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イベリス

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第四十五話 考えは変わるものその四

「人を不安にさせてそこからな」
「耳に残って耳障りのいい」
「そんなことを言ってな」 
 そうしてというのだ。
「人を引き込んでいっていたんだ」
「それは今もよね」
「もう予言はないがな」
 それでもというのだ。
「それは変わらないんだ」
「それでそうした人達の話は」
「聞くな」
 絶対にという言葉だった。
「いいな」
「聞いたら騙される?」
「そうだ、騙されてな」
 そうしてというのだ。
「利用される」
「そうなるのね」
「そうした連中は人を利用することしか考えていないんだ」
「人を救うのが宗教でしょ」
 咲は自分の宗教への考えを述べた。
「違うの?」
「本来はな」
「カルトは違うの」
「お金儲けでやってるならまだいい」
「それも駄目でしょ」
 咲は即座に突っ込みを入れた。
「お金儲けでも」
「インチキだな」
「ええ、それだとね」
「インチキでもお金を求める位ならまだいいんだ」
「もっと酷いと」
「オウムがそうだっただろ」
「自分達が日本を乗っ取ろうとしていたわね」
 父にすぐに言った。
「そうだったわね」
「それでテロもやったな」
「沢山の人も殺したわ」
「ああなるんだ」
「カルトも酷くなると」
「お金位ならまだいい」
 それでも充分悪質だとだ、父は言葉の中にこの言葉も入れた。そのうえで娘に対して話を続けるのだった。
「そうして人も殺したりするとな」
「問題なのね」
「あと権力を求めてな」
「日本乗っ取りとか」
「そういうのを考えだすとな」
 そうなってしまうと、というのだ。
「本当に危険なんだ」
「それでそうした人達の言葉は」
「聞いたら駄目だ」
 絶対にというのだ。
「何があってもな」
「利用されるだけなのね」
「それで用済みになるとな」
 その時はというと。
「もうな」
「捨てられるの」
「そうだ、道具に過ぎないからな」
 それ故にというのだ。
「そうなる」
「そうなのね」
「だから気をつけるんだ」
「そうした人達の言葉には」
「極端で不安を煽ってな」
「耳触りがいいの」
「兎に角最初は不安を煽るんだ」
 カルトはというのだ。
「それでそこで耳障りのいいことを言ってな」
「騙すのね」
「そうだ、自分達は優秀だとかナチスみたいなことも言う」
「ナチス?」
「ああした何とか人が最も優れているとかな」
「ああしたことをなの」
「それが人種でなくてもいいんだ」
 別にというのだ。 
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