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ドラゴンボールZ~孫悟空の娘~

作者:setuna
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第78話

 
前書き
ドラゴンボール超はアニメと漫画両方に賛否両論あるけど、両方の良いとこを繋げれば結構面白い。

完成形ブルーとかアニメでは地味かもだけどアイディアは面白いと思う。

ただ、それなら他の超サイヤ人でやれよと言うツッコミが入っちゃったけど。

囚人戦は大筋が原作と変わらないので一気に飛ばします。 

 
悟林は悟飯が部屋を出てからも修行を重ねていた悟林は食事を摂っていた。

相変わらずこの粉は不味いが、この部屋にはこれと水しか食料がないので仕方ない。

「………ふう」

満腹になるまで黙々と食べると水を一気飲みして深く息を吐いた。

「そろそろ限界…かな…?」

この部屋では外界の情報はシャットアウトされるはずなのだが、妙な胸騒ぎを感じるのだ。

「その通りです悟林さん。」

「え?メルスさん?」

振り返るとウイスと同じ服を着たメルスが悟林の背後に立っていた。

「お久しぶりですね。私も悟空さんとここに似た場所で修行していたので数ヶ月ぶりです」

「うん、私も時々部屋から出て休むから結構久しぶり…ところでその服はウイスさんの…やっぱりメルスさんは普通の人じゃなかったんだね」

「はい、私はお兄様と同じ天使です」

「そうか、天使って修行以外じゃ闘えないんだよね…だからメルスさんは実力を隠していたわけだ…因みに本気で闘ったらどうなるの?」

「掟を破った天使は消滅します。天使が消えてしまう唯一の事例です…悟空さんとの修行でお兄様達に気付かれてしまいました。」

「そう…大丈夫だよメルスさん。銀河パトロールの件は気の毒だけどモロは私がぶっ潰すよ。」

「お願いします。皆さんが危機に陥っています…急いで下さい」

メルスが杖を翳すと悟林のボロボロの道着が新品同様になる。

何でも悟空は身勝手の極意“兆”には自在に使えるようになったが、銀髪の完成形には至れていないこと。

そしてベジータはモロとの相性が悪い我儘の極意ではなく、ヤードラット星の術であるスピリットの強制分離を習得してきたのだが、隙を突かれて逃げられてしまい、モロの能力やらをストックしておいたセブンスリーを吸収を許してしまい、大幅なパワーアップどころかベジータの能力までコピーされてフュージョンすら封じられて全滅寸前とのこと。

「………うん、正直何やってんのとしか言えないね」

悟空の場合は身勝手の極意の修行が中断されたから理解は出来るが、油断してモロのパワーアップを許したベジータは流石に呆れるしかない。

「しょうがない、修行の成果を試して来ますか…安心してメルスさん。モロは必ず倒してくる…首を掴まれなきゃ良いんでしょ?バリヤーにも少し改良を加えたから大丈夫」

「頑張って下さい悟林さん…一緒に闘えなくてすみません」

「良いんだよ、モロを瞬殺したらウイスさんに頼んでみるよ…もう一度メルスさんを銀河パトロールに入れてくれって…」

「悟林さん…」

「それじゃあ…行くよ…!はあああああっ!!」

気合を入れて次元に巨大な穴を開けようとする悟林だが、あまりのパワーに神殿が木っ端微塵に吹き飛んでしまう。

余波でブルマ達が吹き飛んだ気がするが気にしないでおこう。

「近くまで送ります」

「OK」

悟林とメルスは戦場に向かう。

向かっている途中でモロが張ったのだろうバリアがあり、そこにデンデもいた。

「何やってるの神様?神様が死んだら地球のドラゴンボールが…」

「彼も彼なりに地球のために闘おうとしているのでしょう。責めてはいけません」

危険地帯に向かおうとしているデンデに悟林が表情を顰めるが、メルスは寧ろそんなデンデを好ましいと思っていた。

「メルスさん、バリアに穴を開けて。」

「分かりました…お気をつけて」

「神様」

「ご、悟林さん!?」

「言いたいことは腐るほどあるけど、神様が何でこんな所に来たの?神様が死ねば希望のドラゴンボールが失われる。神様は自分の命の重さを分かってないね」

「………」

俯くデンデに悟林は溜め息を吐くと近くにいたビルスとウイスに振り返る。

「まあ、神様の気持ちも分かるからこれ以上は言わないよ。ビルス様、ウイスさん。行ってきます」

「ええ」

「さっさと片付けてこい。そして終わり次第美味しい物を食わせろ」

「うん、楽しみにしてて…ウイスさん」

「何でしょう?」

ビルスが悟林の手料理を所望したのでそれに答えると、次はウイスに向き合う。

「お願いがあるの、メルスさんを銀河パトロールに戻して欲しい」

「…無理です。彼は掟を破ろうとしました。掟を破った彼をこれ以上下界に派遣することは出来ません」

「逆にメルスさんが掟を破りかけたのはモロの存在があったからだよ。モロさえ倒せばもうメルスさんが掟を破る理由がなくなる…お願いウイスさん、私が必ずモロを倒すからメルスさんを銀河パトロールに戻して下さい」

頭を深々と下げる悟林にウイスは深い溜め息を吐いた。

「確かに原因となったモロを倒せばメルスさんが掟を破る理由はなくなりますね…良いでしょう。あなたがモロを倒せればメルスさんを銀河パトロールに再派遣します。ただし、常に私の監視つきですが」

「ありがとうウイスさん!それじゃあ、暴れてきますか!!あ、お父さん達が巻き込まれないように遠くに」

「…お気をつけて」

「大丈夫、あの調子に乗った山羊を叩き潰してやるから」

最大スピードでモロの元に向かうと近くで瀕死の悟空達が倒れており、メルス達の力で離れた場所に移動された。

「やあ、久しぶりだね。モロ…」

「貴様…覚えているぞ、前に俺の腕を砕きやがった奴だな」

「へえ、覚えていてくれたようで嬉しいよ。確かにセブンスリーとやらを吸収して大分変わったね」

「知っていたか、だが姿だけじゃない。元々の俺のパワーとセブンスリーにストックしておいたパワーが併さった姿だ。」

「ふうん、確かに見た目だけじゃなくて少々パワーアップしたようだねぇ、弱い者虐めは楽しいかい?ん?」

「ふん、確かに弱い者虐めだな。俺はあまりにも強くなり過ぎた、お前も孫悟空やベジータと他の奴らと同じならただエネルギーを喰うしか楽しみが無くなるな」

悟林の挑発に対してモロも挑発で返す。

「残念、お前の楽しみはここで終了だよ。お前はここで死ぬんだ」

悟林は神のオーラを纏って潜在能力を解放すると、今までとは桁外れのパワーを解放する。

オーラの色は通常より濃く、神の気の段階が超サイヤ人ブルーフルパワーのレベルにまで到達したようだ。

しかし、それでもモロにはまだ届かない。

「ははは…俺が死ぬだと?有り得んな、元々の俺の能力にピッコロの再生能力とベジータのスピリットの強制分離を持った俺は無敵だ」

「ふふふ、良いねえ。調子に乗っているお馬鹿さんを徹底的に叩き潰すのは…私はお父さんやベジータさんみたいにドジはやらないからねぇ…それじゃあ、始めようか………ふう……超…究極…」

「…?」

「界王拳ーーーーっ!!!」

100倍の界王拳を発動し、その膨大な赤いオーラを体の中に封じ込めていくと悟林の体が淡いオーラを纏っている。

そしてその姿はウイスとビルス、メルスにも見えていた。

「素晴らしい…お見事ですよ悟林さん」

「なるほど、界王拳は見た目は派手だが、常にあのオーラを身に纏っているから無駄にエネルギーを垂れ流している。それを回避するために悟林はオーラを体内に封じ込めてより効率的に戦闘力を飛躍させることが出来るようにしたのか」

「ええ、無駄を極限まで削いだことで、その上昇率は100倍の界王拳の数倍です。正に超究極の名に相応しい…オーラを体の中に封じ込められるようになるまで血の滲む努力をしたのですね」

「ふん、あのパワー…疼くじゃないか悟林の奴め」

「あれなら…モロを倒せる…頑張って下さい悟林さん…!」

ビルスが好戦的な笑みを浮かべる隣でメルスは悟林の勝利を願っていた。

「メルス…?それにビルス様とウイスさんも…」

「おや、目が覚めましたか」

デンデの力で回復した悟空達がビルス達がいることに驚く。

「全くお前達は危なっかしい奴らだ。あんな程度の奴に苦戦するとは世話が焼ける。今は悟林が不甲斐ないお前らの尻拭いをしようとしているところだ」

「あ、あれは…界王拳か!?ど、どうなってんだ悟林の奴…」

「悟林さんが言うには超究極界王拳…界王拳の完成形です。」

「そ、そうなんか…気がでかすぎて何が何だか分かんねえ…」

「ぼ、僕達も姉さんに加勢を…」

「余計な真似をするな。お前達がいてもあいつの邪魔にしかならん。黙って見ていろ」

悟空が悟林の異次元レベルの気に顔を引き攣らせ、悟飯が悟林に加勢しようとしたが、ビルスに却下される。

「はは、悔しいけどビルス様の言う通りみてえだ…オラ達がいても今の悟林の邪魔にしかならねえ。すまねえメルス…せっかく修行に付き合ってもらったってのに」

「いいえ、悟空さん。修行に問題はありません、完成までは後はきっかけ1つなんです。身勝手の極意は超サイヤ人とは真逆の技、感情を揺さぶられる大きな衝動を自制出来た時にこそ発動するのが身勝手の極意です。」

メルスが改めて身勝手の極意の習得条件を説明すると改めて悟林とモロの方を見た。

良く見ると悟林はバリヤーも同時に張っているのを確認し、モロのエネルギー吸収の対策は完璧のようだ。

「うおおおおっ!!」

モロが気を解放して悟林に勢い良く飛び掛かるが、次の瞬間モロが吹き飛んだ。

「え!?」

「モロがひとりでに吹き飛んだぞ…!?」

悟飯とピッコロからすればモロがひとりでに吹き飛んだように見えたようだ。

「違う、悟林はモロの顔面に4発くらいのパンチを叩き込んだんだ」

「正確には5発です。ジャコ隊員」

人間としては最高の視力を持つジャコですら視認が困難な拳。

メルスが訂正すると5発もモロに顔面にぶちこんだ悟林に驚愕する。

「ぐっ…!な、何だ…何が起きた…!?」

鼻の骨が砕けたのか鼻血を垂れ流しながら起き上がるモロ。

「へえ、挨拶代わりの軽めのパンチとは言え、私のパンチを5発顔面に喰らって原型が残ってるなんて大したもんだよ」

「パンチ5発だと…何のことだ…!?」

「今度はお前のような雑魚でも見えるようにゆーっくりやってあげる…来なよモロちゃん?」

指を動かしながら挑発するとモロが怒りの形相で再び飛び掛かる。

「抜かせーーーーっ!!!」

腕で悟林の胸を貫こうとしたが、本人曰くゆっくりとした速度で放たれた拳を今度は顔面に3発喰らい、仰け反る。

「が…あ…っ!?」

「とうしたのかなモロちゃん?強くなり過ぎたんならもっと余裕を見せて笑いなよ」

モロの腹に悟林は蹴りを叩き込んで岩に叩き付け、吹き飛ばされながらも何とか体勢を整えたモロは空中で急停止する。

「ぐっ!己……!?ど、どこだ!?」

悟林のいた方向を睨むがそこには誰もいない。

周囲を慌てて見渡すが、悟林は既にモロの背後にいた。

「後ろだよ」

「ぐああああっ!!」

脳天に踵落としを叩き込んで地面に叩き付ける。

倒れ伏しているモロを悟林は嘲笑った。

「どうしたのモロちゃん?強いならさっさと私を殺してみなよ。それとも口だけなのかな?このウスノロ」

「ウスノロ…?ウスノロだと!?少しパワーがあるくらいでいい気になるな!!」

モロは魔力で悟林を拘束すると動けなくする。

「いくらパワーがあっても俺には魔力がある!そしてその状態でこれを喰らえばどうなるだろうなぁ!?」

そして動けない悟林に向けてベジータのビックバンアタックを何度も直撃させ、最後にはピッコロの魔貫光殺砲を直撃させた。

「姉さん!」

「いかん!あんな攻撃を無防備で喰らっては…!」

モロの攻撃を防御出来ずに直撃を喰らった悟林に焦る悟飯とピッコロ。

直撃を受けた悟林は仰け反ったまま動かない。

「ふん、口ほどにもない奴だ」

「ん…んん…はあ…中々気持ち良いマッサージだねぇ、うん。わざわざマッサージしてくれるなんて気が利くなあ」

「な、何…だと…?」

渾身の攻撃が間違いなく全て直撃したにも関わらず、ほとんどダメージを受けていない。

「うん、今度は左肩に魔貫光殺砲当ててくれる?肩凝り解消に丁度良いよ」

「ふ…ふざけるな!!」

更に攻撃を要求すると言うふざけた態度を取る悟林にモロのこめかみに青筋が浮かび、怒りのままに突撃するモロ。

このまま悟林を殺そうと言うのだろうが、悟林はモロを確実に叩き潰すためにギリギリまで修行していたのだ。

魔力の拘束を一瞬で破って、モロの額に肘打ちを叩き込む。

「ああ、ごめん。あんまり遅いからつい攻撃しちゃった。」

「ぐおおおおっ!!」

怯んだモロに回し蹴りを入れて吹き飛ばす。

「悪いけど、お前がセブンスリーとやらを吸収しても魔力があろうが、私にとってはちょっとした誤差でしかないんだよねぇ…ほれ」

指先から気を放出して倒れているモロを串刺しにするとそのまま上空に浮かせる。

「ぐ…があ…ああ…」

「どうしたの無口になっちゃって、それにしてもこれじゃあサンドバッグにもなりゃあしない。もっと本気で必死になりなよ…あ、ごめん、お前はそれで本気で必死にやってるんだよね?これは失礼」

「ぐ…っ!!があああああっ!!!」

気合を入れて悟林の気を吹き飛ばし、ピッコロの再生能力で損傷した腹を元に戻すと悟林を睨む。

「そうか、ピッコロさんの再生力もあるんだからそれくらいは治せるか」

「ふ、ふふ…そうだ。この再生能力がある限り貴様は俺には勝て…ぐふうっ!?」

言い切る前にモロの懐に入って顔面に裏拳3発を入れるとモロの前歯が全てへし折れる。

そして顎を蹴り上げて顎の骨を粉砕しながら上空に打ち上げて悟林もそれを追い掛けた。

「行くぞっ!!」

一瞬で距離を詰めた悟林はモロを滅多打ちにし、ボロボロになったモロの背後に回ると膝蹴りを3発顔面に叩き込み、怯んだところを組んだ拳を脳天に喰らわせて地面に叩き付けた。

「ぐおおおお…っ!!」

「お前のエネルギー吸収によるパワーアップは喰うことで成立する。だから口をぶっ壊せばエネルギーを喰えないし殴り放題って訳だね」

「ぐっ!俺を怒らせれば怒らせるほど、貴様は苦しみ抜いて死ぬことになるぞ、分かってやっているのか!!」

「へえ、お前が私を殺す?面白いねえ、ほらやってみせてよ。遠慮しないで」

「があっ!!」

モロが両腕を上げて地球のエネルギーを悟林にぶつける。

そして地球のエネルギーで弾を作って何度も当て続ける。

自分の力が通じないなら強いエネルギーを秘めた地球を利用しようと言うのだろう。

しかし、悟林は地球のエネルギーさえ気合で吹き飛ばしてモロにラリアットを噛まして吹き飛ばす。

「がっ!!く、くそおっ!!」

魔術で目眩ましをして岩陰に隠れ、急いで体の損傷を再生しようとする。

「くっ…さ、再生が遅い…な、何故だ…!?」

「ピッコロさんの再生能力は肉体のダメージが能力を上回った場合は作用しないよ」

「なっ!?」

背後から聞こえた声に振り返ると悟林が嘲笑を浮かべながらモロを見下ろしていた。

「かくれんぼかぁ、懐かしい。子供の頃は良くやったよ…ねえ、どうしたの?こんな所に気配を消して隠れて?回復までの時間稼ぎのつもり?…と言うことは、もう悟っちゃったわけだ。このままじゃあ、何も出来ずに私に殺されちゃうって」

「黙れっ!!この俺が貴様なんぞに…ぐふうっ!?」

気弾を放とうとしたがそれよりも先に顔面に飛び蹴りを入れられて悟林に何度もモロは岩に叩き付けられる。

「ひええ…あのモロが子供扱いだ…やっぱりサイヤ人は恐ろしいな…」

「以前の力の大会が良い経験になったようですね。安定して使いこなしています」

パワーアップしたはずのモロが子供扱いされているのは喜ばしいことなのだが、それをしている悟林が混血とは言えサイヤ人なので、改めてサイヤ人の恐ろしさを再認識したジャコ。

ウイスは力の大会の時のぶっつけ本番が良い薬になったらしく超究極界王拳の安定度に満足そうだ。

「こりゃあ、オラ達も技を完成させねえとやべえぞベジータ」

「チッ、頭に来るが今の俺ではあいつに勝てんことくらい分かっている」

身勝手の極意も我儘の極意も完成を急がねばなるまい。

悟空とベジータは自分達の未熟さを噛み締めながら悟林とモロの闘いを見守った。

正確には最早闘いではなく一方的な蹂躙である。

防御しようとしてもバリアも圧倒的な力で突破され、腕で防いでもその腕が砕けるだけであった。

両腕の骨を砕かれたモロは防御することも魔術を使う余裕も与えられずに悟林の拳を自身の血で汚すだけ。

まるで血を血で洗うかのように悟林の拳はモロに無慈悲に叩き込まれていく。

何度も何度も何度も。

それはまるでかつての残忍で冷酷なサイヤ人を体現したような姿だった。

そして腹に気を纏わせた拳を叩き込むと骨が砕ける音が響き、そして回し蹴りで岩に叩き付けた。

全身の骨を砕き、そしてとどめと言うかのように岩の下敷きになったモロ。

「た、助けて…くれ……殺さ…ない…で…くれ…」

「ははは、駄~目」

モロの命乞いも聞かず、笑みを浮かべながらモロを下敷きにしている岩目掛けて気弾を放つ。

「……やっぱりサイヤ人は宇宙の悪魔だ…」

サイヤ人が宇宙で暴れ回っていた時代で言われていた様々な悪名を思い出したジャコは今の悟林の姿に相応しい悪名を呟いた。

爆発に飲まれたモロは何とか生きていたが、ピッコロの再生能力もまともに働かない程にまで痛め付けられ、今ではピッコロでも容易に殺せる程にまで弱っていた。

「ぐ…うう…っ…」

「このまま殺しても良いけど…あっさり殺したんじゃつまらないから…特別サービスだよ。私の能力をコピーしなよ」

バリヤーを解除してモロに背中を向ける悟林に、モロだけじゃなくビルスとウイスを除いた全員が驚く。

「な…?ね、姉さん!?」

「な、何を考えてやがるんだあいつは!?モロにあの技をコピーされては…」

「………ああ、なるほど…あいつ性格悪くない?」

「ほほほ、嫌いな人限定でしょう」

「「?」」

ビルスとウイスの会話に疑問符を浮かべる悟空とベジータ。

「ほら、どうしたの?さっさとコピーしなよ。待ってあげるから」

「…ふ、ふざけやがって…後悔しろーーーーっ!!!」

腕を伸ばして悟林の首を掴んで悟林の能力をコピーし、モロは勝ち誇った表情で悟林の超究極界王拳を発動しようとする。

「さあ、使いなよ。遠慮しないで」

「どこまでも舐めやがって…貴様の技で貴様を殺してやる!!はあああああっ!!!」

超究極界王拳でモロの戦闘力が数百倍に跳ね上がった…瞬間、モロの気が暴走して反動で倒れた。

「「「え!?」」」

驚く悟飯とピッコロ、ジャコ。

「モロの体が…」

「まあ、当然だな。あんな軟弱な肉体であんな自爆技一歩手前の技など使えるわけがない」

「超究極界王拳は悟林さんの血の滲む努力の結晶。最早“極意”と称しても良い技です。常に才能に溺れずに自らを鍛えてきた悟林さんだからこそ使える技です。修行もしていないモロの肉体では体が保たないでしょう。特に超究極界王拳は“気脈”にも気を使いますからね」

「気脈?」

「体には気が通る道のような物があるのですよ悟空さん。界王拳は気脈が耐えられる限り、力を大きく引き出すことが可能ですが、気脈が耐えられる以上の気が流れ込んだら体が壊れてしまいます。悟林さんは気で気脈を強くすることで超究極界王拳を実現しているのです。最も本人は気脈を理解してるかは分かりませんがね…何度もあの技を使って修行していましたから無意識に理解しているのでしょう。」

「はは、自爆なんて笑えるねモロちゃん。この技はお前みたいな奴が使えるような技じゃない。ただ力を振り回すような馬鹿には絶対にね…さて、お前で遊ぶのも飽きたし、そろそろ終わりだよ。超究極界王拳の…」

悟林が額に指を当てて気を集中させていくのを見たビルスがウイスに振り返る。

「おい、ウイス!!」

「はい、ただいま。あなたも手伝いなさい」

「はい!!」

モロと悟林の周辺にバリアを施すのと同時に悟林はとどめの気功波を放った。

「魔貫光殺砲ーーーーっ!!!」

「く…くそお…っ…この俺が…たかだが数百年前に誕生した種族に…!」

気功波が直撃し、そのエネルギーの大爆発に飲み込まれたモロは細胞1つ残さずに消滅した。

「まあ、万が一お前が私に勝とうが、お前なんかがビルス様に勝てるとは到底思えないけどね…お前の実力なんてこんなもんだよ」

「ウイス」

「ええ、モロは完全に消滅しました。流石は悟林さん、有言実行ですね」

「ふん、全く…どこぞの馬鹿2人に爪の垢を煎じて飲ませてやりたいくらいだ。何であいつみたいにスムーズにやれないんだ。詰めの甘い奴らだよ本当に」

未完成の身勝手の極意で挑んだ悟空と、隙を突かれて逃げられた挙げ句にモロのパワーアップを許してしまったベジータは気まずそうな表情だ。

「まあ、良い物を見させてもらったよ。超究極界王拳…面白いじゃないか…久しぶりに本気を出せそうだ…!」

拳を握り締めながら好戦的な笑みを浮かべるビルスだが、やってきた悟林の眠たそうな表情に拍子抜けする。

「ふわああ…」

「な、何だ?」

「ごめん、ビルス様…料理作れそうにない…超究極界王拳はまだ安定してないみたい…極度に肉体と気を酷使したせいか…体に力が入らないし…眠い…お休みぃ…」

そのままうつ伏せで爆睡する悟林にビルスが叫ぶ。

「うおおおおおいっ!!?僕にここまで興奮させといてお預けはないだろうが!!起きろ!おい、起きろーーーーっ!!!」

「どうやら肉体と気を酷使し過ぎたことによって冬眠状態になったようですね。しばらくは起きないでしょう…まあ、ゆっくりと休ませてあげましょう。」

「お疲れ様でした。悟林さん」

メルスが毛布を出すと悟林にかけながら抱き上げた。

「うおおおおおっ!!この怒りをどこにぶつければ良いんだっ!!」

「まあ、よろしいじゃないですかビルス様。悟林さんはまだまだ強くなりますし、楽しみは取っておきましょう。いずれは今よりもっと強ーい悟林さんと闘えますよ」

「うぐぐぐ…まあ、仕方ない!今から美味い物を食いに行くぞーーーーっ!!」

ビルスは勝負をお預けにされて不満そうだったが、地球の美味い料理で機嫌を直したのであった。

言葉通りにメルスは銀河パトロールに戻され、ウイスの監視付きながらも今まで通りに任務に精を出すのであった。 
 

 
後書き
普通に出せるのが50倍究極界王拳、結構負担があるのが100倍究極界王拳、そして超サイヤ人3ポジションの超究極界王拳…負担滅茶苦茶。

今の状態ではフルパワーの反動で滅茶苦茶寝る。 
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