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魔法少女リリカルなのは 平凡な日常を望む転生者

作者:blueocean
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第70話 未来組との出会い

さて、ヴィヴィオに案内された先には、ツインテールの大人しそうな女の子がいた。

「彼女がアインハルトさん?」
「はい!カイザーアーツの使い手でとっても強いんですよ!」

カイザーアーツ?
全く覚えのない単語なのですがヴィヴィオさん。

「ヴィヴィオさん」

「ただいま!アインハルトさん」

「おかえりなさい。それよりそちらの方は?」

「はじめましてだな、有栖零治だ。よろしく頼む」

「アタシはアギトってんだ、よろしくな!」

「アギトさん!?」

「あれ?アンタもアタシを知ってるのか?」

「あっ、はい一応………私はアインハルト・ストラトスと言います」

と、礼儀正しくおじぎをするアインハルト。
ヴィヴィオと同い年かと思ったけど、雰囲気から見ると、どうやら余り俺と年齢が変わらなそう。

「私が吹っ飛ばされた所を助けてくれたんですよ。それに私の名前も知ってたし」

「あなたも未来から?」

「あ、ああ一応な………」

「気がついたら空の上にいてな、コンビニに買い物に行ってただけなのにどうしてアタシ逹は………」

「コンビニ?」

「地球のショップの事だよ」

「なるほど。そうなると、ミッド出身では無いのですか?」

「ああ、海鳴市に住んでいる」

「へえ………」

「それよりヴィヴィオ、そこのうさぎさんは何をしてるんだ?」

「ああ、今クリスに色々調べてもらってるんです。クリスどう?」

そう言ってクリスに話しかけるヴィヴィオ。
一生懸命バタバタしてる。

「なあ零治、アタシあれ欲しい」

「確かに可愛いな………」

『なっ!?マスター、私と言うものがありながら………』

「いいから出てくるな………」

全く、他のデバイスに興味を持つと直ぐに文句を言うんだからな………

「まだ検索中みたいです。ごめんね、もう少し頑張って」

ビシッ!っと敬礼するクリス。
ヤバイ、俺も欲しくなってきた………

「うう、夢なら醒めて欲しい所ですが、なかなか醒めてくれません………」

「まあ滅多に出来ない貴重な体験だけどな」

「そんなのんきな事言ってる場合じゃありません。私達は未来から10数年ほど前の過去へとやって来たみたいなんです」

「俺達は4年程だけどな」

「そうなんですか。………まあそれが現実として、だとしたら一体何が起こったのでしょうか?」

「考えられるのは、ロストロギアか未知技術とかですよね?」

それか夜美逹を突き刺したあの金髪の少女の影響か?
だけど俺が転移した後だし、関係ないか……

「そうだな。だけど時系列が違う俺まで同じ時代に転移してきた事が謎だけど………」

「そうですね………」

う〜んと3人で悩む俺達。
アギトは付いてこれないみたいでうーうー唸ってる。
そう言えば……

「俺達以外にも転移してきた人っているのか?」

「あっ、もしかしてその人なら何か知ってると思って今、クリスに探してもらってるです」

胸を張ってすごいだろアピールしてくるクリス。
ヤバイ、パクろうかな………

「捕っちゃダメですよ……」

「………ちっ」

「零治さん!」

殴ろうとするヴィヴィオの頭を抑える。
小さいので腕がグルグル回ってるのが面白い。

やがて諦めて静かになる。

「で、結果はまだなんだよな?」

「う〜!………はい。でも絶対になんとかして帰ります!急に居なくなったら、ママもみんなも心配するだろうし……」

「俺も少し出てくるって言って出てきたっきりだからな………」

「それに私もアインハルトさんも大事な試合が控えてるんです。早く帰って、練習しないと!」

試合ね………
10数年後は何かとあるんだな。

「はい、色々頑張ってみましょう」

「にゃ!にゃー、にゃーっ!」

といきなりアインハルトの肩に乗っている虎模様の猫が鳴き出した。
何でこんなに可愛いんだ………

「ティオ、どうしたのです?」

「にぁあっ!」

「!!誰か来ます、反応は3人!こちらに対して、挟撃態勢!」

「ママ達?それとも……」

「地上で固まっては危険かもしれません。セットアップして、上空に向いましょう」

「はい!」

「だな、アギト」

「おう!」

「「ユニゾンイン!」」

そうして俺達はバラバラに戦う事になった。












「しかし、UーDを追ってる内に未来の人間に会うとはな」

『私は分かりませんが……』

『アタシの事知ってたな。零治と一緒にいることにも驚いてたけど……』

まあその理由は分かってるんだけどな。

「それにUーDがどこに行ったのかも気になる」

『そう言えばアイツらに言わなかったな』

「関わらなくてもいいことだ。あの2人はただ帰りたいだけだからな」

『まあ、そりゃそうか』

『マスター、来ましたよ』

「そうか。さて、俺の相手は………」

そう思いながらラグナルフォームで飛んでいると、向こうで待ち構えてる人物が………

「あれってアインハルトか?」

そこに居たのは大人の姿のアインハルト。
ヴィヴィオもそうだけど、さっきセットアップして大きくなると二人ともなかなか………

「ヴィヴィオもアインハルトも将来が楽しみだな………」

『マスター、流石にそれはどうかと………』
『零治、オヤジみたいだぜ………』

確かに。
俺はまだ中学生なんだけどな………

「どなたか存知あげませんが、お手合わせをお願いできますでしょうか?」

「まあそうなるよな………」

俺は抜刀の構えをし、迎え撃つ体勢を取る。

「ベルガ古流カイザーアーツ、ハイディ・E・S・イングヴァルト、参ります!」

『………イングヴァルト?』

『来ます!』

ラグナルがそう言った瞬間突っ込んでくるアインハルト。
結構速い。

「くっ」

俺は鞘を出し、受け止める。
しかし、その後の足と腕と手数が多い。

俺の元の技のアスベルは帯刀での打撃と抜刀での剣技で戦う。
なので手数の多い戦闘でもやれない事は無いが………

(やりづらい!!)

剣技に頼って戦っていた俺にとって凄くやりづらい………

「取り敢えず離れろ!!裂震虎砲!!」

不意を付いて虎の衝撃破で吹っ飛ばす。
しかし、アインハルトもタイミング良くバックステップして衝撃を逃がした。

「ちっ、やっぱり格闘ではあっちの方が分があるな。もっと色々な技を使って戦うべきだったな………」

『最近剣技ばかりに頼ってましたからねぇ………今後はもっと打撃系の技も混ぜていくべきですね。そうすれば最後の秘奥義も使えるようになるでしょうに………』

あれが一番威力があるんだけど、どうしてもアスベルみたいに斬撃も打撃も中々うまく噛み合わない。
それにあの斬撃を生み出す制御も完全に出来ない。
まあ別なやり方ならやりようはあるけど………

前途多難だよな………

『そんな事言ってる場合じゃねえよ、来るぞ!』
「空破断!」

風の衝撃波が俺を襲う。

「裂壊桜!」

魔神剣だと相殺出来ないと思い、剣を突き立て、桜色の衝撃波を発生させる。
相手の空波断とぶつかりどちらも消滅した。

『マスター、また来ます!』
「ちっ、ソニックムーブ!」

相殺するにも裂壊桜はどうしても連射には向かない。
そう思い、ソ二ックムーブで一気に距離をつめた。

「紫電滅天翔!」

うまく、アインハルトの横に移動した俺は直ぐに技をくり出した。
前方に陣を展開して、光の突きを連続で突き出す。

「くっ!?」

アインハルトは最初こそ捌いていたがアインハルト以上の手数で攻めてる内に捌ききれなくなったのか、攻撃をくらいはじめた。

「これで!」
「キャアアアア!?」

最後に斬り上げ、アインハルトを吹っ飛ばす。

「くぅ!?」

しかし流石アインハルトだな。ちゃんと受身をして耐えきった。

「だけど、やっぱり甘い所がある」

さっきの攻撃も手数は多かったものの、綺麗というか、単純というか………
ボクシングとかで言えば教科書通りなんだよな。

桐谷ならもっとフェイントやら変則的に攻撃したりしてくる。

「ま、今のアインハルトはどうなのかは分からないけど………」

『零治、決めるぞ!』

「だな!」
『フルドライブ!』

いつも通りフルドライブ。
一気に勝負をかける!!

『全てを斬り裂く!』
「獣破轟衝斬!」

炎を纏った剣で横に薙ぎ払い、思いっきり上に斬り払った。






俺の一撃が決め手となり、アインハルトは動かなくなった。

「敗北………私はまた、守れなかった……」

「何の事だ?」

だが答えを聞く前にアインハルトは消えてしまった。

「消えたか………」

『何の事だったんでしょうか?』

『………』

「アギト?」

『あ、ああ何でも無い!それより早く合流しよう』

「あ、ああ」

アギトの様子も気になったのだが、取り敢えず他で戦ってるヴィヴィオ達と合流することにした。







「2人とも無事ですか?」

「おお、ヴィヴィオ」

「はい、こちらは大丈夫です」

俺が合流点に行くとちょうど他の2人も合流点についた。
どうやら無事だった。

「誰と会いました……?こっちは少し背の低い零治さんでした」

「俺はアインハルトだな。何か長ったらしい名前を名乗ってたけど………」

「私は昔のヴィヴィオさんでした」

昔のヴィヴィオって暴走したときのって事か?
あの時ってなのはがもの凄く苦労して倒さなかったっけ?

それを倒すアインハルトって………

「零治さん?」

「何でもないですよ、アインハルト様!!」

「いえ、様は要りません」

だって怖いもん。

「ううっ、一体どうなってるの?」

「まあ原因は分かってるけどな………」

「えっ、それって………」

ヴィヴィオが俺に話を聞こうとしたその時、

「にゃ!」

「また誰かが来ます!今度は1人………いえ、1人の反応に2人分?」

「?ユニゾンって事か?」

「分かりません、来ます!」







「リリィ、あの3人?」

「うん!あの3人!銀十字が見つけた、『私達と同じタイミングで転移してきた反応』!」

「んん?3人の内の1人ってもしかして……」





「ヴィヴィオ、やっぱりヴィヴィオだ!」

やってきたのは刺青の入った男。
俺と同世代位か?

しかし柄が悪そうだな………

「ええっ!?あの、すいません、どちら様でしょうか?」

「あ、あれ?俺だよ、分からない?トーマだよ!」

「トーマって……あのトーマ!?」

どうやら知っている様である。
俺とアインハルトは完全に蚊帳の外だ。

「そうだよ!この形態の戦闘防護服だって、見せてあげた事あったでしょ?」

「そうだよ。それに、私もいるよ!」

「!!えっ!?ゆ、融合騎の方ですか?」

やっぱりユニゾンか。
しかし、ユニゾンデバイスを持ってるなら絶対主要人物だよな?
STSの先に出てくるのか?

「え。リアクトプラグなんだけど………」

なんじゃそりゃ?

「ラグナル、知ってる?」

『さっぱり?』

『アタシも聞いたことねえよ』


(このヴィヴィオ、なんだが様子がおかしいような………)
(ヴィヴィオに忘れられちゃうなんてショック………)
(いや、そうじゃなくて……)
(あ………もしかして偽物!?)


(確かにトーマに似てるけど、私の知ってるトーマは、もっとちっちゃいし……)

なんだが、嫌な流れだな………

「アインハルト」

「何ですか?」

「二人戦い始めそうだったらヴィヴィオを止めてくれ。絶対アイツら勘違いしてるから」

「あっ、はい分かりました。」

そう言って俺とアインハルトは二人の出方を見る。

「ヴィヴィオ!ごめん、ちょっと確かめさせてもらっていい!?」

「銀十字、非破壊設定!DSAAーR、コンタクトシステム、ロード!」

『システムDSAAーR起動』

何かを起動したけど訳が分からん………

「DSAA公式戦ルールで………」

「トレーニングバトルお願いします!」

デカイ剣を構え直し、ヴィヴィオに向かって言うトーマと誰かさん。

「えええっー!?」

いきなりの事でヴィヴィオもかなり驚いている。

「アインハルト、止めるぞ」
「えっ、でもトレーニングバトルですし………」

いや、何だよトレーニングバトルって……

「さっさと話を進めたいし、早く帰りたいだろ?」
「………分かりました」

俺は今にもぶつかりそうな2人の間に立った。

「二人とも、ちょっと待った!」

「ちょ!?」

振ってきた剣を鞘で受け止める。
アインハルトもうまくヴィヴィオを抑えてくれたようだ。

「零治さん、アインハルトさん!?」

「ごめん、零治さんに止めてくれって言われたから………」


「こっちのヴィヴィオは偽物じゃない!一旦落ち着いて話したいんだけど………」

(どうするトーマ?)
(こうやって割り込んでくる所から見ると偽物じゃないみたいだし、話を聞いてみようか)

俺の言葉を分かってくれたのか、剣を下げてくれるトーマ。

「取り敢えず下に降りて話をしよう」

そう言って下にあるビルへ降りたのだった………







近くのビルに降りた俺達はバリアジャケットを解いた。
トーマは同い年くらいの女の子とユニゾンしていたみたいだ。
だけど、普通の女の子にしか見えないんだけどな………

軽く自己紹介をして、早速俺が中心となり話し始めた。

「さて、色々聞きたい事があると思うが、取り敢えずトーマ」

「えっ!?何ですか?」

「トーマ達は新暦何年から来た?」

「新暦82年ですけど?」

「「「「えっ!?」」」」

「れ、零治さんまで何で驚いているんですか!?」

「いや、流石にそれは予想外だったから………」

何だよ、どんだけ後の人間なんだよ……

「それじゃあ、トーマは私達の3年後の人って事?」
「そうなるね」

しかし、ここにいる人物は全員俺の知ってる未来より先って事か………
ヴィヴィオはともかく、アインハルト、トーマ、リリィの事は全く知らない。

STSより先に何かあるのは確実だな。

「にぁあにぁあ!」

『猫型端末によって、ブック本体に軽度の損傷。能動排除の許可を願います』

「ダメだよ銀十字!」

リリィが物騒な事を言ってる銀十字を止める。
しかし、珍しいデバイスだな………
勝手に浮いてるし、特別な物なのか?

あっ、クリスが一生懸命ティオをたしなめようとしてる。
何度も言うし、しつこいって言われるかもしれないけど、メッチャ可愛い。

「にゃあ?」
「ティオ、クリスさんの言うとおりです、銀十字さんを噛んだらダメです、めっ!」
「にゃー!」

ティオはアインハルトに注意され、銀十字から降りた。
しかし和むな………このデバイス逹。

「おい、零治、話を進めようぜ……」

俺と一緒に和んでいたアギトだが、俺より早く我に返り、俺に声をかけた。

「おっと、そうだな。で、まとめるとだな、俺達は全員それぞれ違う未来からやって来た」

「私とアインハルトさんは新暦79年から」

「私とトーマは新暦82年から」

「そして俺達は新暦70年からだな」

「ということはここでは一番年上ですね」

「この中では一番過去だけど、俺は14だから、もしかしたらトーマの方が年上なんじゃないか?」

「俺は15。しかし14でその身長って………」

「だ、大丈夫だよトーマ!トーマってまだ成長期だからまだ伸びるよ!!」

「エリオ君も大きかったし………」

「トーマ、帰ってきて!!」

地面に座って、モジモジと何かを書き始めたトーマ。
それほどコンプレックスだったのか?

「何だか勝手に鬱になってるトーマは置いといて………みんなバラバラだな」

「私逹と零治さんは9年、トーマさんに関しては12年もズレているのですね………」

「俺は26か………結婚とかしてんのかな?」

「さあ?経ってみないと分かんないだろ」

「もしかしたら子供がいて、アギトがあやしてたりな」

「ははは、ありそうだな!」

「あの………」

そんな話をアギトにしていると、ヴィヴィオが申し訳なさそうに話しかけてきた。

「私達の時代だと………アギトはシグナムさんと一緒にいるんです………シグナムさんをロードとして……そして私達は………」

「俺の事なんて知らない………だろ?」

「!?」

驚いた顔をするヴィヴィオ。
だけど今のヴィヴィオの話でハッキリしたな。

「さっきまで推測だったが、ヴィヴィオの話で確信に至った」

「?どういうことだ?」

「アギトの件もそうだけど、クロノさんが黒の亡霊の事を知らなかった事にも少し引っかかってたんだ」

「………分かんねえよ、零治」

アギトもそうだが、ヴィヴィオとアインハルトも分からないみたいだ。
さっきまで鬱になってたトーマもリリィと一緒に俺の話を聞いていた。

「極めて遠く、限りなく近い世界………アインハルト、この言葉の意味分かるか?」

「?いえ、私には………」

「極めて遠く………決してまじり合う事の無い、だけど直ぐ隣にある限りなく近い世界………」

俺は一呼吸置き、

「俺は平行世界から来たって事だ」

俺の推測を述べた。 
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