東方絆日録 ~ Bonds of Permanent.
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共存編
早苗:新たな出会い
※西村早苗視点
(西)『酸いかぁー!』
全ては朝食時に私、西村早苗が言ったその一言から始まった。
神奈子「西瓜?」
諏訪子「酢イカ?」
(東)「Suica?」
私が言ったことに三人とも驚き、目をぱちくりさせている。
それもそのはず。酢イカも西瓜も食卓に上っていないからだ。Suicaに至っては完全に論外である。
諏訪子「にっしー、何で梅干し食べてる時に酢イカの話題になるんだい?」
諏訪子さんが、さも不思議そうな面持ち(例えるなら『なんで“1たす1は2”なんだろう?』と真剣に考える子どものような顔)で私に尋ねてきた。
『いや、“酸いか”っていうのは博多弁で“酸っぱい”という意味なんです』
諏訪子「へえー!」
ー
ーー
ーーー
-同時刻・博麗神社-
?「……はっ!」
霊夢「どうしたの?」
?「誰かに名前を呼ばれたからちょっとそこまで行ってくる!」
敏久「“そこまで”ってどこだよ⁉︎」
霊夢「待ちなさい!……あ、行っちゃった」
ー
ーー
ーーー
-守矢神社-
(東)「私はてっきりSuicaの宣伝をしているのかと思いましたよ」
神奈子「Suicaだって?」
(東)「はい。JR東日本が発行するICカード乗車券の名前です。これ一枚あれば色々な乗り物に乗れて、さらに買い物までできるんですよ」
そう言って早苗はSuicaを神奈子さんに見せた。
『福岡でもSuicaは使えるんやけどSuicaそのものは売っとらんとよ。似たようなカードならあるけど…」
(東)「へえー。どんなのがあるんですか?」
『JR九州の“SUGOCA”、西鉄(西日本鉄道)の“nimoca”、福岡市交通局の“はやかけん”の3つがあるんよ。ウチが使いようのはnimocaやけどね』
そう言って早苗にカードを見せる。早苗が興奮したような声を上げた。
(東)「何ですか、このイタチみたいな動物は!?」
『それはnimocaのマスコットの“フェレット”。可愛いやろ?』
(東)「はい。Suicaのペンギンちゃんと同じぐらい可愛いです♪」
早苗はそう言ってにっこり笑った。可愛いものが好《す》いとうったいね……。
『ちなみにSUGOCAのマスコットは“カエルくんと時計くん”、はやかけんは発行元である福岡市交通局のマスコットでプレーリードッグの“ちかまる”なんやけど、一番可愛いのはこのフェレットやね』
(東)「そうなんですか。それにしてもよくご存じですね!」
『ふふふ、ありがとう』
そのときだった。
?「誰か呼んだー?」
不意にどこからか声が聞こえたのだ。驚いて振り向くと辺り一面、霧の海。
やがてその霧が集まって人の形を形成し、鬼の少女が現れた。
『あ、あのー…』
鬼の少女「ん?」
『貴女は“何”ですか?』
鬼の少女「む、“何”とは人聞きの悪い。どこからどう見ても鬼じゃないか。にゃはは♪」
『ですよねー。“すいか”で反応するけん、てっきり鬼のコスプレをした西瓜の化身なのかと思っちゃいましたよ』
萃香「“すいか”という名前なのさ。私は鬼の伊吹萃香だよ。よろしくね!」
『ああ、そうだったんですか。私は外界人の西村早苗です。よろしくお願いします』
萃香「へえ、早苗かあ。よろしくね♪」
『こちらこそよろしくお願いします!』
ーーーこうしてまた一人、私の仲間が増えたのだった。
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