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ドラゴンボールZ~孫悟空の娘~

作者:setuna
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第45話

 
前書き
ブルー界王拳は他の超サイヤ人とは別次元の変身の描写としては個人的には良かったと思います。 

 
放った気弾がヒットに命中し、爆炎が上がるが、煙が晴れるとヒットは何とかガードに成功していたようで立ち上がると笑みを浮かべる。

「なるほど、レベルが違う…か」

ヒットが両腕を交差させながら止まる。

「…?」

「何だあれは、降参のポーズか?」

「はっ!!」

誰もがヒットのポーズに疑問を抱くが、どうやらビルスの言っていたようなポーズではなく、ヒットは体に気を入れて充実させるとフルパワーを解放する。

「こ、これは…!」

「はあああああ!!!」

フルパワーとなったことでゴッドどころかブルーに変身している悟空に匹敵する程のパワーを放つ。

「こ…この気は…!」

「凄い…」

ヒットの放つ気にピッコロやベジータが驚愕し、悟林も鍛えてくれる師匠もいないはずのヒットがここまでのレベルに到達していたことに敬意を抱く。

「ヒットの奴…力を隠していやがったのか…!」

「時飛ばしさえ使えれば大抵の相手には勝ててしまいましたからね、全力を出す必要が今までなかったのでしょう」

シャンパがヒットのフルパワーに驚き、ヴァドスがヒットのフルパワーを見たことがない理由を説明する。

「おい!ヒットもパワーアップしてしまったじゃないか!」

「第6宇宙でダントツの実力を誇る殺し屋ヒット。噂は本当だったみたいですね…」

慌て始めるビルスに対し、ウイスは冷静に第6宇宙最強は伊達ではなかったことを認める。

「ヒット…おめえ…」

「これが俺のフルパワーだ…全力を出すなど久しぶりだ。」

次の瞬間、悟空の急所にヒットの手痛い攻撃が連続で叩き込まれた。

「ごはっ!?」

急所を連続で突かれた悟空はよろめいて後退する。

「ブルーとやらになったことで気が抜けていたようだな、面白いように攻撃が入ったぞ」

今のヒットはフルパワーとなったことで悟空との力の差が無くなっているため、時飛ばしが通じている。

「へへ…確かにちょっと油断していたみてえだ。けど、次はこうはいかねえぞ」

そう、通常状態とゴッドの状態でしていたように0.1秒後の動きを予想するまでであると悟空は思っていたのだが、次の瞬間、悟空が吹っ飛ぶ。

「なっ!?」

今度は一切の油断はなかったはずなのにブルーの状態で対応出来なかった。

「どうやら、貴様との闘いでフルパワー状態での時飛ばしの時間が伸びたようだ。」

どうやら悟空との試合が修行となり、ヒットの能力が強化されたようだ。

「こ、こいつは参ったな…今のオラのブルーのフルパワーでも対応出来ねえなんて…どうやらオラも力を振り絞るしかねえようだな」

「貴様も本気ではなかったと言うのか?」

「いや、今も本気さ…オラが自力で出せるのはな…こいつはもうちょっと完成させてから悟林に見せるつもりだったけどよ。そうは言ってられねえみてえだ。」

「お父さん…まさか…」

「見せてやっぞ!超サイヤ人ブルーでの界王拳を!!」

「界王拳だと!?」

今までどの変身でも使ってこなかった界王拳をブルーの状態で発動することに界王拳の威力を知っている者の1人であるベジータが驚く。

「はあああああ…!!」

ブルーのオーラの上に界王拳の赤いオーラが放出され、戦闘力が大幅に上昇していく。

「こ、これは…!?」

戦闘力が急激に上昇していく悟空にヒットの表情が強張る。

「10倍だああああっ!!」

10倍界王拳を発動した悟空は自分の状態を確認する。

「超サイヤ人ブルーでの界王拳…!」

「だが、界王拳は戦闘力を上げる代わりに体力を大幅に持っていく…!ブルーとは言え体が保つのか…!?」

悟空の超サイヤブルー状態での界王拳、ブルー界王拳のパワーに誰もが驚愕するものの、界王拳のデメリットを知っている者からすれば体はどうなるのか分からない状態だ。

「…どうやら上手くいったみてえだ。昔、悟林が言っていた超サイヤ人と界王拳の合わせ技なんだ。あの時は無理だと思ってたけど、気のコントロールを極めて体も強くなるブルーなら出来ると思ってたんだ。」

今までの変身では界王拳との併用が出来ないほどに負担があり、体も追い付かないと言う理由があったが、今の自分と神の如く肉体が強化されるブルーならば出来ると思ってぶっつけ本番で試したのだ。

「この状況でそのような技を完成させたと言うのか」

「まだまだ、この技は完成してねえ。久しぶりの界王拳だかんな。久しぶり過ぎて、いつ気の調整を間違えるのか怖くて仕方ねえや」

何せ界王拳よりも負担の小さい超サイヤ人に変身出来るようになってから界王拳を使う機会など無かった悟空はナメック星でのフリーザとの闘い以来の使用となる。

「さあて、行くぞヒット!!」

不慣れなブルー界王拳では長期戦は不利と理解している悟空は短期決戦を仕掛け、一気にヒットとの距離を詰めた。

ヒットは時飛ばしを発動するが、10倍化した戦闘力の前では時間が伸びた時飛ばしも通用せずに滅多打ちにされる。

「無駄だぞ。今のオラが立っている場所はおめえの時飛ばしの遥か先だ!」

最後には蹴り飛ばし、追撃のためにかめはめ波の体勢に入る。

「この一発に全てを込める!かめはめ波ぁーっ!!」

ヒットに向かって放たれた10倍界王拳かめはめ波の威力はヴァドスの作ったドームが容易く破壊される程であった。

「私の作ったドームがまさか壊れるとは…!」

「ヒットは…!?ヒットはどうした!?」

煙が晴れるとはヒットはかめはめ波をギリギリでかわしていた。

「チッ…避けられたか…」

恐らくあの一瞬でまた時飛ばしの時間が伸びたのだろう。

こんな僅かな時間で成長したヒットに悟空も久しぶりに良いライバルに出会えたと喜ぶ。

開いたドームの穴から酸素が漏れだし、観客達のほとんどがドーム内から押し出されそうになる。

「ヴァドス!早く直せ!」

「はいはい」

ヴァドスが杖を向けると穴が修復されて元通りとなる。

ヒットはゆっくりと武舞台に着地した。

「…世の中にお前みたいな奴がいるとはな…敵ながら感動したぞ」

「へへへ…おめえもな、あんなギリギリで成長しちまうとは思わなかったぞ…ヒット、おめえは確か殺し屋なんだってな」

「…だからどうした?」

「本当はルールのせいで出せねえ殺しの技があるんじゃねえのか?」

この試合のルールでは殺しは厳禁であるため、つまりこの試合中ではヒットは本当の意味で本気を出せないのだ。

「…だったら何なんだ?」

「おめえはまだまだ強えってことだ。今度また別のところで闘ってくれよな!」

「…今度?」

「よっ」

悟空は界王拳どころか超サイヤ人ブルーの変身さえ解除すると悟空はゆっくりと後退し、自ら場外に落ちた。

そのことに対戦相手のヒットどころかほとんどの者が驚愕する。

「おーい!レフリー、オラ落っこっちゃったぞー!」

「え?あ…はい。ご…悟空選手場外…!よって、ヒット選手の勝利ーっ!!」

「な、何やってるんだあいつは!?」

「ちょっと待ってビルス様…お父さん」

「ん?何だ悟林?」

「えい」

ビルスが怒鳴る前に悟空が棄権した理由を何となく察した悟林は軽ーく悟空の体をつつくと次の瞬間、悟空の表情が強張った。

「い"っ!い"っでぇーーーーっ!!」

ブルー界王拳の反動のせいで体がガタガタの状態では悟林の軽いつつきですら悶絶するほどであった。

「なるほど、悟空さんは平気そうに見えてどうやら限界だったようですね。不慣れな変身であんなパワーアップを重ねてはこうなるでしょう」

ブルー界王拳は超サイヤ人、超サイヤ人ゴッド、そして界王拳を同時と言う出鱈目な気の使い方をするので寧ろこの程度で済んで良かったと言うべきだろう。

「お父さん、界王拳の練習しようね」

「お、おお…そうだなぁ…いちちちち…」

痛みで涙目になっている悟空に苦笑しながら今度は悟林が出る。

「おい!悟林!勝てよっ!?絶対に勝てよっ!?」

「大丈夫だよビルス様、お父さんが攻略法を見せてくれたし…」

「えー、それではヒット選手と闘う次の選手は孫悟林選手ですーっ!!」

悟林が武舞台に立ち、神の気を纏って潜在能力を解放することで究極神化を果たす。

「あ、あいつ!変身もしないであいつらと同じくらいのパワーを!」

驚くシャンパに老界王神は自慢気に笑う。

「ふふーん、強くて当たり前じゃ!儂がパワーアップさせたんじゃからな!」

「肉体に与えられる負荷は最小限、且つ戦闘力は最大限に引き出す事を目的とした力の解放のようですね」

ヴァドスが悟林の潜在能力解放をそう分析する。

「ですが、老界王神様の力でも強くなった悟林さんの力を全て発揮しているようではなさそうですね」

「おい、ウイス。だったらあいつの潜在能力を本当の意味で解放してやれ、あの爺さんの力の介入はお前なら出来るだろ?」

「それでは意味がありません、真の力を解放出来るようにするのもまた修行ですから」

「お前は奴らのような変身は出来ないのか?」

「私は基本的に超サイヤ人にはならない。必要がないからね…私は私のやり方で強くなってお父さん達を超える!」

「変身して強くなる種族かと思えば変身せずとも強くなる…サイヤ人とは不思議な種族だ」

「そうそう、始める前に言っとくけどヒットさん…死なないでね?」

「何?」

「究極界王拳!!」

界王拳を発動し、そのパワーを10倍、20倍へと跳ね上げていく。

「こ、これは…!」

「はあっ!!」

一気に距離を詰めてヒットの鳩尾に肘打ちを叩き込むと場外へと叩き落とした。

一瞬で終わった試合に誰もが沈黙するが、一番最初に沈黙を破ったのはビルスであった。

「よーーーしっ!!でかしたぞ悟林ーーーーっ!!」

「おい、悟空、ベジータ…俺は神の気を感じ取れんが…とてつもないレベルにまで跳ね上がったのは分かるぞ」

「20倍…じゃねえな…はは、凄えや本当に」

「チッ、おい悟林…最後の界王拳は何倍まで上げていたんだ?」

「30倍」

「な、何だと…?」

「さ、30倍…!?」

衝撃の倍率に界王拳を使っている悟空は唖然となる。

「30倍までなら使えるようになって、一瞬だけなら40倍にまで上げられるようになったよ…いやあ、大変だったよ、界王拳の試行錯誤をしてようやくだから…でも何となくコツは掴んだからまだまだ上を目指すよ」

「どこまで上げるつもりなんだお前は?」

「最低でも50倍、理想は100倍だよ。それ以上行けるならやってみるけどね」

「50倍に100倍かぁ…ブルーじゃ無理かもしんねえなぁ…」

10倍でこの反動なのだからブルー界王拳の50倍や100倍など夢のまた夢だ。

ベジータは鼻を鳴らすとそっぽを向いた。

「フン、50倍でも100倍でも上げたきゃ勝手に上げやがれ。だが、俺はもっと強くなって見せる!!」

「そうこなくちゃ!負けないよ私も!!」

「………」

「どうしたピッコロ?」

悟林を見て沈黙しているピッコロに悟空が気付いて尋ねる。

「いや、あいつを見ていると、悟飯も修行をしていれば悟林と同じレベルになれたのかもしれんと思ってな。無論、あいつの今の生き方を否定するわけではないがな。悟飯は超一流の戦士に必要な素質を十二分に備えているが、致命的な弱点がある。」

「致命的な弱点?」

「それは戦士になり切れない甘さだ。甘さと言う点ではお前も同じだが、お前は如何なる状況でも全力を、時にはそれ以上の力を発揮出来る男だ」

闘いにおいて甘さは邪魔だ。

悟空も悟飯も甘いという意味では変わらないが悟空は常に持てる能力の限界を超えて力を出し切ることの出来る男だった。

悟空がいれば何とかなるという圧倒的な何かを持っており、それは誰もが認めざるを得ない孫悟空という男の大きさだった。

一方悟飯は、どれだけ闘いと修行の経験を重ねても力の全てを出し切ることはなかった。

強敵にも怯まず挑み、傷つきながらも己を磨き上げていくのは今の悟飯には足りない気持ちである。

元々悟飯は武道への興味もなく、必要に迫られ、自分も何かしなければならないと言う責任感から修行をしていた。

互いに競い合う相手も、競い合うことで生まれる楽しさを感じる土台も悟飯にはないのだ。

未来悟飯は未来悟林が死んでから代わりの師匠として未来トランクスを鍛えていたので、育成の際に武道の楽しさを感じたのだろう。

闘い以外での武道の楽しさを。

未来に帰る前に未来トランクスとの修行内容で色々話し合ったこともあったが、とても楽しそうであったのは覚えている。

「どんどん強くなっていくあいつを見ていると、やはり惜しくなってくる。あいつの才能がな」

「そうだなぁ…でもよ、未来の悟飯みてえになって欲しいかって思うとなぁ…」

未来悟飯の強さは大事な仲間や家族を失い、夢さえ諦めるほどの苦難があったからだ。

平和な時代を生きていられるこっちの悟飯がそんな風になって欲しいとは父親としては思わない。

「ああ、分かっている。それくらいはな…」

ピッコロは宇宙を見上げて未来へ帰っていった別次元の弟子に想いを馳せるのであった。

余談だが、途中で全王と言う全ての宇宙の頂点に立つ神が現れて全宇宙規模の格闘大会を近いうちに開催することになるのであった。 
 

 
後書き
悟林のヒット攻略法、戦闘力を大きく上回って一撃で沈める。

ブルー界王拳と究極界王拳は同倍率の短期決戦なら予知レベルの反射速度や洞察力を持ったブルー界王拳、長期戦なら通常状態と燃費が変わらない究極界王拳に軍配が上がります。

強くなりすぎて老界王神の力でも解放しきれない潜在能力は全パワーで結構強くなります。

その上での100倍界王拳はやり過ぎかなと思う反面、身勝手や我儘、果ては合体まで悟空とベジータにはあるからこれくらいはしないとついてこれなくなるんですよね。

未来悟飯は未来トランクスの育成の際に笑っていたりするので、育成方面かもしれませんけど武道の楽しさを感じていたのかもしれませんね。 
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