八条学園騒動記
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第六百六十話 自由な社会の条件その十一
「恐ろしいものです」
「しかしその暮らしぶりは」
「あの様に質素な宮殿に」
皇居の話をした。
「連合の資産家の別荘よりも質素で」
「着られている服もお食事も」
「宮内省の予算がです」
それ自体がというのだ。
「オランダ王国の宮廷費ですね」
「あちらでは公に言われていますね」
「それ位もありません」
「左様ですね」
「日本一国でエウロパの何倍もの国力があり」
そこまでの大国でというのだ。
「オランダと比べるとです」
「百倍は違いますね」
「しかしその国の宮廷費よりもです」
「日本の宮廷費は少ないとは」
「かつては北朝鮮の国家元首個人の贅沢費の半分以下でした」
二十一世紀の話だ。
「北朝鮮はそれであの国の国家予算の二割でした」
「独裁者個人の贅沢で、ですね」
「そうした封建国家の様な国家でした」
「そのことは呆れるしかないですね」
「二十一世紀にそうした国家があったなぞ、ですが」
「日本は北朝鮮よりも遥かに豊かでしたね」
「百倍位は」
そこまではというのだ。
「当時の日本の行政単位は地方は都道府県でしたが」
「今は星系ですね」
「その都道府県の一番小さい県がです」
島根県であったというのだ。
「北朝鮮と同程度の経済規模だったとか」
「そこまで違いましたね」
「はい、ですが」
それでもというのだ。
「皇室はです」
「その独裁者の贅沢よりも質素だった」
「その伝統がです」
「今も残っていますね」
「ボサカ一世の様なことはしたことがありません」
中央アフリカ帝国皇帝である、その皇位は僭称であった。
「贅沢を極めた」
「戴冠式で国家予算の二年分を使ったとありますね」
「歴史では」
「あれはです」
セーラはボサカのその行いについて話した。
「決してです」
「してはならないですね」
「そうした愚かな振る舞いです」
「左様ですね」
「例え君主でも」
その立場でもというのだ。
ページ上へ戻る