揃えていた。
思い返せば、彼を部屋に呼ぶのは初めてではない。几帳面な彼の性格は良く知ってた。
堀北「清隆くん、そこに座ってて。今から用意するから。」
綾小路「……何を用意するんですか?」
堀北「夕食。食べてって貰おうと思って。」
綾小路「いや……遠慮しとく。」
堀北「私の手料理が食べれないってわけ?理由を知りたいのだけど?」
綾小路「鈴音の手料理が嫌なわけではないが……何か裏がありそうで怖いんだが…」
堀北「勘違いしないでほしいのはこれはただの取り引きよ。貴方が周りに吹聴しないように私の手料理で口封じというわけ。異論は?」
綾小路「……ありません。」
堀北「よろしい。夕食が出来るまでそこで寛いでなさい、分かった、清隆くん?」
綾小路「……はい。」
私は清隆くんにそう言ってから、エプロンを着けてキッチンに行った。
冷蔵庫を見ると幸い食材はたくさんあった。これなら何でも作れそうね。彼は何が好きなのかしら?嫌いなものは……って何でこんなに尽くしてるのよ、私//////!
これは取り引きなのよ?そう……ただそれだけ。いつもみたいに簡単なもので済ませましょう。
1時間後……。
堀北「お待たせ、清隆くん。」
綾小路「凄いな……これ。1時間でこんなに作ったのか?手際いいんだな。」
堀北「お褒めの言葉ありがとう、清隆くん。でも、これくらい私には容易いことよ?」
私は作った料理を次々にテーブルに置いていった。
結局……手の込んだ料理を作ってしまった//////。こ、これは深い意味はないわ!
野菜や具材は新鮮な状態で使いたかっただけ、それだけよ//////。
綾小路「そうなのか?」
堀北「えぇ。両親が共働きだったから、よく夕飯の準備をしていたの。」
綾小路「なるほど。」
堀北「さぁ、食べましょう。」
彼に箸を渡して、彼と向かい合わせに座った。
堀北「いただきます。ん……美味しい。……どうしたの?食べないの?」
彼は私が食べてる様子を見てるだけだった。
あまり……食べてる様子をジロジロ見てほしくないのだけど//////
綾小路「本当に食べていいのか?……食べた瞬間、何か頼んだりしないか?」
私がここまで尽くして……じゃなかった//////。
彼は疑心暗鬼になってるみたいだった……まぁ、彼にAクラスに上がるために手を貸すように行った取り引きも食べ物だったし……疑うのも無理ないわね。
堀北「ご心配なく、そんなつもりは毛頭ないわ。むしろそれを食べてくれないと私が不安だわ。今日の痴態を忘れて貰うための取り引きなんだから。」
綾小路「そういうことなら……いただきます。」
彼が食べる瞬間は少しドキドキした……だって仕方ないじゃない?
兄さんや家族以外で手料理を振る舞ったことはないし……
綾小路「……うまいな、これ。味付けが好みだ。」
堀北「ほ、ほんと//////?」
綾小路「あぁ。とても1時間で作った料理とは思えないくらい味が深い。」
彼はひと口食べ始めたらどんどん箸が進んでいた。
その様子をみて安心した気持ちより……素直に嬉しかった。
堀北「遠慮せず、食べてくれて構わないから//////。」
綾小路「じゃあ、遠慮なく。」
30分後……。
綾小路「……ご馳走さまでした。」
堀北「お粗末様。お口に合ったなら何よりよ?」
綾小路「片付けは俺も手伝う。」
二人分にしてはだいぶ量が多いと思ったのだけど……彼は完食してくれた。
私が食器類を片付けていたら、彼も立ち上がって運ぶのを手伝ってくれた。
堀北「別にいいわよ。これくらい……」
綾小路「いや、俺にも手伝わせてくれ。これだけの手料理を食べさせて貰ったんだ。これくらいさせて貰わないとな?」
堀北「……//////」
そのあと、私たちはキッチンで並んで片付けをした。
洗い物は彼がして、洗った食器は私が拭いた。
綾小路「さて……片付いたな。それでは……時間も遅いし俺はそろそろ失礼する。」
堀北「そう……。」
彼は立ち上がって、玄関に向かっていった。私も彼を見送るため後を追った。
綾小路「今日はご馳走さま。本当に旨かった。」
堀北「それは良かったわ。また食べに来てくれてもいいわよ?今度は頼み事付きだけどね。」
綾小路「それは……なるべく勘弁してくれ。じゃあな……」
堀北「清隆くん……分かってると思うけど、今日の事は忘れなさい//////!いいわね?」
綾小路「それは少し残念だな……」
堀北「え?」
綾小路「今日の鈴音はいつもと違った一面が見れて新鮮だったからな。忘れるのは勿体ないな。」
堀北「え、ちょっ……からかってるの//////?」
綾小路「悪い、ちょっとした冗談だ。それじゃあ、またな。」
堀北「えぇ、またね。」
パタン……。
ゆっくりとドアを開けて辺りを警戒しながらエレベーターに向かっていった。
堀北「はぁー……今日は朝から色々あって何だか疲れたわ…。」
今日は1日中彼と一緒に居た気がする……。
まぁ、偶然も重なって映画観に行くことになったけど……悪くは無かったわね。伊吹さんと会ったのだけは煩わしかったけど…
結局証明するどころか痴態を起こしてしまったのは唯一の汚点ね…//////
彼には口封じのために取り引きとして手料理も振る舞ったし……美味しいって言ってくれて素直に嬉しかったわね…。
まぁ、今日1日頭固くならずにリラックスできたし……こんな日もたまには悪くないかもしれないわね。
イライラした原因は最後まで解らなかったけど……
この気持ちが何なのかまだ解らないけど……
今度からはもう少し彼に優しく接しようと思った。
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