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イベリス

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第四十五話 考えは変わるものその十四

「今お父さんが話した人みたいにだ」
「どうしようもない人のこと?」
「そうした人が餓鬼で死んでもな」
 そうなってもというのだ。
「果てはだ」
「餓鬼になるのね」
「餓鬼道に堕ちるんだ」
「そうなるのね」
「今話した人はもう本当にな」
「遊びに溺れるだけで人間として性悪な子供のままで」
「人様に迷惑ばかりかけていたんだ」
 そうだったというのだ。
「自分ばかりでな」
「子育てすらしなかった位よね」
「ああ、手抜きだらけでな。何か少ししたらな」
「どうだったの?」
「してやってる、尽してやってるだった」
「恩着せがましいわね」 
 咲は今度はこう思った。
「どうにも」
「それをすぐ喚いて他の人とかお店の悪口ばかり言ってな」
「余計に嫌われていたのね」
「だからもう死んでもな」
「餓鬼になってるのね」
「お父さんは絶対にそうだと思う、そして咲もな」
 娘にさらに話した。
「溺れないでくれよ、何にでも。それと悪いところはな」
「なおしていくことね」
「変えていくんだ、今話した人は極端だがな」
 そうした事例だがというのだ。
「それでもずっと悪いまま変わらないとな」
「餓鬼になるのね」
「それでずっと餓えと渇きに苦しめられるんだ」
「そうなるのね」
「そうなりたくないだろ」
「誰だってそうでしょ」
「それだったらな」
 そう思うならというのだ。
「悪いところはな」
「変えていくことね」
「出来るだけな」
 そうすべきだというのだ。
「遊びでもわかるしな」
「その人みたいな遊びじゃなかったら」
「ああ、世の中生きていたら駄目な人がいることを知った」
「それもかなりの評価ね」
「本当に酷かったからな」  
 性格に行いがというのだ。
「だからだ」
「お父さんもそう言うのね」
「言わざるを得ないな」
 そうなるというのだ。
「どうにも」
「いや、そこまで酷いとね」
「言うこともないな」
「そんな人知り合いでなくてよかったわ」
「親戚で集まったら誰も声をかけないし顔も向けなかった」
 そうした状況だったというのだ。
「それでわかるな」
「凄い嫌われていたのね」
「しかもまともなことは言わないし常識も教養もなかった」
「本当に何もかもが悪かったのね」
「だからどうしようもなかったんだ」 
「性悪なまま変わらなかったのね」
 咲もここでつくづく思った。 
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