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ドラゴンボールZ~孫悟空の娘~

作者:setuna
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未来トランクス編
  第46話

 
前書き
未来トランクス編に入る前に未来へ帰還した彼らを少し書きます。 

 
10年以上前に激戦の末に悟林の犠牲を出しながらも悟飯がセルを倒し、未来へと帰還した未来の戦士の2人。

幾多の困難を乗り越えて戻ってきた世界。

今度は自分の世界の平和を取り戻す…そのための力は既に過去での修行で身につけている。

タイムマシンがカプセルコーポレーションの近くに出現し、早速シェルターに向かうと、そこで帰りを待っていてくれた悟飯とトランクスの家族。

「「みんな、ただいま!!」」

「パパー!」

悟飯の足元に駆け寄る小さな女の子。

この辛い時代で悟飯が出会い、守って慈しんできた自分と愛する女性との間に生まれた宝物だ。

「ただいま、パン…ビーデルも…」

「お帰りなさい、悟飯」

ちゃんと帰ってくるのか不安で仕方なかったのだろう。

安心のあまり泣いている愛娘の頭を撫でながら悟飯は妻であるビーデルに微笑む。

ビーデルも悟飯の表情が柔らかいものになっていることに気付いて、きっと過去で色んなことがあったのだろう。

「トランクス君もお帰り!」

「ただいま、パンちゃん。母さんもマイも無事で良かった」

「お帰り…あんたちょっと背が伸びてないか?」

「あら、本当。どうしちゃったのよ?」

「はい、過去には精神と時の部屋という所が神様の神殿にあってそこでは1年間がたった1日で過ぎてしまうんです」

「ふ~ん、良く分からないけど良かったわ、無事に帰ってきてくれて!で、どうだったの?その顔だと良い事あったみたいだけど」

2人の清々しい顔にブルマはいい方向に進んだ事は気付いたようだ。

「立ち話もなんだからあっちで聞かせて?今、丁度お湯沸かしてたのよ」

そう告げてブルマが指差す先にあるポットからは柔らかな湯気を立てていた。

テーブルには並んだカップの横には今では貴重なインスタントコーヒーの瓶が並べられていた。

それで気付いた何時もより大きなポット。

そのポットに掛けられた弱火。

それは何時この2人が帰ってきても温かい飲み物が飲めるようにとブルマ達の悟飯達への気遣いだった。

悟飯の分はパンが淹れると言って聞かず、悟飯はちょっと薄いコーヒーをありがたく受け取った。

そしてここにいるブルマ達に悟飯とトランクスが過去の出来事を話す。

特に過去の悟林が悟飯が結婚していると知ると、とてつもなく失礼なことをトランクスに聞いたことを悟飯が不貞腐れながら教えると何となく想像がついてブルマもビーデルもマイも腹を抱えて爆笑した。

そして当時のことを思い出したトランクスも悪いと思いながら笑ってしまう。

「あーっはっはっはっ!!確かに!昔の悟飯君は勉強ばっかりだって悟林ちゃん愚痴ってたもの、そう言うのも無理はないわね」

「全く…姉さんは俺を何だと思ってたんだか…」

「“勉強にのめり込むと一歩も外に出ようとしない勉強マニア”でしょ?本当に極端な姉弟よねあんた達」

片や戦闘マニアの姉、片や勉強マニアの弟。

本当に極端な姉弟だ。

そして悟空は生き残れたものの、悟林が死んでしまったことを伝える。

「そっか、過去の悟林ちゃん…あたし達の時代の悟林ちゃんよりも早く死んじゃったのか…でも、過去の悟飯君が仇を討ったのね…」

「はい…父さんは、やっぱり母さんの言ったようにただの冷たい人じゃありませんでした。母さんが飛行機から落ちた時は母さんを助けてくれたり、俺がセルにやられた時、真剣になって怒ってくれたんです」

「で、でしょ!?だからそう言ったじゃない!」

「はい」

「(へ…へえ~、あのベジータが…あいつ、あんな一面もあったんだ…)」

「ブルマさん、意外そうな顔してますね」

「へ!?い、いやあ、そんなことないわよ!」

誤魔化そうとするブルマに悟飯は思わず笑ってしまう。

「別に無理に誤魔化そうとしなくて良いですよブルマさん。俺もベジータさんがブルマさんを助けたのには驚いたし……でも、ベジータさんにとってブルマさんやトランクスは、父さんや姉さん以外で一番近い存在じゃないですか…ベジータさんが気付いていなかっただけで2人への想いは確実に育まれていたんだと思います。」

「そうかしら…」

コーヒーを啜りながらこっちのベジータもそうだったのだろうかとブルマも考える。

「それにしても…誰なんでしょうね、悟林さんにあんなことを言った奴は?」

「あんなことって?」

「はい、悟林さんを何とか生き返らせようと思ったんですが、悟林さんに拒否された時に理由を聞いたんです。悟林さんが生まれてから大変なことばかり起きていると…本当に何て失礼な奴なんだ」

「悟林さんにかい!?何て失礼な…!」

トランクスの呟きにブルマが尋ねると、悟林が蘇生を拒否した理由をトランクスが言うと、幼い(正確には赤ん坊にまで退行した)頃から世話になった恩人にそんなことを言った人物にマイも怒りを露にする。

「ああ、確かに姉さんは時にはフリーザや人造人間よりも怖い時があったけど、優しい人だった。本当に信じられませんよねブルマさん…ブルマさん?」

同意を求めるようにブルマの方を向くと表情が引き攣っているブルマの姿があった。

「ブルマさん、表情が引き攣ってますけど?」

お代わりのコーヒーを用意してくれたビーデルがブルマの表情の変化に首を傾げる。

「母さん…?」

「「ブルマさん…?」」

「な、何でもないわよ…ホホホ…」

「「「………」」」

3人に凝視されて居心地の悪そうなブルマは観念したのか口を開いた。

「多分、それはあたしよ」

「「え!?」」

「あの、どうしてそんなことを?」

悟林へ暴言を吐いた犯人は何とブルマだったことにトランクスとマイは驚き、悟飯はどうしてそんなことを言ったのかを尋ねた。

「あたしとあっちのあたしじゃ、大分事情が変わってると思うけど根本的な問題は変わってないはずよ…昔、ヤムチャとの交際で色々参っていた時、偶然見かけた悟林ちゃんに相談したのよ。こっちは真剣に悩んでるのに悟林ちゃんはヤムチャと上手くいかないならベジータとくっつけば良いんじゃないのとか言い出したのよ。あたし、当時はベジータのことをそんな風に見てなかったから当然大激怒よ。あいつには散々な思いさせられたし…あたしなりに真剣に悩んでるのに適当に言う悟林ちゃんに頭に来て、悟林ちゃんが生まれてからベジータとかフリーザとか碌なことがないって怒鳴っちゃったのよ」

「な、なるほど…でも姉さんはそう言うのに本当に興味がないからなぁ…と言うかブルマさん、何でよりによって姉さんに相談したんですか?」

父親の悟空ほどではないにしろ、大人になってからも花より団子、色気より戦闘を地で行く姉に相談するよりも寧ろ母親のチチの方が適任だと思うのだが。

「言わないでよ、あの時のあたしはどうかしてたのよ!」

本当に当時の自分は何で幼い悟林に相談したのか…自分で自分が分からない。

まさか、悟林が蘇生を拒否した理由がそんなこととは思わなかったが、悟林が自ら危険に突っ込んでいくことを考えると強ち間違いと思えない。

微妙な空気が漂うが、ラジオからの緊急放送がされた。

「よし、行くぞトランクス!」

「はい!」

「大丈夫なの?あんた達?」

「大丈夫です!そのために過去へ行って父さんや姉さん達に会ってきたんですよ!」

悟飯はそう言うと笑った。

父親に似た頼りになる…どんなことでもどうにかしてくれそうな力強い表情だった。

「そう…気を付けて、2人共」

「はい!パンちゃん、みんなを頼んだよ」

「うん!」

次世代のサイヤ人であるパンにみんなを任せると2人は超サイヤ人に変身した。

超化した姿はここにいる全員が見たことがあるが、自分達の知っている超化とはまるで違うことに気付く。

「俺も向こうの姉さんや俺に負けていられない。この時代も平和にしてみせる!」

「みんなの仇も討ってくるよ!」

ブルマの目には悟飯とトランクスの背中が悟空とベジータに重なった。

飛び立って行った2人を見てブルマはようやくこの地獄が終わるのだと確信する。

「孫君…悟飯君はあんたに負けないくらいに頼もしくなったわよ。ベジータ…どうせあんたは地獄にいるんだろうけど、少しくらいは褒めてやりなさいよ?」

悟飯とトランクスは人造人間の現れたパセリシティへ向かい、悟飯が老人を銃殺しようとしている17号を蹴り飛ばし、トランクスが老人を離れた場所に移動させると悟飯の隣に立った。

「貴様らもここまでだ。片付けてやる」

瓦礫から出てきた17号は痛みに顔を引き攣らせていた。

「っ…しばらく見ないうちに少しは成長したようだな…だが、少し成長したところで俺達に敵うと思うか?」

「今度はやられないように修行した。やられるのは貴様達の番だ!」

過去での修行によって今までの弱かった自分から抜け出した今の悟飯達には過去よりも弱いこちらの人造人間達に恐れる理由などどこにもない。

「俺達の番?ふ、ふふふ…ガッカリさせて悪いが、前にお前達と闘った時は半分のパワーも使っていなかったんだぞ」

「それがどうした?」

「今度は逃がしはしない…今度こそ殺してやるぞ!」

半分のパワーも使っていなかったと脅しても悟飯もトランクスの表情は全く変わらないどころか平然としている。

17号はフルパワーで悟飯を殺そうと手刀を構えて突撃するが、悟飯はそれを片手で簡単に掴み止めると顔が驚愕に染まった17号に手を翳し、気功波で消し飛ばした。

この世界では少し前まで悟飯やトランクスがどれだけ気を込めてもろくなダメージにならなかったのに、何の工夫もないただの気の放出で17号は死に、トランクスと向き合っていた18号は17号があっさりと殺されてしまったことに動揺を隠せない。

「あ、あんた…一体何をしたんだよ!?何であんたなんかに17号が…」

「今までの修行の成果が貴様達を追い越した。それだけだ…今のは貴様らに殺されたピッコロさん達の…」

「そして、今度は悟林さんの仇だ!」

トランクスも気を解放して18号を睨むと18号は激昂して飛び掛かってきた。

「不意打ちで17号を倒したくらいでいい気になるんじゃないよ!」

しかし、それよりも早くトランクスが動き、18号の顎を蹴り上げて上空に打ち上げた。

「消えろーーーーっ!!」

「っ!!」

18号が気付いた時には既にトランクスの放った特大の魔閃光が18号に迫り、悲鳴を上げることさえ出来ずにそのまま消し飛ばされた。

悟空が心臓病で死んでから現れ、この世界のピッコロ達を殺し、長きに渡って罪のない人々を虐殺してきた人造人間の消滅をようやく実感した2人は超化を解除した。

「終わりましたね…」

「ああ…今のところはな…まだ…奴が残っている…」

何らかの方法で人造人間を倒した別の世界の自分達を殺して過去へ行くことになるセル。

奴を倒さない限りはこの世に安息はない。

念のためにドクター・ゲロの研究所へ行き、過去でセルがいた場所に向かったものの、既にセルはカプセルを出ており、この地球のどこかで眠っているようだ。

「なら、奴が現れる3年後…俺達の手で奴を倒してやる…!」

「ああ、3年間修行してな…俺達もなるぞ、姉さんと過去の俺が到達した変身…超サイヤ人2に!」

「はい!」

もう2人は過去に行くつもりはなかったため、帰る際に悟空とピッコロと相談して修行のアドバイスをもらっていたのだ。

セルを倒した後も脅威が来ないとも限らない。

これからも平和を守り続けるためには超サイヤ人2になれるようになっておくべきだ。

こうして2人はセルが現れる3年間にみっちりと修行し、超サイヤ人2の変身を物にしてセルを倒すことに成功するのであった。 
 

 
後書き
次はゲームの設定も盛り込んどきます。 
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