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イベリス

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第四十五話 考えは変わるものその五

「労働者だの階級でも信者でもいい」
「労働者だと共産主義ね」
「共産主義も結局そうだな」
「カルトなの」
「赤軍派なんかそうだな」
 戦後日本に生まれた彼等はというのだ。
「もうな」
「革命とか言ってテロやってたから」
「それで人も殺したしな」
「だからカルトと変わらないのね」
「あさま山荘なんかそうだったな」
 この時彼等は多くの身内を粛清している、これが彼等の言う革命の帰結だったのだ。
「酷かっただろ」
「本当にああいうのもカルトなのね」
「結局な、だからな」
 それでというのだ。
「そうした最も優れているとか選民思想を言って自分を信じればとか言うとな」
「カルトだから」
「気をつけるんだ、あと言ってる人をよく見るんだ」
 その本人をというのだ。
「異様に太っていたり派手な服を着たりお金や権力を求めたり神格化していたりするんだ」
「神格化?」
「生き神様、北の将軍様みたいになってるんだ」
「というか北朝鮮もカルト?」
「そのままだな」
 あの国もというのだ。
「特撮ものの悪役みたいだな」
「というかそのままね」
「昔は多く人があの国はまともでな」
「そう思っていたの」
「それで赤軍派とかもな」
 彼等もというのだ。
「テロはしてもカルトみたいだとはな」
「思ってなかったの」
「それが変わったんだ」
「そうなの」
「次第にその実情がわかってきてな」
 情報が伝わってきてというのだ。
「共産主義国家の実態もな」
「ソ連とか」
「スターリンのな、ナチスと変わらない」
 冷戦が終わる頃までナチスのみが絶対悪だった、だがスターリン時代のソ連の実態がわかってそこにソ連も加わったのだ。
「とんでもない国だってな」
「ナチスとソ連って同じよね」 
 咲は父に自分の両国への認識を述べた。
「そうよね」
「今はそう思うな」
「漫画でもアニメでも小説でもゲームでもね」
 創作の世界でもというのだ、尚咲はそちらには疎いが戦記ものではこの二国はほぼ同じタイプの悪役として出て来る。
「もうナチスとソ連ってね」
「同じだな」
「独裁者いてね」
 ヒトラーそしてスターリンのことであるのは言うまでもない。
「秘密警察あってね」
「ゲシュタポやKGBだな」
「監視国歌で弾圧して虐殺して」
「そうした国だな、どっちも」
「そう思うけれど」
「それが昔はな」
 父はその冷戦の頃のことを話した。
「お父さんが十代の頃ソ連はまだあったからな」
「言えるのね」
「本当に実態がわかってな」
 ソ連ひいては共産主義のというのだ。
「皆考えが変わったんだ」
「北朝鮮や赤軍派についても」
「お父さんが大学の頃はまだ同級生で日本の皇室は反対で北朝鮮の世襲はいいとか言う奴がいたらしいがな」
「そうだったの」
「流石に八条大学にはいなかったがな」
「お父さんの通っていた大学には」
「けれどそんな考えの奴もいたんだ」
 かつてはというのだ。 
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