ハイスクールD×D イッセーと小猫のグルメサバイバル
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第87話 異世界を渡る装置の説明を聞きます!えっ!?サニー兄とどうしてアンタが!?
前書き
悪魔の歴史にちょっとオリジナルも混ぜましたのでお願いします。
side:イッセー
「はぁはぁ……撒いたか」
俺達は怒り狂う生徒達から人通りの無い場所まで逃げてきた。滅茶苦茶殺気を感じたぞ、まったく……
「なんじゃ、お前ら付き合っとることを周りに隠しておったのか。悪いことをしたのう」
親父がそう言って謝ってきた。そういえば俺達が付き合ってることを周りに隠しているなんて親父は知らなかったな、俺の落ち度だし怒るのは止めておこう。
「それについてはもういいよ。後日説明が面倒くさいだろうけど……それより親父がここにいるってことは例の装置は……」
「うむ、完成しておるぞ」
俺の質問にあっさりと答える親父、そんな姿を見てため息を吐いてしまう。
「やっぱりな。大方俺達を驚かせようとしてそんなことしたんだろ?」
「ピンポーン、正解じゃ!前に小猫に授業参観に来れないかと相談を受けてな。丁度装置も完成しておったからサプライズにしてみたんじゃ」
「えへへ、最初はビックリしましたけど一龍さんや節乃さん達に見てもらえて嬉しかったです」
「せつのんに動画を取ってもらっておいたから後で黒歌にも見てもらいなさい」
「わあっ!ありがとうございます!」
小猫ちゃんは嬉しそうに笑って親父にお礼を言った。そうか、黒歌はD×Dでは悪魔に狙われているから来れないよな。
「そういえば節乃お婆ちゃん達は?」
「せつのん達ならお前の家に戻っとるよ。次郎たちがこの世界の酒を飲んでみたいと言っておったからな」
「あの酒豪どもめ……」
次郎さん、マンサム所長、後二人よりはマシだが隠れた酒豪である茂松さんは大の酒好きだ。特に前者の二人はそれ目的で来たんじゃねえだろうな?
「ココ兄達も俺の家にいるのか?」
「ああ、そうじゃ。あいつらはワシらと違って強さをコントロールできんからな。リアスちゃんの兄である魔王も来とると思ったから留守番をしてもらっとる」
やっぱりココ兄達がいないのはそう言う理由か。まあこればかりはしょうがないよな……ん?ってことはまさか撮った動画はココ兄達に見せる為に……?
「なあ、親父。まさかその動画ココ兄達に……」
「見せるぞ。特にサニーは面白がっとったからな」
「うわぁぁぁぁ!?止めてくれよ―――――ッ!!」
俺は叫んでしまうくらいには嫌がった。ココ兄やリン姉はともかくサニー兄にあんなこっぱずかしいモン見られたら一生ネタにされるじゃねえか!
「そうは言ってもな、アイツかなり楽しみにしていたぞ?」
「そう言わずにさぁ!?」
「おおリアス、ここにいたのか」
すると背後から誰かが声をかけてきたので振り返ると赤い髪の男性が立っていた。隣にいるのはサーゼクスさん……という事はこの人はリアスさんの父か?
「お父様!?どうしてここに!?」
「どうしてって……リアスが急に教室を飛び出していってしまうから探したんだよ。どうだ、久しぶりに家族とそろって食事をしないか?ヴェネラナもそろそろ機嫌を直してくれたはずだ」
「えっと、今は立て込んでいまして……」
「そうなのか?おや、そこにいるのは噂の赤龍帝である兵藤一誠君かな?」
やはりリアスさんの父だったらしく俺に気づいた彼は俺に話しかけてきた。
「挨拶が遅れてしまい申し訳ない。私はジオティクス・グレモリー、リアスの父だ」
「初めまして、赤龍帝である兵藤一誠です」
「サーゼクスから話は聞いておるよ、何でもリアスの成長に一役買ってくれたそうじゃないか。父として感謝しているよ」
「いえ、俺は大したことは……成長できたのはリアスさんの力ですし」
「はっはっは!謙虚なのだな!そういえば君は人間らしいが何故悪魔にはならないんだ?色々特権も付いてお得だぞ?」
「えっと悪魔を嫌ってるわけじゃないんですが俺は人間でいたいんです、申し訳ありません」
「うむむ、そうか……まあ本人が嫌がっているのなら仕方がないな。私としては君のような子がリアスの眷属に入ってくれれば一安心なのだが……」
「父上、それ以上は彼に迷惑をかけてしまいますよ」
「おお、そうだったな。済まない兵藤君」
「いえ、大丈夫です」
サーゼクスさんがジオティクスさんを止めて話が中断する。彼には悪いが悪魔になる気は無いからな。
「こんにちは、兵藤君。そちらの方はもしかしてご家族の方かな?」
「はい、父です」
「そうか、ならご挨拶をしないとね。初めまして、兵藤君のお父さん、自分はサーゼクス・ルシファーと申します。彼には妹であるリアスが大変お世話になっているようで……」
「うむ、ワシも聞いておるよ。息子は良い友達を持ったようじゃな」
「ええ、同感です」
サーゼクスさんと親父は友好的に接しているが俺には分かる。間違いなく腹の探り合いをしているな。
(兵藤一誠の父……情報では彼の家族関係は掴めなかったが本当に彼の父親なのだろうか?あまりにも一般人過ぎて信じられない……それにこの胸騒ぎは何だ?なんの力も感じない目の前の老人を見て落ち着けない……)
(この男が魔王か、なるほど強いな。この容姿でワシぐらいかそれよりも長く生きとるんじゃろう?悪魔というのは不思議な生き物じゃなぁ)
二人が握手を交わす。するとまた誰かがこちらに来ていたのが見えた。あれはアザゼルさんとバラキエルさんか。
「朱乃、急にいなくなって心配したぞ。んっ?イッセー君も一緒だったのか」
「お父様!?」
「おっ、なんだ。イッセー達も一緒だったのか。そのファンキーな格好をしたじいさんはイッセーの親か?」
なんだかいっぱい集まってきたな。どうやって切り抜けようか……
「ふむ、色々集まってしまったしここは場所を変えて改めて話をしないか?学校に迷惑をかけてしまうからな」
親父の提案で俺達は場所を移して話をすることになった。一体親父は何をするつもりなんだ?
―――――――――
―――――ー
―――
「ぎゃっはっは!ほら、飲め飲め!」
……なんだ、この地獄絵図は。
「じいさんいい飲みっぷりじゃねえか!」
「うィ~……まだまだこんなもんじゃないぞぃ」
「がはは!やはりビールはどの世界でも美味いな!おかわりだ!」
「……うん、美味いな。日本酒というのも中々乙なものだ」
「うぷっ……気持ち悪い……」
俺達は俺の家に戻ってきてるんだが親父たち大人が酒を飲み合っている光景を見て唖然としていた。
アザゼルさんは次郎さんとマンサム所長と飲み比べをしていた。その隣で茂松さんが日本酒をチビチビと飲んでいた。まあもう48本目だけどな。
後バラキエルさんは早々にダウンしていた。仕方ねえよ、だって全員合わせて既に100缶以上は軽く飲んでるんだぞ。その内の9割がG×G組だ。
「このお酒、今まで飲んだものの中で一番美味しいです。一体どこで作られたモノなんですか?」
「企業秘密じゃ……ぶはっ!?このお酒度数たかっ!?」
「だ、大丈夫ですか!?」
サーゼクスさんは親父たちが持ち込んだG×Gのお酒を気に入ったらしく何処の名産だと聞くが親父はやんわりと誤魔化した。そして度数の高いお酒を飲んでむせていた。
それを見ていたジオティクスさんが親父を心配していた。酒に弱いのに無理するなよ……
「美味しい……!まさかこんな調理法があったなんて」
「ふふっ、料理は奥が深いじゃろう?」
「感服いたしました。宜しければもう少し教えていただけないでしょうか?」
「ええよ、お前さんは見込みがありそうじゃ」
途中で合流したグレイフィアさんが節乃お婆ちゃんに料理を習っていた。
「そもそも何でこんな事になったんだっけ?」
「変に逃げて警戒されるよりもお酒を飲ませて誤魔化す為でしたが……あれじゃ当初の目的は忘れてしまったみたいですね」
俺は小猫ちゃんに何でこうなったのかと確認する。小猫ちゃん曰くこのまま解散しても怪しまれるかもしれないのでいっそ家に呼んでお酒飲ませて酔わせてしまおうとしたらしい。だが結果は大人たちの酒飲み比べになってしまったらしい。
「お兄様、これも美味しいですよ」
「ありがとう、リーアたん」
「もう!今はその呼び方は止めてください!」
「お父様、大丈夫ですか?」
「すまない、朱乃……お前や未来の義理の息子に晩酌されて飲めたから少しはしゃいでしまったようだ」
「うふふ、わたくしとイッセー君がお酒を飲める年になったら一緒に飲みましょうね」
リアスさんと朱乃はそれぞれ家族であるサ―ゼクスさんとバラキエルさんの相手をしていた。
「そういえばココ兄達は?確か家にいるんじゃなかったっけ?」
「ココさんとリンさん、後姉さまもいたそうですが一龍さんから連絡を受けてG×Gのお菓子の家に隠れたそうです」
「それで姿を見なかったのか……というか黒歌はこっちに来て大丈夫なのか?」
「この家の中なら問題ないみたいですよ。ルフェイさんが作った魔力を消す装置を付けているみたいですから」
「それならいいか」
ココ兄達は親父たちと違って強さをコントロールできないからな、魔王たちに見つかれば警戒されてしまうからそうしたんだろう。
「ただサニーさんだけ勝手に出かけてしまったらしくて……」
「はぁ!?なんで!?」
サラっと小猫ちゃんからサニー兄がD×Dの世界、つまり駒王町を勝手に出歩いている事を聞いて俺は驚いてしまった。
「なんでも暇だからこの世界の美しさがどのくらいの物か見てくると言ってたみたいです」
「勝手な事を……」
サニー兄の事だからG×Gの世界の美しさがどのくらいの物か気になったんだろうな。あの人は自分で試してみないと気が済まない性格だから。
「まあサニーさんなら魔王に見つかったりはしないでしょう。そもそもその魔王様やアザゼルさんはここにいますし」
「まあ普通の悪魔くらいなら全然問題ないんだろうけど……」
確かにここに魔王であるサーゼクスさんや堕天使のトップであるアザゼルさんが集まっている以上サニー兄が見つかることはないだろう。普通の悪魔や堕天使なんて脅威にもならないだろうしな。
「兵藤君、ちょっといいかな?」
「えっ?」
するといつの間にかサーゼクスさんが俺の側に来ていた。気が付かなかったな……
「どうしました?」
「いや、トイレを貸して欲しくてね。案内してくれないかい?」
俺はチラッとリアスさんの方を見たがジオティクスさんの相手をしているらしくこっちにはこれなさそうだ。
「分かりました。こっちです」
俺はサーゼクスさんを連れてトイレに向かった。
―――――――――
――――――
―――
「ふぅ……ありがとう」
「いえ、おかまいなく」
俺は何故かトイレが終わるまで待っててほしいとサーゼクスさんに言われてスマホをイジって待っていた。何でも少し二人だけで話がしたいそうだ。
「今日はありがとう。中々楽しい時間を過ごせたよ」
「ははっ、こちらこそ親父の急な提案を受けてくれてありがとうございました」
俺は当たり障りのないセリフで返す。するとサーゼクスさんはにこやかに笑った。
「そんなに警戒しなくてもいい。今は魔王ではなくサーゼクス個人で接してくれないか?」
「……分かりました」
サーゼクスさんは警戒を解いてほしいと頼んできた。俺は少し考えたがとりあえずは警戒心を緩めることにした。
「君が僕達を警戒しているのは理解してるよ。友好的に接してきても裏があるかもしれないなんて思うのは当然の事だ。実際君が赤龍帝だと判明してから悪魔の上層部では君を引き入れるか排除するかのどちらにするか議論しているしね」
「随分とぶっちゃけましたね」
ある意味機密とも取れる事を簡単に話した彼に俺は呆れてしまった。そんな事を聞いたらますます警戒するのに何を考えているんだ?
「僕は何も考えていないよ。正直魔王なんて面倒くさいだけだし家族と一緒にのんびりと過ごしていきたいってのが本音なんだよね」
「さらっと頭の中を読まないでください……家族とはリアスさんの事ですか?」
「それもあるけど……実際は僕の妻の為さ」
サーゼクスさんは心底面倒くさそうに話し始めた。
「そもそも僕が魔王に選ばれたのも強かったからさ。実際は前の魔王とは血筋などは何の関係も無いんだ」
「えっと……確か四大魔王がいて全員ドライグが乱入した戦争で亡くなったんですよね?」
「うん、そうだよ。悪魔にもいろいろ派閥がいてね、強さに拘ったり血筋に拘ったりと沢山あるんだ」
俺は前にリアスさんに教えてもらったことを話すとサーゼクスさんは頷いた。
「その中で当時もっとも力のあった派閥が二つあってね、片方は前魔王の血筋を受け継いだ者達を新たな魔王に、もう片方は新たに強い者達を魔王にと主張し合ったんだ。それで色々あって戦争にもなったんだけど僕達が勝って今の悪魔社会が出来たんだ」
「なるほど、悪魔も色々あるんですね」
「その争いの中で妻と出会ったんだけど、妻は旧魔王派の方の悪魔で元々は敵対していたんだ。でも戦いをしているうちにお互いに惹かれあって遂には愛し合う関係になってしまった」
「中々ロマンチックな展開じゃないですか」
「でしょ?僕達の出会いを書籍化した小説や劇も作られているんだ。興味があるなら送るよ」
「えっと……じゃあ一応貰っても良いですか?」
俺は悪魔の歴史に少し興味が湧きサーゼクスさんから悪魔の歴史を教わっていった。因みに何でサーゼクスさんと彼の奥さんのなれそめが描かれた作品を欲したかというと小猫ちゃんとの関係で使えるかもしれないと思ったからだ。
「まあそういう事で妻を迎え入れるのに相当苦労したんだ。その中の条件に魔王になれってのがあったから僕は魔王をやってるんだよ」
「なんというか……意外です。もっと厳格な方だと思っていました」
「あはは、僕なんて唯のシスコンで家族大好きな甘い悪魔さ」
そう笑うサーゼクスさんからは邪心は感じられなかった。
「だから君には感謝しているんだよ。リアスに自由を得るチャンスをくれた事にね」
「チャンス?」
「そうさ。僕はリアスの願いは出来ればかなえてあげたいと思っている、でも純潔の血を残していくのは貴族の義務でもあるから彼女の結婚については心を鬼にしなければいけなかった」
「それってライザー・フェニックスとの?」
「ああ。でもリアスは勝った、そして自由を得た。そのきっかけをくれたのは君なんだよね。だから僕は君に感謝しているんだ。本当にありがとう」
サーゼクスさんはそう言うと俺に頭を下げてきた。
「よしてください、俺はどちらかというと小猫ちゃんの為に動いたんです。こういう言い方はアレですがリアスさんはついででした」
「それでもリアスは君に強くしてもらった。今のリアスはとても楽しそうだ。だからこそ僕も嬉しいんだよ」
「……そう言う事なら素直にお礼を受け取ります」
俺はあくまで小猫ちゃんのためにやったと言うがサーゼクスさんは気にした様子も見せずにそう言った。
「でもこれだけは覚えていてほしい。僕にとってリアスはとても大事な妹だ、もし君がリアスを裏切ったり傷つけたりしたら……僕は君を許さない」
「……分かりました」
だが次の瞬間、サーゼクスさんから凄まじく重いプレッシャーが放たれた。俺はそれを真正面から受け止めて頷いた。
「さて、そろそろ戻ろうか。グレイフィアや父上たちも待ってるだろうしね」
「そうですね」
話を終えた俺達は皆の元に向かった。
―――――――――
――――――
―――
その後酔っ払ったアザゼルさんやバラキエルさん達をホテルに送りサーゼクスさん達も魔法陣で帰っていった。
そして俺は親父と皆を連れて地下に向かった。どうやらそこに例の装置があるらしい。
「うぅ……頭が痛いわぃ」
「酒に弱いくせに無理するからだぞ」
親父は頭を擦りながら痛いと言うがそれなら無理しないで飲まなきゃよかったんだと俺は言う。
「しょうがないじゃろう、誘った手前飲まんわけにはいかんからな。結果的にはお前も魔王と話したことで人柄を知ることが出来たじゃろう?」
「まあな」
確かにサーゼクスさんと直に話したことで彼の人柄を知ることは出来たな。もしかして親父はそれを狙って……?
「食えない人だな……全部計算通りって事か?」
「さぁて、なんの事かのう?」
俺は改めてこの人を超えるのは凄まじく遠い道のりになるなと実感した。
「着いたぞ、この部屋にその装置がある」
親父に連れてこられたのは地下室にある使われていない一室だった。結構な広さがあるからトレーニングルームにでもしようと思っていたが結局何も使われていない状態だったんだ。
部屋に入るとそこには大きな輪っかのような機械が設置されていた。
「来たわね、会長。というか飲み会するなら事前に連絡頂戴よね。待ちぼうけはゴメンよ?まあ久しぶりに睡眠がとれたからいいけど」
「すまんかったな、なにせ急なモノじゃったから」
親父に声をかけてきたのはIGO研究開発部の局長であるブルマさんだった。ココ兄やリン姉、あとティナもいた……ってなんでティナがいるんだ?
「ティナ君がいるのは彼女が偶然スイーツハウスに遊びに来た時に装置を見られてしまってね、仕方なく事情を説明したんだ」
「そういうことよ。でも安心して、イッセー。私は美味しいスクープが欲しいだけで異世界の事を誰かに話そうとは思っていないわ」
「ん、まあティナなら迂闊に話したりはしないだろうけど……」
俺の考えを呼んだココ兄が説明してくれてティナも異世界の事は話さないと言った。
「それに祐斗君の生まれ故郷なら一回は見ておきたかったから来ただけだしね。ねえ祐斗君、後で祐斗君の生まれた世界について教えてくれない?勿論二人っきりで」
「えっと……」
「ちょっと!祐斗君はあたしと一緒にG×Gのスイーツ巡りをする約束してるし!アンタは引っ込んでてよ!」
「えっ!?いや、そんな約束はしてないんですが……」
「あんたこそ私と祐斗君の邪魔しないでよ!」
ティナとリン姉は祐斗を挟んでケンカし始めた。これじゃ話が進まないじゃないか……そうだ!
「おい二人とも、節乃お婆ちゃんが祐斗の授業参観の内容を動画にしてるから見て来いよ。二人の事もバッチリ話していたぞ」
「えっ、ホント!?それなら早速見てこないと!」
「行こっ、祐斗君!」
「ちょ、ちょっと!?」
祐斗はリン姉とティナに連れられて上に行ってしまった。ごめんよ、祐斗。後で何か奢るから。
「祐斗君にはイッセーから説明しておいてあげて。後ゼノヴィアちゃんとイリナちゃん、ギャスパー君のグルメIDが出来たから渡しておくわね」
「ありがとうございます、ブルマさん」
ブルマさんからゼノヴィア達のグルメIDを受け取った。これでグルメタウンに向かう時に全員が自由に入れるようになったな。
「さて、早速だけどこのマシンの説明に入るわね。この子は私が作った異世界移動マシン、その名も『ボンゴレ・リング』よ!」
「なんかマフィアを連想する名前ですね」
「本当は『どこでもリング~』って名前にしようと思ったんだけどなんかマズイ気がしたから止めたの」
「なんで今ちょっと伸ばした言い方したんですか?というかこれ以上は話が脱線しそうなので本題に入ってもらえますか?」
「しょうがないわねぇ」
俺は色々面倒な事になりそうだったのでブルマさんに説明を求めた。
「この装置はシュウとマイが放つ『次元力』を溜めることが出来る装置よ。その溜めたエネルギーを使って誰でも異世界を移動できるようになったの」
「次元力ってなんですか?」
「異次元七色昆虫が持っている謎のエネルギーよ。このエネルギーを使う事で異世界を移動することが出来るの。でも普段は凄く低い数値しか無くて相性のいい人間がいないと活性化しないの。因みに名称したのは私よ」
「じゃあシュウとマイが光ったりするのは……」
「イッセーに反応してるからね。まあ次元力の研究は全然進んでいなくて殆ど謎だらけなのよね。研究しようにもシュウとマイは私達を嫌うから」
ブルマさんから次元力というエネルギーの存在を聞くことが出来た。普段何気なく使っていた力について知ることが出来たな。だがシュウとマイは俺達以外の人間を嫌うので研究は進んでいなかったようだ。
「でも黒歌ちゃんのエースのおかげで研究が進んだの。この子が好いているのは黒歌ちゃんとイッセーだけどシュウとマイと違ってストレスで死んだりしないからね。しかもエースはシュウとマイの何倍もの次元力を持っていたからこの装置の開発に成功したのよ」
「エースの方が次元力を多く持っているんですか?」
「ええそうよ。ただしシュウとマイと違ってため込んだエネルギーを自由に使えないし発散させるのに10年くらいはかかるらしいの、だからその時しか力を使えないから便利性で言えばストレスに弱いし人や場所を選ぶけどけどペアが揃えばいつでも使えるシュウとマイの方が上ね」
同じ異次元七色昆虫でも違いはあるんだな。
「俺は運が良かったんだな。シュウとマイに出会えたからこうやって異世界を移動できるんだからな」
「私も運が良かったんだね、エースと相性が良かったし偶々エースが溜めていた次元力を発散しようとしていたところに出くわせたんだから」
「うっぷ……」
「あはは、エースったら本当にイッセーが好きだね」
黒歌の胸から飛び出したエースが俺の顔に引っ付いてきた。痛くはねえんだけどもうちょっと落ち着いてほしいぜ。
「それでその装置はどうやって使うんですか?」
「装置の使い方は簡単よ。まず指紋認証して虹彩認証して唾液、遺伝子、その他諸々……を装置に記録させてグルメIDをセットして後はスイッチ一つで使えるようになるの。ただし情報を入れる際は一龍会長の許可が必要になるわ」
「なるほど、それなら悪人に利用される可能性もほぼないな」
俺達が捕まったりしなければ問題は無いだろう。だが警戒はしておかないとな。
「それじゃ早速装置に皆の情報を……」
その時だった、上からインターホンの音が聞こえた。誰かが来たのか?
「こんな時間に誰でしょうか?もう夜の8時になりますよ?」
「宅配か?何か頼んだ覚えはないんだがな……ちょっと行ってくる」
「分かったわ」
小猫ちゃんの言う通りもう夜の8時だ。確か9時までは郵便などは来るんだっけ?まあいいや、早く終わらせてしまおう。
俺は一階の玄関に向かいドアを開ける。
「はーい……ってサニー兄?」
「……よう」
「どこ行っていたんだよ!勝手な行動をするなよな……ってその人は?」
俺はサニー兄の腕に抱き着いている黒髪の女性を指差した。というかなんて格好しているんだ。日曜日にやってる女の子向けのアニメに出てくるキャラクターみたいな恰好をしてるぞ。
「初めまして、私はセラフォルー・レヴィアタン!サニー君のお嫁さんだよ♪」
「……マジで助けてくれ、イッセー」
はァ……?サニ―兄にお嫁さん?しかもレヴィアタンって確か四大魔王の……
「ええええぇぇぇぇぇぇぇぇェェェぇぇぇぇ!!?」
その日駒王町の夜の空に俺の叫び声が響き渡ったのだった……
後書き
小猫です。まさか魔王様方と一龍さん達が飲み会をするとは思っていませんでした。まあ会談前にイッセー先輩とサーゼクス様が親交を深めれたのは良かったのかもしれませんね。
しかし何故サニーさんは魔王様であるセラフォル―様と一緒にいたのでしょうか?しかもお嫁さんって……この短時間で一体何が?
次回第88話『魔法じゃなくて魔王少女?四天王サニーの受難と禍の団の罠』で会いましょう。次回も美味しくいただきます……にゃん♪
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