IS 転生白書 オリ主が奏でる新しいインフィニット・ストラトス
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かくして白銀が登場!
前書き
織斑一夏
15歳、黒髪に鳶色の瞳。
世界最強の織斑千冬を姉とし、天災の篠ノ之束とも面識有り。
また、男であるのにもかかわらずISを動かせる稀有な存在でもある。
好物は日本食。現代風潮の女性は好きではない。
昔は強かったらしいが、中学でのバイト生活により剣の腕はさび付いていた。
そして、ピットに白式が搬入されてくる。
「お、織斑くん、織斑くん!来ましたよ!織斑くんの専用ISが!」
「どこですか山田先生!?」
いてもたってもいられない。そんな気持ちが心を占める。
山田先生が走り寄ってくるのと、試合に決着が付くのはほぼ同時だった。
拓夢の奴、あんなにいい試合しやがって!!
見事な試合だった。熱戦、激戦。そんな、見ているだけで手に汗握る戦い。
それを見事制した拓夢は、やっぱり凄い奴だ!
その結果を見て、驚いた俺と箒に対し、千冬姉だけは当たり前だって言う顔をしていたのはなんでだろうか?
俺の中には二つの気持ちが渦巻いている。
拓夢が勝って素直に嬉しいという気持ちと、嫉妬心。
俺はアイツと出会ってから、色々なことで競った。
時には負けたし、時には勝った。戦績で言えば互角なんだ。
その筈なのに、今は何故か遠く感じる。
アリーナでみんなの声援を受けながら退場する拓夢が、世界大会の千冬姉と被って見える。
くそっ、萎えてんじゃねえ!気合入れろ!
「織斑、すぐに用意しろ!アリーナを使用できる時間は限られているからな。ぶっつけ本番でものにしろ」
「は、はい!」
千冬姉の声に、気合が入る。
「この程度の障害、男子たるもの軽く乗り越えて見せろ。一夏」
箒の声に、励まされる。
「さあ、これが織斑くんの専用IS───白式です!」
山田先生が、道を示してくれる。
「───ッしゃあ!!」
た ぎ っ て き た ! !
「ど、どういう事ですの!?」
セシリア・オルコットは困惑していた。
試合に負けたことにではなく、もっと別のものに。
それは───
「わり、なんかスラスターとかナックルとか、全部いかれちまったみたいだ」
「な、なっ、なぁっ・・・!?」
「だから、代わりに出てくれねえか?」
「なんですってぇーーーッ!!?」
勝者の拓夢が戦闘不能という状況にあった。
もともとの予定では、専用機を持つセシリアは兎も角一夏も専用機が来るということで、一人だけ訓練機の拓夢にハンデをつけるために試合順番を決めた。
最初に一夏VSセシリア。勝者が拓夢と戦うという風に。
そうすることで、ある程度の情報が拓夢に入り、申し訳程度だがハンデになると考えられたからだ。
だがまさかの事態。一夏のISが搬入されてこなかったのだ。
それゆえ、急遽セシリアVS拓夢という対戦カードに変更されたのだが。
なんと大番狂わせ。手も足も出ないとは言わないが、よくて善戦程度だろうと一部を除き皆に思われていた拓夢が、見事な機体制御と機転を働かせ勝利を収めたのだ。
これにはクラスメート全員が立ち上がり驚き、そして祝福した。
しょっぱなの発言からやってしまったセシリアと違い、拓夢はこの一週間でクラスに良く溶け込んでいた。
朝登校すると皆に聞こえるように挨拶をして、軽く談笑。
昼休みには交流ということでいろいろな人とご飯を食べながら会話。
さらには、学園にある部活動にも見学しに行っていた。
本人は興味で動いていただけに過ぎないが、クラスメート達からは積極的に関わろうとしてくれているという風に捉えられていたのだ。
その拓夢が勝利したことは、喜び以外の何物でもない。
素晴らしい戦闘を見せてくれた二人には、拍手こそすれ、嫌う要素はどこにも無かったのだ。
そして戦闘終了後、次に戦う一夏と同じピットに戻るわけにはいかないので、拓夢はセシリアとおなじBピットに戻ったのだ。
そこで、問題が発生。
なんと、そこまでなんともないと思われていた拓夢の使っていたIS・打鉄が煙を上げ始めたのだ。緊急事態とばかりに焦ったセシリアは、即座に行動し。言葉で指示することで、拓夢を打鉄から非難させることに成功。
小爆発が起こったときには、身を盾にして彼をかばった。
それは英国の淑女としてのプライド。オルコット家の、貴族としての矜持だ。
あそこまで精一杯戦って負けた相手に、正面からぶつかってくれた強い男に、つまらないことで怪我をされたくなかったというのもある。
そこで拓夢は気が付いた。実はオルコットって悪い奴じゃないのではないかと。
本当に嫌っている相手なら、そのまま爆発させて怪我でもさせて方がいい。
戦闘前までの、拓夢のなかのオルコットのイメージとしては、爆発した彼をあざ笑うくらいはするだろうと思っていたほどだ。
だが違った。
故に、頼む。
「頼む、セシリア・オルコット。俺の代わりに戦ってくれないか?」
頭を下げて、心からお願いした。
必死に戦って手に入れた勝利、それを容易く手放したくは無い。
しかし、この現状ではしょうがないこと。さらには気合の入った一夏に水を差したくないし、戦わせてやりたい
いま、それを叶えてくれるのは目の前の人だけ。
セシリア・オルコットだけだ。
故に、拓夢は頭をさげた。
「お前が、あの時のことをまだ怒ってるっていうなら謝る。アイツのためだ、俺はそれくらいして当然だ。だから、一夏と戦ってくれないか?あいつに、ISを教えて欲しいんだ!」
それは心からの叫びだった。
一夏にとってISとは特別なもの。
親愛で尊敬で憧れる、家ではだらしないがISに関われば誰より格好良い。そんな姉に追いつくために道なのだ。
だから妨げたくない。
「こんな感じだ、俺は代表にはなれないしな。それに、さっき分かったよ。あんたは言うほど悪い奴じゃないって」
そんな、優しく微笑んだ拓夢の表情を見て、心が動かないほど冷たい人間ではなかった。
セシリア・オルコットは、ここで動けないほど情けない人間ではなかった。
「任せてくださいな、このセシリア・オルコットに!」
力強く。そして同時に感じる心地よさ。
彼女は思った。男とは、本来こういう強さを持った生き物なのだと。
仲間のために全力を出せ、友のために頭を下げれ、自分の正義に怒れる。
そんな強く真っ直ぐな意思をもつことが出来る生き物なのだと。
故に彼女は飛ぶ。
それが、セシリア・オルコットの認めた“ライバル”からの頼みだから。
「彼に、私の凄さを見せ付けて差し上げますわ!あなたのライバルに相応しい強さを!」
「おう!頼んだぜ!」
心に迷いはない。
彼女はいま、戦場に飛び立った。
「な、なんだと!?」
珍しく千冬姉が困惑したような叫び声を上げる。
あの何事にも動じない、絶対不動完璧超人(家事を全面的に除く)が動揺しているだと!?
「織斑、なにか失礼なことを考えていないか?」
「めっそうもありません!」
危ねえ。
まるで人を射殺さんばかりの視線が向けられた。いつもの三倍増しだ。
冷や汗がでる。
「よく聞け、対戦相手が変更になった。お前が戦うのは、オルコットだ」
「・・・・えっ?」
「ち、千冬さん!それはどういう・・・ッ」
箒も動揺している。
その証拠に、織斑先生ではなく咄嗟に千冬さんと呼んでしまっている。
「織斑先生だ!・・・ッたくあの馬鹿者が。無理な機動により打鉄のスラスターに負荷がかかりすぎたらしい、あいつは戦えん。オルコットが居なければ小さくない怪我をしていたところだ」
「そ、そんなっ!」
信じられなかった。というか信じたくなかった。
これじゃまるで勝ち逃げじゃないか!自分の強さを見せ付けて戦わないなんて!
「うろたえるな。お前の相手はオルコットだ、いつまでも引きずっていては即、負けるぞ」
「そ、そうだぞ一夏!どちらにせよ強敵だ。・・・だが勝て!絶対負けるな!」
二人の言葉を聞いて、甘かったと感じた。
そうだ、俺は何を焦っていたんだ。今戦うべき相手はオルコット。拓夢じゃない。
そりゃ、勝ち逃げされたみたいで嫌だけど、しょうがないことだよな。
それだけいっぱいいっぱいだって事なんだ。
拓夢がそれだけやってようやく勝てた相手。弱いなんて絶対にない!
「ああ、そうだな。・・・やってやる!」
白式に体を預けて一体化している今なら、アリーナに出てきたオルコットが見える。
同時に、スクリーンをつかって皆に謝っている拓夢も。
あいつも悔しいんだ。だから、皆には分からないかもしれないけど顔がすこし引きつっている。
そうだ、こんなところでモタモタしていられない。
俺の目標はなんだ?皆を守れる力が欲しかったんじゃないのか!?
気合を入れろ!!
「・・・箒」
「な、なんだ?」
「行ってくる」
「あ・・・ああ。勝ってこい、一夏!」
その言葉に答えるように、俺はピットから飛び出した。
オルコットに勝つために!
後書き
今回は初の視点変更です。
原作主人公一夏と、三人称視点での語り。
一夏の気持ちと、セシリアと拓夢の和解?ですね。
ということで、セシリアは拓夢をライバルと認めました。
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