ドラゴンボールZ~孫悟空の娘~
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第77話
前書き
一応サイヤ人…と言うか酸素を必要とするドラゴンボール住人は大気圏なら活動可能…劇場版とか見るとクリリンも出来るんだから凄いわ
太陽拳の目眩ましで大気圏に離脱した悟林だが、ベジータが暴れるので手を放した。
「おい!何故逃げたんだ!」
「今の状況じゃあどう考えてもモロには勝てない。モロのエネルギー吸収を前に私もエネルギーを奪われている2人を庇いながら闘う余裕はないよ」
「確かにな、あのままだとオラ達もエネルギーを吸収されて終わりだった。悟林の判断は間違ってねえ…」
「チッ!」
舌打ちするベジータ。
基本的にベジータは敵前逃亡を認めないので、今回の逃走はかなり苛立っているように見える。
「悟林さん!悟空さん!ベジータさん!」
メルスの宇宙船が合流し、メルスとジャコが出てきたので悟林が状況を説明しようとする。
「ごめんね、援軍が来たのもあるけどモロを倒せなかった」
「脱獄を許してしまったこちらの落ち度でもあります。取り敢えず一旦引いて体勢を整えましょう。我々は一足先に本部に戻りましょう。悟空さん、瞬間移動をお願いします…イリコ隊員。すみませんが、宇宙船をお願いします」
メルスが悟空に瞬間移動を頼み、イリコに宇宙船を頼むと一足先に銀河パトロール本部に戻るように頼む。
「よし、本部だな。ほらみんな捕まれ。ベジータも」
手を差し出す悟空だが、ベジータは取る気配がない。
それどころか苛立っていた。
「何が魔力だ…何が神力だ…サイヤ人は肉体の強さを誇りとする種族だ…妙な能力にも負けない強靭な肉体と圧倒的なパワーを誇っていた…なのにこの様は何だ…!」
モロと闘ってからまともにダメージを負わせることなく終わってしまったことはベジータのプライドを大きく刺激する。
「何言ってんだ早くしろ!このままだとモロが来るぞ!」
この場を離脱しようとしているイリコの宇宙船を見遣るベジータ。
「貴様らは本部に戻れ、行動を共にするのはここまでだ」
「はあ!?ベジータさん!?」
ベジータはイリコの操縦する宇宙船を追い掛けて乗り込むと、悟空達は突然離脱したベジータに困惑しながら銀河パトロール本部に移動したのであった。
瞬間移動で移動した先は本部にある銀河王の浴場であった。
「なっ…何だ!?」
「あらら、ごめんなさい」
「わりい、おっちゃんの気しか覚えてなくて」
「銀河王様、入浴中申し訳ございませんっ!!」
ジャコが即座に銀河王に謝罪するとその後ろで悟林達が会話をしていた。
「ベジータさん、どうしてしまったんでしょうか…」
「分かんねえ…何考えてやがるんだあいつ…」
「多分、モロと闘うために修行に向かったんだと思うよ。ただ普通の修行だとどうしようもないから、何か特殊な技を覚えようとしてるんじゃないかな?メルスさんのバリヤーみたいにね…ところで銀河王様、銀河刑務所の囚人が全員脱獄しちゃったみたいだよ?」
「な、何っ!?お…おいっ!!銀河刑務所の囚人が全員脱獄したと言うのは本当か!?」
悟林の言葉に銀河王は慌てて浴槽から出ると浴場から飛び出した。
「ぎ…銀河王様!何と言うあられもないお姿…!お召し物を身につけて下さい!」
「そ、そうです。女性の悟林隊員もいるんですよ!!」
側近らしき2人が銀河王の姿に驚いた。
しかし悟空と悟林には普段と全く変わらないように見えるが。
「はっ」
銀河王は恥ずかしそうに触手?手?で裸を隠そうとする。
「たっ、ただいま王冠をお持ちします!」
側近が持ってきた王冠を身に付けた銀河王はいつも通りになり、通路に出た。
「そんな話、私は聞いていないぞ…!」
「銀河王様はご存知だと…」
銀河王はどうやら銀河刑務所の囚人が全員脱獄と言う前代未聞の事態のことはまだ知らなかったようだ。
「まあ、仕方ないよ。銀河刑務所のセキュリティがどれ程の物かは知らないけど流石にドラゴンボールを使われたらね…」
「そうだなあ…ん?おい、大界王神様!?」
通路を共に歩いていた大界王神が突然倒れてブウの姿に戻ってしまう。
「どうやら力を使い果たしたようだね……それにしてもどうするお父さん?私は修行しようと思うんだ」
悟林がブウを背負うと悟空に今後どうするのかを尋ねる。
「そうだな、オラもこのままじゃ駄目だ。何か考えねえと…ブウ抜きで出来る作戦を…」
「そうだね…メルスさん。少し良いかな?」
「……はい」
呼ばれたメルスは悟林に連れられて悟空達に聞かれない場所に。
「1つ聞きたいんだけど、あのバリヤーは人間の技じゃないね?もしかしてあれも神の技かな?」
「…やはり気付いていましたか」
「そりゃあね、私も神様のとこで修行してるから……そしてメルスさんはその気になれば私やお父さん達を超える力を持っている…メルスさんの正体は……いや、今はメルスさんの正体は良いか…単刀直入に聞くよ。モロを倒すにはあのバリヤーが必要なの、あのバリヤーは人間でも使えるかな?」
「使えます。神の気…神力が使えるのなら絶対防御バリヤーを使うことが出来ますが…今の悟林さんが使える神力よりももっと強い神力が必要です。」
「なるほどね、ようするあのバリヤーを使うには神の気が足りない…つまり実力不足ってこと。ありがと、感覚は掴めたから近いうちに地球に戻って修行するよ」
メルスが一度張ってくれたので感覚は掴めているので後は修行をして絶対防御バリヤーを習得する。
そして界王拳の改良も思い浮かんだのでこれならモロを確実に仕留められる。
「よし、モロの倒し方も分かったし…今は様子を見よう」
「モロの倒し方ですか?」
「うん、モロってエネルギー吸収が厄介だけど逆に言えばそれだけだしさ。それさえ防げば後は圧倒的なパワーで捩じ伏せれば良いんだよ。流石のモロも数百倍も実力が離れれば関係ないしね」
「す、数百倍…!?」
とんでもない桁に驚くメルスだが、同時に悟林はそれを可能に出来ると言うのだから驚く。
「私の使う技に界王拳ってのがあるんだ。今は100倍が限度だけど、最後の改良に成功すれば数百倍のパワーを叩き出せるはずなんだ。楽しみにしてて、モロの恐怖に引き攣った顔を見せてあげるからさ」
こうして悟林達は本部でモロ達の行動を探っていたが、その間も悟林達は修行をしつつ宇宙の変化を見ていた。
「こ…今度は、惑星ズンが消滅してしまいました」
「惑星ズンって何?」
「宇宙の中でもかなりの重力を誇る星です。調査したところ地球の10倍もあるとか…もうあんな所まで進撃していたのか…!」
つまり惑星ベジータと同じ重力だ。
そんな星で生まれ育った人間は間違いなく地球よりもエネルギーの質が良いだろう。
「モロ達の生命反応はキャッチ出来ましたか?」
「それが…もう既に高速で移動したようで…レーダーから消えてしまいました…」
モロ達の乗っている宇宙船は相当に速く、銀河パトロール本部のレーダーからあっさりと消えてしまった。
「やはり駄目か…」
「オラ達もそんな遠くの気は捉えられねえ」
「やっぱりモロは私達の気の探知と本部のレーダーに引っ掛からない所を狙って行動してるんだね。こそこそしちゃって…」
「もう何日もこうしてるんだ。その間にもモロはどんどん力を付けちまっている。」
最早超サイヤ人ブルー界王拳や超サイヤ人ブルーフルパワーでも太刀打ち出来るか分からないくらいにまでモロのパワーが上がっているのかもしれない。
「でも…例え今モロに対峙したとしても…我々の力では勝てる見込みがありません」
「…おめえが本気になってもか?」
「え?」
悟空の言葉にメルスが振り返る。
そんなメルスに悟空は距離を縮める。
「ちょっと試して良いか?」
「何をですか?」
少しの間を置いて悟空はメルスに拳を突き出し、メルスはそれを難なくかわした。
「……普通の反応速度じゃないね。まるで体が勝手に動いたかのような動き」
悟林がメルスの動きにそう呟くと悟空は少しだけメルスの実力の一端を理解した。
「お…おい、どうした悟空!何かメルス隊員が気に障るようなことでも言ったのか?」
「オラは本気で拳を出した。」
「はい、だから避けました」
メルスはそう答えるが、通常状態でも悟空の攻撃を避けられる者などそうはいない。
ウイスとの修行で動きの際の無駄は極限まで削ぎ落とされているのだから。
「何だ何だ?喧嘩は良くないぞ、確かにメルス隊員はリーダー気取りなところが少し気になるが悪い奴ではない。顔だって良く見りゃ愛嬌があると思わないか?前髪見てみろよ、いくら何でも短すぎるだろ?」
「ジャコさん、お父さんは喧嘩しようとしてるんじゃないよ。確かめようとしてるんだ」
「確かめる?何をだ?」
「…うーん、ジャコさん。ここに手合わせ出来そうな場所はないかな?ある程度手合わせした方がずっと分かりやすいよ」
ジャコの疑問に悟林は悟空とメルスが手合わせ出来そうな場所はないか尋ねる。
「手合わせ?隊員用のトレーニングルームならあるぞ」
「そっか、メルス。オラ、おめえの実力を確かめたい。オラと手合わせしてくんねえか」
「分かりました。ではトレーニングルームに行きましょう」
悟空とメルスがトレーニングルームに向かい、中に入ると一定の距離を取って向かい合う。
悟林とジャコ、そして最後のナメック星人の生き残りのエスカが見守る。
「ここは多少の衝撃には耐えられるように作ってあります」
「へえ、そりゃあいいや。よし…そんじゃ、オラから行くぞ」
「…どうぞ」
悟空が突撃し、メルスに激しい猛攻を仕掛けるものの全ての攻撃を受け流し、かわされてしまう。
超サイヤ人と超サイヤ人2に変身してもまるで当たらない。
「……超サイヤ人のお父さんの攻撃が掠りもしないとは凄まじい反応だね」
「メルスさんの力を見ているんですね」
「だが、こんなことをするよりも今年の体力測定の数値を見せてやれば良いのに。こんなの時間の無駄だ。」
「体力測定…そんなことまでしてるんですね」
「因みに上体反らしは3年連続俺が1位だ。」
「…はあ」
果てしなくどうでもいい功績にエスカはどう反応すれば良いのか困った様子だ。
「戦闘力は?」
「え?」
「その体力測定とやらは戦闘力は測定しないの?」
「えっと…戦闘力は…ちょっと分からん。フリーザ軍の使っているスカウターのような戦闘力測定装置の技術は半ばあいつらが独占してるからな……で、でも基本的にみんな同じくらいの強さだぞ。まあ、俺は結構強い方だけどな!!」
「まあ、そうだね。」
他の隊員が光線銃に頼るのが多い中、体術を駆使して敵を撃退出来るジャコは確かに銀河パトロールの中では強い方だろう。
「はあっ!!」
途中で悟空が超サイヤ人ゴッドに変身するが、気の圧力によってトレーニングルームに亀裂が入り始める。
「まずい!や…止めろ悟空!これ以上はここは耐えられないぞっ!!部屋が崩れてしまうぞ!!」
「あ…すまねえ」
ジャコに止められた悟空が周囲を見渡して変身を解き、悟林も部屋の損傷を見ながら呟いた。
「超サイヤ人ブルーじゃなくて良かったね。なってたらこの部屋が確実に壊れてた。」
「終わりにしよう」
悟空の言葉にメルスは頷いた。
「これで満足して頂けましたか?」
「ああ、取り敢えず今ので充分だ。やっぱり思ってた通りだ」
「?」
「…よし、決めた!オラおめえに修行してもらうことにした!」
「ん?今悟空の奴何て言った?」
「修行?」
「なるほど、お父さんはメルスさんに鍛えてもらうつもりのようだね。確かにメルスさんの実力ははっきりとは分からないけど、それでもお父さんの知らない世界を知っている…そんな気がするよ」
メルスの動きは明らかに普通ではなかったので、メルスに鍛えてもらって悟空はある技を完全に会得するためだろう。
「おめえの強さは正直良く分かんなかったが、おめえはオラが知らない世界を知っている。違うか?オラには1つ完成させなきゃならねえ技があるんだ。体が勝手に動くあの技ならエネルギーを吸収するモロにも通用するかもしれねえ。おめえと修行したら完成に近付くことが出来る気がするんだ」
悟空はメルスの動きが身勝手の極意に近いことに気付いており、メルスとの修行が身勝手の極意の会得に大きく近付くと思ったようだ。
「…分かりました。そういうことなら私で良ければ手伝わせて下さい」
「よしっ」
メルスの承諾を得た悟空が拳を握って笑みを浮かべる。
「ただ、ここでは限界があります。もう少し修行に適した場所に移動しましょう」
「そりゃ助かる。ゴッド以上になれねえんじゃ修行になれねえからな」
そして悟空は準備をした後に修行のために他の惑星に旅立った。
「しばらく本部を開けます。何かあったらすぐに連絡して下さい」
「了解!ここは俺達に任せろ」
しかし悟空達が旅立ったその後も状況が変わることもなく悪戯に時間だけが過ぎていった。
「…まずいね、モロはどんどん強くなっているはず。そろそろ私も修行しないと勝てないかもしれない」
「おい、悟林。地球に行くぞ」
「え?地球に?」
「ああ、前に第6宇宙との試合の時に選手がいたろ?ナメック星人の…あいつをスカウト出来ないか交渉することになった。」
要するに人手不足だからピッコロをスカウト出来ないか交渉するために地球に向かおうと言うのだろう。
「丁度良いや、私もそろそろ修行しないとまずいと思ってたからね」
「おい、お前までいなくなられるのは困るぞ」
「大丈夫、1日が1年になる場所があるんだ…あそこで修行して…モロをぶっ潰せるくらいに強くなってあげるよ。楽しみにしてなよジャコさん。モロの恐怖で怯えた顔を見せてあげる」
「お、おお…頼もしいなそれは…(やっぱりサイヤ人は怖い)」
凶悪な笑みを浮かべる悟林にジャコは頼もしいと思う反面恐怖を覚えたのであった。
「取り敢えず、ブルマさんに通信を入れないとね。面倒だけど」
「果てしなく同意するが地球には闘える奴らが何人かいるからな。ブルマに連絡を入れなくては…面倒だが」
ブルマへの通信を面倒臭そうにしながらも悟林は早速ブルマに通信を繋いだ。
「もしもしブルマさん。」
『あっ!?悟林ちゃん!どう、モロって奴は倒せた?』
「まだだよ。これから戻るついでに修行するから」
『ちょっとまだ倒せてないの!?何チンタラ遊んでんのよ悟林ちゃん!!』
「こいつ、我々の苦労も知らずに…」
モロのことを知らないからとは言えブルマの言葉にイラッと来たジャコであった。
「ブルマさん、ピッコロさんに伝えといて。銀河パトロールに入れるからジャコさんと私が迎えに行くから」
『は?それどういう…』
「じゃあ、用件はそれだけ。ピッコロさんに伝えといて…ああ、お父さんとベジータさん生きてたから。じゃあね」
『え!?生きて…』
まともに会話すると疲れるので用件だけ伝えて通信を切った。
「ご苦労だったな」
「うん、取り敢えずジャコさん。地球に行こう、向こうで修行してモロを倒せるように強くなる」
「ああ、そうなってもらわないと困る」
バリヤーと言う初見殺しがあったのも事実だが、モロを追い詰めたのは間違いないので悟林には強くなってもらわないと困る。
2人はピッコロを引き入れるために地球に向かい、ついでにエスカを連れて地球に向かう途中でブルマから通信が入ったので色々と情報交換をすることにした。
「…そんなわけで、ナメック星は死の惑星になっちゃって、更にモロの奴が他の星のエネルギーを喰って死の星を大量に作ってるわけなの…」
『ま…まさか…そんなことが…ナメック星の仲間達が…』
「落ち込んでる暇なんかないよ神様。私は戻り次第精神と時の部屋を使わせてもらうからすぐに使えるようにしておいて…ベジータさんもお父さんもそれぞれ修行してるから私達のいない穴を埋めるためにピッコロさんの力が必要なの、ピッコロさんの他に…闘えそうな人達をスカウトしておいてくれない?悟飯とか悟天やトランクス君とか…取り敢えず闘えそうな人達全員」
『悟天君とトランクスは正直気が引けるけど、分かったわ』
「それと、みんなもモロには気をつけて。モロの偵察部隊が宇宙中を駆け回ってるらしいよ。」
『何よ、偵察部隊って』
「モロの喰う星を探してるんだよ。地球は生き物が多いからモロにバレたら絶対に喰われるよ。細長いのが特徴の宇宙船で大体2人か3人のメンバーだよ」
『まさか…!』
悟林が言い終わるのと同時にデンデの慌てた声が聞こえた。
「ん?神様?ちょっと神様?」
突然通信が切れたが、取り敢えず地球に向かうことにし、そして地球に到着すると何とマカレニ兄弟が檻に入れられていた。
「おーい、ブルマさん!来れたのはクリリンさんだけ!?」
「そうよ、すぐに来れそうなのは暇なクリリンくらいよ」
「後はブルマさんみたいな命知らずくらいだもんね」
「何ですって!?」
「いや、だってさ…人造人間の時やフリーザの時とかブルマさん自殺志願なのかって思うくらいに危険地帯に行こうとするじゃない」
「確かに」
悟林の言葉にブルマは激怒するものの、悟林の言葉にはクリリンは納得しか出来なかった。
「取り敢えず、あの子が最後のナメック星人。エスカ君」
悟林が宇宙船を指差しながら最後のナメック星の生き残りとなったエスカを紹介する。
「俺と悟林が地球に行くと言ったらついてきたんだ。生存するナメック星人はお前ら3人だけだ。」
「………」
生き残ったナメック星人はデンデとピッコロを入れて3人。
それを聞いたピッコロの表情が険しくなる。
「僕も平和な銀河とナメック星を取り戻すために闘います!協力出来ることがあれば何でも言って下さい!」
「うん、良く言った。ところで何でマカロン兄弟がいるの?」
「マカロンじゃねえ!マカレニだ!!わざとらしく間違えやがって…!お前らがモロに敵うわけねえだろ、殺されるか配下につくかどっちかしか道はねえぞ」
「へえ、モロの手下になったんだ。あんなのの手下になるなんて物好きだねぇ…まあいいよ。今のうちに笑っとくと良いよ。モロを殺す作戦はあるし」
「は…はは…モロを殺す!?そんなこと出来るわけ…」
「出来るんだよねぇ、それが…モロなんてエネルギー吸収さえなかったら大したことない奴だよ?そんな奴の生命線のエネルギー吸収が封じられたらどうなるだろうねえ?君達が笑っていられるのか楽しみだよ……」
邪悪な笑みを浮かべる悟林にマカレニ兄弟は冷や汗を流し、サイヤ人みたいになった悟林にピッコロ達は頭を痛める。
「それじゃあ私は精神と時の部屋の中で修行するよ。充分だと判断するまで休む以外では出ないつもりだから…モロとの対決が楽しみだよ」
「「「っ!!」」」
向けられた冷酷な笑みにマカレニ兄弟の全身が震える。
どちらが悪者なのか分からない。
悟林は精神と時の部屋に入ると早速向かおうとする。
「笑っていられるのも今のうちだぞ!ここにはもうすぐ本隊からの助けが来るんだぞ」
「何っ!?モロに連絡されてしまったのか!?」
パスターの言葉にジャコが驚き、ピッコロに振り返るとピッコロが頷いた。
「ちょっとピッコロさん、何やらかしてるの…」
「何でそれをもっと早く言わないんだ!こっちに向かっている奴が本当にいるか本部に調べさせないと…!」
宇宙船に乗り込んで早速通信で地球に向かっている宇宙船がないか本部に調べてもらうと少しして返答が返ってきた。
『ジャコ隊員!地球に向かっている宇宙船の正体が判明しました。この生命反応から判断すると恐らくシモレッカとユンバ、それとOG73―I(オージーセブンスリーアイ)だと思われます』
「セ…セブンスリーもいるのか!」
「何だそいつは?名前なのかそれ」
ジャコと本部の通信が聞こえたクリリンが尋ねる。
「全員サガンボの手下だ。」
「サガンボ?誰さ?」
聞きなれない人物に疑問符を浮かべる悟林。
「お前がモロをぶっ飛ばす直前に吹き飛ばした奴だ。お前からすれば銀河強盗団の連中は片手間で倒せる大したことない奴かもしれんが銀河中で悪名を轟かせていた銀河強盗団のメンバーだ」
「へえ、あんな雑魚が…まあ、取り敢えずジャコさん。神様とエスカ君を本部に避難させてくれない?死なれたら困るしさ…2人に死なれたらドラゴンボールが使えなくなるから困るんだよね…」
本部で聞いた話だが、エスカは他のナメック星人が死滅する前に最長老になっており、エスカが生きていればナメック星のドラゴンボールを使えるようになる。
念のために2人は安全な場所に避難させるべきだ。
「そうだな!よし、では私はそのナメック星人2人を連れて本部に戻る。悟林のトレーニングが終わり次第迎えに行くからな」
「うん、それじゃあ私は修行しますか」
「ちょっと待ちなさい!あんたの知ってること全部話していきなさいよ!どんな奴か知ってるのはあんただけなんだから協力しなさい!」
ブルマがデンデとエスカを連れて宇宙船に乗り込もうとしたところを妨害する。
悟林は今のうちに精神と時の部屋に入った。
「さてと…始めますか」
神のオーラを纏って潜在能力を解放すると早速修行を開始する。
しばらくの間は部屋の中で修行をして神の気の質を上げつつ少しずつバリヤーの完成度を上げていく。
本来なら1人での修行はかなり効率が悪いのだが、精神と時の部屋は地球の10倍の重力と急激な気温変化があり、更に悟林は界王拳を発動しながら激しい修行をしていた。
モロも相当に強くなっていると予想して悟林は100倍の界王拳から10倍の急激な緩急の気のコントロールをしながら精神と時の部屋で激しい拳と蹴りを繰り出す。
「ふう…ふう…よし、100倍の界王拳にも大分慣れてきたね…よし、バリヤーも中々形になってきたし、そろそろ究極界王拳の完成形…超究極界王拳に挑もうかな…ん?」
部屋の扉が開いたのでブルマが邪魔しに来たのかと思えばピッコロの道着を着た悟飯が入ってきた。
結構道着がボロボロだが。
「どうしたの悟飯?」
「姉さん…実は…」
悟飯から話を聞くと何でも悟林が部屋に入った直後にモロの、偵察部隊が来てしまい、ピッコロ達が応戦したものの、セブンスリーと言う囚人の能力でピッコロの能力をコピーされて苦戦していたところを悟飯が加勢して優勢になったものの、セブンスリーは3つまでコピーすることが可能でその能力にモロの能力があったらしい。
そしてエネルギーを吸収されて敗北したわけだ。
「セブンスリーね、まさかそんなのまで…まあいいよ。バリヤーと超究極界王拳が完成すればただの雑魚が1匹増えるだけだよ」
「雑魚…ですか…」
「そんなことのために入ってきたの悟飯?それならさっさと部屋から出て。私の修行は激しいから怪我するよ」
「姉さん…僕に修行を付けてくれませんか?」
「は?悟飯に?」
「はい、モロって奴のエネルギー吸収のせいもあったけど、後少しでやられそうになってしまったから…それに姉さんも1人でするよりも対戦しながらした方が遥かに伸びが良いのは分かってるでしょ?」
「そりゃあね、でもそれはある程度実力が近い場合。悟飯、本気の私と闘えるの?下手したら死ぬよ」
「覚悟は出来てます」
「よし、特別に神のオーラを纏わないで相手をしてあげる。これならある程度の修行になるでしょ。一切手は緩めないし少しでも気を抜こうもんなら問答無用で部屋から叩き出す。」
「…はい!!」
2人は潜在能力を解放してフルパワーとなると相対した。
双子の激突にピッコロとクリリンが様子を見ていたが…。
「…入んないのかピッコロ?」
「悔しいが、あいつらの本気の修行には割って入れん。悟林は当然として悟飯も俺を大きく超えている。チッ、昔は俺の方が強かったはずなんだがな」
少なくとも人造人間との闘いの初期の頃は肩を並べて闘えていたと言うのに今ではサイヤ人達に大きく水をあけられてしまった。
悟天とトランクスはまだしも、あの2人はまだまだ伸び盛りでフュージョンを使えば大きくパワーアップする。
最早闘いはセルの時やブウの時、そして今回もピッコロでどうにか出来る次元ではないことがほとんどである。
それでも修行を止めないのはピッコロの生来の真面目な性格か、それともただの負けず嫌いか…。
「ピッコロ…」
「…こんなことを愚痴っていても仕方ない。俺はあいつらの邪魔にならないように修行するとしよう。お前は?」
「俺は俺のペースで修行する。ハッキリ言って俺じゃあお前の修行にもついていけそうにないからな。ヤムチャさんや天津飯や餃子や武天老師様を誘って修行するよ。ピッコロは悟天とトランクスの相手をしてきたらどうだ?あいつら最近強くなったんだろ?」
「あいつらか…そうだな、そうするとしよう。ただし、今回はあいつらを参加させるわけにはいかん。フュージョンしたあいつらの能力をコピーされては困るからな」
フュージョンしたゴテンクスの力は悟林と悟空、ベジータの次に強いレベルなのでもしセブンスリーにコピーされたらピンチになる。
特にゴテンクスの技には対応に困るトリッキーな技が多いので尚更だ。
「はは、本当にサイヤ人達はとんでもないし…そいつらでも敵わないかもしれないそいつは更にとんでもない化け物だよ」
クリリンとピッコロがそれぞれ修行のために部屋を出ると悟林が悟飯を弾き飛ばしていた。
「ぐ…っ…」
「どうしたの?それで本気?それならさっさと部屋から出ていきなさい」
傷一つ負っていない悟林に対して悟飯は既にボロボロであった。
「フルパワーでやっても姉さんには全然敵わないな…」
「当たり前でしょ、10年サボリ魔にあっさり追い抜かれる程、私は腑抜けてないんだから」
確かに悟飯は修行を再開してから地力は嘗ての全盛期を上回っているが、それでも今の悟林の神の気を使わないフルパワーの半分と言ったところなのだ。
「………まあでも、悟飯も昔と比べても成長したね。まだまだ私達や未来の悟飯には遠く及ばないけど」
「え?」
「でも調子に乗らないように。それくらいは修行してれば当然、お前はようやく一人前に片足を突っ込んだだけなんだからね…寧ろ4歳から修行してたことを考えれば遅すぎるくらいだよ」
悟飯がちゃんとした師匠と環境で真面目に修行をしていれば今とは比べ物にならないくらいに強くなっていたことは未来悟飯が証明してくれたのだ。
いくら若い時期が長いサイヤ人だからとは言え、未来悟飯は最も伸びる時期が過ぎてしまっても最強クラスの実力者へとなったのだ。
伸び盛りの時期から修行していれば間違いなく自分さえ超えられたはずだ。
「パンちゃんとビーデルさんを守りたいって言うならせめてもう少し強くなるんだね。精進しなさい」
「…はい!!行きますよ姉さん!!」
「分かった、悟飯!限界を超えるつもりで力を出せ!!」
悟林と悟飯が拳と蹴りを繰り出し合いながら激しい修行を繰り広げ、途中で悟飯は何度も悟林に殴られ、蹴り飛ばされようとも喰らいついてきた。
時々息抜きに外界で休みを入れつつ修行をし、モロが来る2ヶ月が過ぎた時には悟飯の戦闘力は見違える程に上がっていた。
着ている道着の状態が修行の激しさを物語っている。
「姉さん…そろそろモロが地球にやって来る頃です。もう部屋を出ないと…」
「いいやまだまだ、この程度じゃあ全く足りない。私はギリギリまで修行する」
「もう充分過ぎるくらい強くなったじゃないですか。モロと闘うにはきっと姉さんの力が……界王拳を使わなくても力の大会の時の父さんやベジータさんより強くなったのにまだ修行するんですか?」
「悟飯、強さってのは果てがない。前の私はビルス様が来るまではもう最強の力を手に入れたと思っていた。でも違った…ビルス様だけじゃない。ブラックやジレンと言った私よりも強い相手がどんどん出てくる。モロだって出会うタイミング次第じゃどうしようもなかったかもしれない。少しの修行で強くなってもそれじゃあ意味がないんだ。後悔しないくらいやらないと…お前も私や未来の悟飯とは違うやり方で上を目指すんでしょ?なら、少しの成長で満足するんじゃないよ。常に上を…私達を蹴落とすつもりでやりなさい。そうでないと上を目指すなんて夢のまた夢だからね………昔の私には大きい壁がたくさんあった。お父さんやピッコロさん、ベジータさん、そしてフリーザやセル、そしてチビの頃のお前。そしてブウ…壁を超えたかと思えばもっとでかい壁が出てくるんだから…全く楽しいったらありゃしない。まあ、こればっかりはお父さんやベジータさんじゃないと分かんないだろうね。」
「いえ…今なら僕も…何となく分かります」
昔の自分なら姉の考えは理解不能だったろう。
今でも充分強いのにそれ以上の強さを求める思考が異質に見えただろう。
しかし、今なら何となく分かる気がする。
以前ピッコロが言っていた姉も父も現れる強敵に自分の修行の成果を試したい。
そして、それが通じなければ如何に手を尽くして勝つかの駆け引きを楽しんでいた。
未来の自分も、無益な闘いは嫌いなはずなのに姉との手合わせは本当に楽しそうだった。
ピッコロの言葉が無ければきっと自分は今よりずっと弱かったかもしれない。
「そう、まあ…頑張りなよ。お前も才能がない訳じゃないんだからその気になって修行すれば今のお前のいる場所よりも遥か上に行けるよ」
「…はい!僕も頑張ります!姉さんの修行が終わるまで僕達が地球を守って見せます!!」
「ちょっとちょっと、私の修行が終わる前にモロを倒すくらい言えないの?変なとこで頼りないんだから」
部屋を出ていく弟を見ながら悟林は修行を再開する。
後書き
バリヤーはベジットが使えてましたけど神気を利用しているのでより高性能な感じです。
この時点の悟飯がいくら強くなろうと焼け石に水で大筋は全く変わらないのが悲しい。
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