IS 転生白書 オリ主が奏でる新しいインフィニット・ストラトス
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激突、一夏VSセシリア!
前書き
セシリア・オルコット。
金髪碧眼。身長156cm。
特徴的な縦ロールの髪型と喋り方をする。
イギリスの代表候補生にして、第三世代機であるブルーティアーズの搭乗者。
BT兵器の稼働率を一番高く叩きだせるという理由で専用機持ちとなる。
いままで、情けない父親の影響から男が嫌いだった。
しかし、拓夢を見て戦って話した事でその気持ちは変わる。
拓夢を自身のライバルとして認め、彼の頼みで二度目の戦場に立つ!
緊張。ということばが当てはまる。
アリーナ中央上空、そこに二機のISが向かい合っていた。
一方はセシリア・オルコットが搭乗する、イギリスの第三世代機にしてBT兵器を積んでいる。
青の雫、ブルーティアーズ。
一方は織斑一夏が搭乗する、日本の倉持技研が開発した第三世代機にして近接特化型。
白銀の騎士、白式。
わずかばかりの緊張を漂わせる一夏に対し、セシリアはやる気満々。
「織斑一夏さん、まずはお詫びしなければいけませんわ」
「お詫び・・・?」
「ええ。代表を決めるときにあなたに言ってしまった言葉、態度。それがどれだけ愚かな事だったか気がつきましたの。・・・ごめんなさい」
それはセシリアなりのけじめだった。
戦う前にそれだけは言っておかなければいけない、でないとあの人のライバルと名乗るなどおこがましい。
せめて正しい自分で、拓夢に向きあいたい。そして、目の前の男にも。
「あー、そのことか。いや、大丈夫だ気にすんな。実際、あのときは腹立ったけどな。今はそれほど怒っちゃいない」
「許して、いただけますの?」
「勿論だ。拓夢もきっと、今のオルコットさんを見たらそういうに違いないよ」
「そうですの・・・ありがとうございます。それと、わたくしのことはオルコットではなく、名前で呼んでくださいな」
「そうか?わかったセシリア。じゃ、俺のことも一夏って呼んでくれ」
「分かりましたわ一夏さん」
ある程度の距離を保ったまま、二人は語らい、そして微笑む。
それは戦闘前にしてはすこしゆるい雰囲気だ。しかし、それを邪魔するものも、おかしいと感じるものもこのアリーナには居なかった。
皆、二人の仲直りを温かい目で見守っていた。
「さあ、勝負といきましょうか!」
「そうだな、悪いが負けるつもりは無いからな?」
「当たり前ですわ!本気のあなたに勝つこと、それがわたくしのライバルが望んだ事ですもの」
「そっか、なら俺も負けるわけにはいかないな。アイツの最初のライバルは俺だからな!」
「ふふっ、ライバル同士ということですわね。いきますわよ!」
「ああ、こい!」
「「勝負!!」」
弾けるように、二人は動き出した。
拓夢戦で見せた動き、スターライト・mkⅢで牽制射撃をしつつ後退。距離をとることで自分の得意な戦闘に運ぶセシリア。
それに食らいついて離さないとばかりに、一心不乱に距離を詰めるべく加速する一夏。
勝ったのはセシリアだ。
「ぐ、ぐぅっ!?」
「わたくしの射撃の腕を甘く見ないことですわよ」
キュインッ!耳を劈くような独特の発射音と同時に、一夏の左肩の装甲が抉られる。
次いで発生する衝撃波に左腕がねじ切られるように引っ張られ、神経情報としての痛みが稲妻のように鋭く走った。
加速していたところをやられた事で、体制が大きく崩れる。
自動制御を行った白式に、一夏の意識は一瞬持って行かれるが、ブラックアウト防御があるので気絶はしなかったようだ。
バリアー貫通、ダメージ46.シールドエナジー残量521.実体ダメージ、レベル低。
一夏は感じる、自分の感覚が白式から送られて来る情報に追いついていないと。
そして同時に思う、このままでは負けてしまうと。
何せセシリアはまだ、ライフルしか使っていないのだ。
それを回避するのにも此処までのダメージ。今もまた、左足を掠めるように打ち抜かれる。
それが四倍になった攻撃を、かすらせていたとは言えクリーンヒット無く捌いていた操縦技術、そしてなにより反射神経に感心する。拓夢は本当にすごいやつなんだって。
そういえば、拓夢が通うジムのトレーナーさんが言っていた。
アイツはリングに上がると、対戦者との時間がずれると。
そのときは何を言っていたのか分からなかったが、今なら分かる。
(拓夢のすさまじい反射速度が、まるで相手がスローに動いているように錯覚させていたんだ)
それがどれほど素晴らしいことか。
一夏では決して出来ない高等技術、いや才能といっていいだろう。
だから同じ対象方法は出来ない。
自分なりに、これを攻略しないといけないのだ。
「さあ、どんどんいきますわよ!奏でなさい、ブルーティアーズ!彼に送るレクイエムを!!」
「ぬ、ぉおおおおお──ッ!!」
激しくも一方的に見える攻防が、三十分近く続いた。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ・・・!」
「ふう、ここまで二十七分。今までのわたくしなら、ここでよく耐えたと言っていたのでしょうが・・・。ですが一夏さん、これで終わりというわけではないのでしょう?」
周りから見れば、何を言っているんだこのお嬢様はという状況。
機体のあちこちが傷つき、自身も精神的に疲労を隠せない一夏。
たいして機体に傷一つなく、なにより精神的に余裕が見られるセシリア。
両者の差は歴然としているように見えた。
「あ、あぁ。・・・これからだ、ようやく俺なりの対策が見つかったからな」
「あら、それでは第二幕といきましょうか」
「いや、こっからは閉幕<フィナーレ>だ!!」
叫び声とともに、一夏が突っ込む。
その様子からは先ほどの疲労が嘘だと思えるくらいの覇気が出ていた。
疲れなど微塵にも思わせない、気を抜けば喉を食い破られるほどの威圧感。
まさに猛獣のごとき突進で、距離を詰める。その速度は、試合開始時より格段に上がっていた。
たいしてセシリアは冷静そのもの。
愛しむように撫でていたビットを、焦ることなく一夏へと向ける。
その機動はランダム。近いと思えば遠く、遠くと思えば近くから。
拓夢に言われたことを思い出し、単調な動きは決して行わない。
その変幻自在の動きに、一夏は翻弄されっぱなしだったのだ。
だが、ここで局面はおおきく変化する。
「はァッ!!」
一夏が加速から急停止、その場で刀を横なぎに振るうと、一機のビットが切り裂かれた。
これにはセシリアも驚きを隠せない。
先ほどまで回避すら危うく、クリーンヒットは少ないもののダメージを積み重ねていた一夏が、いま目の前でいとも簡単にビットを切り裂き破壊したのだ。
「くっ、まだまだですわ!」
残り三機。少なくなった分、一機に割ける思考が増える。
より複雑な機動を描き始めるビットが、しかしまた一夏の刀に切り裂かれた。
理解できない。
どこかで癖がでたか?それとも単調になっていたのか?まさかほかの事で・・・
「目だ」
一夏が再びビットを切り裂きながら言葉をつむぐ。
「セシリア、お前の目が語ってるよ。次にどこへビットがくるのかがってな」
「そんなっ!可笑しいですわ、わたくし、そうならないように目線は動かしていないはずですのに!!」
そして、最後のビットも切り裂かれた。爆散する。
これで、セシリアを守っていた四機のナイトは居なくなる。
「ああ、それは分かっていたさ。だがな、複雑な動きになればなるほど、僅かだけど目が動いているんだよ。白式のハイパーセンサーがそれを教えてくれた!」
「くっ、そんなことで!!」
キュインッ!ライフルから光線が延びるが、回避される。
ビットより速度も少し上で、なおかつ威力が高いそれは、一夏に当たることなく後方へ流れていく。
「それも見え見えだ!いくぞセシリア!!」
瞬時に一夏が加速した。
まるで景色が一気に後ろへ動いたかのような錯覚。
拓夢の打鉄とは比べ物にならない速度がでていた。
「これで、終わりだぁああああ───ッ!」
一夏が叫ぶ。
それは勝利を確信したからだ。
これが決まれば俺の勝ち、そう思ってしまったが故に動きが単調に、直線的な軌道でセシリアに向かってしまった。
だからこそ
「───ふっ、かかりましたわね!」
「な、なに!しまったこれはっ!?」
セシリアのフィンアーマーから覗く二つの銃口に、ぎりぎりまで気が付くことが出来なかった。
発射されるミサイル。
「おおおおっ!」
一つは気合で切り裂く!
だがもうひとつは────
一夏は赤を超えて白い、爆発と光に包まれたのだった・・・・・・。
「一夏っ・・・・・・!」
モニターを見つめていた箒は、思わず声をあげる。
さっきまで騒いでいた千冬も真耶も、爆発の黒煙に埋まった画面を真剣な面持ちで見つめる。
「──ふん」
黒煙が晴れたとき、千冬は鼻を鳴らした。けれど、どこかその顔には安堵の色がある。
「機体に救われたな、馬鹿者め」
まだ僅かに残っていた煙が、弾かれるように払いのけられた。
そしてその中心には、あの純白の機体があった。
そう、真の姿で───。
「その姿は・・・。まさかとは思いましたが、一次移行も済んでいない初期設定の機体でたたかっていらっしゃったとは。・・・さすがは、わたくしより以前から拓夢さんのライバルを努めていただけはありますわね」
「そりゃどーも。ってことは、ようやくコイツは俺の機体になったってことか」
一夏が改めて機体をみると、最初の工業的な凹凸は消え、滑らかな曲線とシャープラインが特徴的などこか中世の鎧を思わせるデザインへ変わっている。
そして何より、刀の形状が変わっていた。
──近接特化ブレード・雪片弐型。
雪片。それは一夏にとって特別な意味を持つ言葉だ。
姉である千冬が現役時代使っていた刀。彼女が振るうことで比類なき強さを見せ付けた専用IS装備の名称。刀に型成した形名。それが雪片。
「俺は世界で最高の姉さんを持ったよ」
一夏は感慨深げに呟く。
その目は、目の前のセシリアを見通し更にその奥、まだ見ぬ先の未来まで見ようとしているように思えた。
(三年前も、六年前も。そしておそらく十五年前も。あの人はいつでも俺の姉だ。でもそろそろ守られるだけの関係は終わりにしよう。これからは──)
「俺も、俺の家族を守る!」
「そうですの。ふふっ、とても素敵な目をしてしますわ、一夏さん」
「いくぜ、セシリア。今の俺は、今までで一番速い」
「見せてください、あなたのその強さを!」
両者は一斉に動いた。
「はぁああああああ──ッ!!」
加速加速加速。
確かに今までとは比べ物にならない、とんでもない速さだ。
一夏はセシリアとの距離を詰める。
逆にセシリアは詰められまいと、精度の上がったライフル射撃をみまう。
が、その光線はいままでとは違い───
「か、かき消されたですって!?」
一夏の刀から発せられた光の刀身。
それがセシリアのレーザーを打ち消し、かき消した。
それが意味するのは
「まさか、エネルギー無効化攻撃・・・ッ!?」
織斑千冬が使い、そして世界の頂点にまで上り詰めた機体・暮桜。
彼女はただ操縦が上手く、剣の腕が高かったから勝てたのではない。
勿論その技術は随一だ、しかしそれ以上に彼女にとっての強みがあった。
それが、零落白夜と呼ばれる彼女のワンオフ・アビリティー。
相手のシールドエナジーを無効化するという絶対無比の刃だ。
それがまさか、弟である一夏も持っているとは。
夢にも思わない出来事に一瞬からだが硬直してしまった。
「ま、まずいですわ!」
「おおおおっ!!」
咄嗟の判断。
あれに当たれば負ける。だから逃げなくては!
その一心で、セシリアはスターライト・mkⅢを一夏に投げつけた。
「インターセプター!」
名前の展開は初心者の証。だが、そこで恥ずかしがっている暇は無かった。
投げつけたライフルは一刀の元に両断され、一夏の加速はなお衰えない。
セシリアは手にもつ短剣、わずかばかりのナイフで挑まなければいけないのだ。
だが、ここで逃げるなんてもってのほか。ライバルに、そんな情けない姿は見せられないのだ。
「いきますわよ!」
「こいつで、最後だぁああああッ!!」
大声を上げて、両者が激突。
そのリーチの差で、一夏の零落白夜、エネルギーを消滅させる刃がセシリアに触れ───
「試合終了。勝者───セシリア・オルコット」
機械的なアナウンス。
激闘の幕を切り、勝利の栄光を掴んだのはセシリアだった。
後書き
さてさて激戦の模様をお届けで来たでしょうか?
原作とこのSSで、セシリアの精神的な違いを感じていただけたら嬉しいです。
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