IS 転生白書 オリ主が奏でる新しいインフィニット・ストラトス
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そして始まる、クラス代表決定戦!
前書き
相川拓夢
黒髪に青い瞳。
織斑千冬より早朝にISの訓練を受けている。
実はマニュアル操作というのを、拓夢は知らない。
その進み具合は中々。
一週間が経過した。
以前、俺がオルコットに切れたことで中断されていたクラス代表の事だが、なんと決闘で決めることになった。
IS学園らしくISで決めろとは織斑先生のお言葉だ。
今、俺が居るのは第三アリーナ・Aピット。
そこには俺と一夏と箒、そして千冬さんがいる。
本当は山田先生も居るはずなのだが、彼女は今、一夏の専用機を取りに行っているのだ。
そう、一夏の専用機はまだとどいていない。
「相川、準備はできているか?」
打鉄を装備した俺に、千冬さんが声を掛けてくる。
「勿論です、いつでもいけますよ」
この打鉄は、俺が早朝訓練で使っている機体だ。
千冬さんにこの一週間、毎朝とは行かないが特訓してもらったかいあって、俺の操縦技術は中々のものになっている。
センサー機器も問題ない。ここからでも、アリーナの中央に浮かぶオルコットの姿を捉えている。
「本来ならば、一夏が先に行くはずだったがこれだ。すまんが先にやってくれ」
「分かりました!先、行かせて貰います」
敬礼決めて、俺は出撃体制を取る。出るなら格好良くってな。
「拓夢わりぃ、先頼むぜ」
「勝ってこい、拓夢!」
「おう、行ってくらぁっ!」
元気良く、そして格好良く。
俺はピットから飛び出した。
加速した機体を制御し、アリーナの客席に沿って一周。クラスの皆に手を振る。皆も振り返してくれた。
「拓夢く~ん!頑張って~!!オルコットさんをやっつけちゃえー!!」
客席の真ん中当たり、鷹月さんと布仏さんに挟まれて座っている清香の声が聞こえた。
見ると、立ち上がって手をぶんぶん振り回している。
「おう!任せとけ!」
ぐっと拳を向けて返事。んで笑う。
おっしゃあ!気合入ってきたぜ!!
一度急上昇してから急降下した俺は、呆れたといわんばかりに、腰に手を当てて浮かんでいるオルコットの前で停止する。
「あら、逃げないで来ましたのね?ですが、量産機程度ではお話になりませんわ!」
いきなり挑発してきたオルコット。
そういえば、切れてからコイツと話してなかったな。遠くからにらまれる程度だった。
だがまぁ俺も大人だしな、挑発し返すことなんてやらないに決まっている。
「ふっ、甘いなオルコット。量産機をなめるな」
「冗談ですわよね?まさか、その様な機体で勝とうなどと・・・」
「ごちゃごちゃいうより、その目で確かめてみろよ。それとも、怖いのか・・・?」
前言撤回。すでに言葉が口から飛び出していた。
俺の言葉を嘲るように、オルコットは笑う。
「笑止!ですわ。あなたを恐れるなど、蟻に恐怖を抱くのと同じくらい愚かなことですもの。いいでしょう、そこまで仰るなら見せてあげますわ。このセシリア・オルコットの実力とブルーティアーズの素晴らしさを!」
いきなり飛んでくるレーザー。それを左に急加速することで回避する。
それを合図に、試合が始まった。
「あら、初撃を避けるなんて。意外と動けるんですのね?」
「はっ!大口叩いた割には、大したことねーな」
「では、これはいかが!?」
左に回避してから、距離を詰めようと加速した俺に対し、こちらを向いたまま後ろ向きに飛ぶことで距離を稼ぐオルコット。
代表候補生と言うだけあって、機体制御はお手の物ってか?流石に上手かった。
牽制とばかりに放たれるレーザー。
俺の乗っている打鉄が教えてくれる、あの兵器の名前はスターライト・mkⅢ。六十七口径特殊レーザーライフル。その威力は高そうだ。
「だけどな、偉い人がこう言ったもんだぜ。当たらなければどうと言う事は無い!」
「このっ、当たりなさい!!」
まるで大雨の如く降りそそぐレーザー。
だがそれも単発を連射しているだけだ。間隔が広い。そして、遅い!
「ボクサーの目と反射神経なめんなよ!!」
オルコットがライフルを構え、トリガーに指をかけて放つ。
その動作の最中に俺は観察を怠らない。
どこを狙い、どのタイミングでトリガーを引くのか。それがどこに飛んでくるのか予測する。
オルコットの乗るブルーティアーズはイギリスの第三世代機。
機体の色は青。スカートのように広がるフィンアーマーが特徴的であり、それが特殊武装のはずだ。名前は同じくブルーティアーズ。
ビットと呼ばれる自立機動兵器であるそれは、搭乗者の機体からはなれレーザー攻撃をしかける武装だ。
「さあ、ここからが本番ですわ!」
オルコットのその声と同時に、ブルーティアーズが宙に浮く。
いよいよお出ましって訳だ。
きゅんっ、と素早く動き俺の視界から逃れようと動くブルー・・・めんどくさいからビット。
ビットは四機。様々な軌道を描き、俺を撹乱しようと動く。
「それを見逃すとでも?」
一斉に射出されるレーザー。
先ほどは一つだけだった線が、今度は四本に増えた。
だがそれでも、俺には当たらない!
「そ、そんな!まだISに乗って一ヶ月もたたない初心者に、それも訓練機でこうまでッ!」
「はははっ、どうしたオルコット!?お前の能力はその程度か!」
「お黙りなさい!これで落として差し上げますわ!!」
激しく降りそそぐ光の線。それを避けながら挑発する俺。
実は回避だけで精一杯なんだ。それを誤魔化すために大口を叩き、怒らせ、判断を鈍らせる。
経験では圧倒的に負けている俺は、長期戦になればなるほど不利だ。だからこそ、短期決戦がこのましい。だがこのままではジリ貧。オルコットが気が付くのは時間の問題だ。
だからこそ、あいつの動きを見逃さずにこれを避けきる。
こうなっては、打鉄の肩にある盾が邪魔だ。ギリギリのところで避けることができないからな。
おまけに、ISのシールドは球状に機体を覆っている。そのためギリギリで回避するのはNG。
考えて回避しないと、エナジーが削られてしまうのだ。
「あら、あなた武装は展開しないんですの?」
「お前相手にそんなもんいらないね!素手で十分だ!」
「・・・もしかして、その余裕がないのでは?ふふっ、そうでしたのね。分かりましたわ!私としたことが、怒りに我を見失うなんて。・・・ですが、あなたの活躍も此処までですわ!」
途端、急にレーザーが鋭くなる。
しまった!気が付かれたか!
こうなってはやるしかない。
負けたくない!なにより、観戦している皆に、清香に下手なところは見せたくなかった。
「行くぞこらァッ!!」
一度ビットを振り切るために急降下する。二三発クリーンヒットし、肩の盾が破壊された。
だが、それくらいで怯んでは勝てない!肩がねじ切られるような激痛を気合で押さえ込む。
急降下して地面すれすれで機体を平行にして飛ぶ。アリーナの外壁にそって円を描くように。
それにより乾燥している地面からは砂煙が上がり、視界が遮られる。
アリーナの地面すれすれの部分は、砂煙により視界がゼロだ。
「くっ、煙幕のつもりですの!?ですが、甘いですわ!」
そう、この程度でISのセンサーを遮ることも誤魔化すこともできない。
そんなこと俺もわかっている。だから、それを逆手に取るんだ。
砂埃の中急停止。当然視界は悪いが、センサーはちゃんと稼動している。
俺を追ってきたビットは4機。全部だ。
このビット、おそらく俺の死角を突いて攻撃をするように設定されているらしい。
もしくは、一番反応が遅いと思われるところだ。
さっきの回避中に学んだことは他にもある。
それは、ビットを使っている間オルコットは動けないってことだ。
オルコットは、どうやらビットを操る間は行動不能らしい。
「来たな・・・」
いかにISのセンサーが優れていようが、この砂埃の中、すこしは鈍ってしまうらしい。
これは朝練で調査済みの結果なので、自信がある。
俺の死角をついてレーザーを放つビット。
まずは第一射を回避し、次が狙い目だ。
「そこっ!」
ビットが次にくるであろう場所を先読み、そしてそれは当たった。
加速した俺はレーザーを放つ直前のビットに、右手に展開した近接ブレード1・6mの大物を振る。
ザンッ!少しの手ごたえで切断。ビットは爆散した。
続いてくる第三射。回避、そして急接近。
「はぁっ!」
一振り。それで二つ目のビットを破壊。
のこりは二つ。つまり攻撃は二分の一になった。回避はたやすい。
「おおおおおおッ!!」
「く、一体どうやってッ!!」
機体にかかるGに耐え、急上昇だ。
ビットを二機落とされたことで驚愕するオルコット。
だが、驚いてる暇は無いぜ!
「くらえ!」
「なっ、剣を投げた!?」
俺を突き放そうと、レーザーを乱射するオルコットに刀を投げつける。
ぐんぐん速度をあげ突っ込む刀は、しかしあっさり避けられる。
「あなたの策もこれまでですわ!武器を手放したあなたに勝機はありません!」
回避したオルコットは勝利宣言をしてくる。
おそらく俺の捨て身の攻撃だったと思ったんだろう。だが、甘い。
刀を回避する先を読んだ俺は、そこへ急加速。
オルコットに肉薄する。
「は、離れなさい!」
がんがんレーザーを放ち、けん制しようとするが当たらない。
「ここは俺の距離だ!」
オルコットが逃げようとする先は手に取るように分かる。行かせない、離されたら負ける。
「らああああああっ!」
機体を左右に振りながら接近。体の前面を相手に向けたままの横移動で、打たれるレーザーを全回避しながら、いよいよ俺の攻撃が始まる。
「しっ、シッ、シッ!!」
俺はボクサーだ。
小さい頃、一夏に喧嘩で負けたことが悔しくて始めたトレーニング。その際中に出会った竹さんに憧れ始めたのがボクシング。
俺の武器は刀じゃない。銃でもない。拳だ!
空中に足場があるイメージ。
ここはリングの中だ、相手は目の前に居る。ISは体の一部と思え!
左左のジャブで動きを止める。打ち込まれた二撃にオルコットは怯む。
続けての右ストレート!仰け反ったところを左フック、からアッパー!
「こ、このっ、いい加減になさい!」
じゃきんっ、オルコットの腰に備えられたフィンアーマーが翻る。
そこから覗くのは二つの銃口。
これは、実体弾!?
「落ちなさい!!」
「くらうか!!」
こんな距離で受けたらやられる。
ただでさえ、オルコットのビットで削られたシールドエナジーは残り102。
アッパーを放ち、体が伸びた状態で回避は不可能。PICをカットして垂直落下して避けたんじゃ攻め手がなくなってしまう。
なら、これしかない!
「おらぁっ!」
ミサイル弾が射出される瞬間、俺は体を横倒しにして回転。
イメージするのは箒との試合だ。
あの、受け流したときを思い出し、左手と左膝をつかう。
ミサイルが触れるか触れないかギリギリのところで、回転することで当たるのを避ける。
「な、なんですって!?」
目の前でおこった現象に、さすがのオルコットも一瞬動きを止めてしまったようだ。
そこに隙ができる。
「ああああああああああああああああアッ!!」
回転を利用した右フックが頭に炸裂。続いて左の裏拳!
完全に前に倒れる形になったオルコットの背中ががら空きになる。
「とどめだァ───ッ!!」
左足を踏み込み、腰の回転と同時に右腕を回転させ放つ。螺旋のエネルギー。
右ストレートが決まった。
「き、きゃぁあああああ──ッ!?」
どおんっ!と派手な音を上げて吹き飛んだオルコットは、そのまま地面に激突。
絶対防御が発動してエネルギーが全て削りきれたんだろう。
試合終了を告げるブザーがなった。
「お、おっしゃぁあああああああッ!!」
ガッツポーズをきめる俺に、大歓声が巻き上がる客席。
椅子の上で飛び上がる清香を見て、俺は笑った・・・・・・・。
後書き
さー実戦です!
オルコットVS拓夢
勝ったのは拓夢でした。
持ち前の目と反射神経を用いて、レーザーを回避できたのが大きかったです。
おそらくボクシングをやっていなかった拓夢では、ビットに削り殺されていたでしょうね。
それだけ、彼のボクシングで培われた経験は大きいということです。
戦闘描写難しいです、上手くかけたかどうかは分かりませんが、楽しんでいただけたのなら嬉しいですね。
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