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イベリス

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第三十六話 恐ろしい強さその七

「それでもね」
「ヤクルトって強い時期もあればね」
「弱い時期もあって」
「結構不安定よね」
「シーズンによって強さが変わるわね」
「そうなのよね」
 咲もそうだと答えた。
「怪我人多かったりして」
「それね」
「ピッチャーの人が靭帯切るのよね」
「それが多いのよね」
「それが問題で」
 それでというのだ。
「どうもね」
「強い時と弱い時があるわね」
「ヤクルトの場合は」
「その差が激しいのよね」
「ええ、けれど最下位でないなら」
 それならというのだ。
「いいわ」
「それでいいの」
「最下位でないなら」
「それで」
「優勝したいけれど」 
 その気持ちに嘘はないがというのだ。
「けれどね」
「それでもなのね」
「ええ、それはね」
 どうしてもというのだ。
「最下位は嫌だから」
「最下位だけは嫌」
「そういうことね」
「誰でも贔屓のチームが最下位になるの嫌だし」
「小山さんもなのね」
「その気持ちが強いから」
 だからだというのだ。
「私はね」
「ヤクルトが最下位でないといい」
「そう思ってるのね」
「優勝したいけれど」
「まずはその気持ちがあるのね」
「だからね」  
 それでというのだ。
「最下位でないのが第一よ」
「ヤクルトがそうでないといい」
「何かネガティブだけれど」
「その気持ちわかるわ」
「やっぱり贔屓のチームが最下位って嫌よね」
「最悪よね」
「ヤクルトって何回も最下位になってるし」
 これもこのチームの歴史である、日本一になった翌年にそうなったこともある。他ならぬ広岡監督の頃のことだ。
「そうだったからね」
「最下位でないといい」
「まずは」
「そう思ってるのね」
「やっぱり」
「だからね」
 それでというのだ。
「まずはそれよ、ただ優勝したいにしても」
「阪神本当に強いわね」
「隙ないわよね」
「その最強だった頃の西武より強いわね」
「まさに無敵の虎よ」
「特に巨人に対してはね」
「巨人に負けるって」
 阪神がというのだ。
「シーズンに一回か二回よね」
「流石に全勝はないけれど」
「それでもね」
「もう巨人に圧倒的に強いから、阪神」
「殆ど完封で二桁得点ざらでね」
「巨人毎試合フルボッコだから」
 まさにそうした状況だとだ、クラスメイト達も話した。 
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