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イベリス

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第三十六話 恐ろしい強さその六

「ID野球と再生工場ね」
「それが有名よね」
「それでヤクルト強くなっているけれど」
「そう言われてるけれど」
「西武の野球も入ってるのね」
「それで強くもなったのね」
「そうよね、ヤクルトにしても」
 咲はあらためて思った。
「そうだったのね」
「西武だけじゃなく色々なチームに影響与えてるのね」
「ヤクルトにしてもだしね」
「パリーグなんか多いわね」
「ソフトバンクとか楽天とかもで」
「ロッテも伊東さん監督だったしね」
「あの頃の西武って凄いわね」
 咲の今の言葉はしみじみとしたものだった。
「無茶苦茶強くて」
「しかも指導者になった人が多くて」
「今の野球にも影響与えてるのね」
「あの頃の西武は凄いわね」
「つくづくね」
「そのことがわかったわ、しかしね」 
 ここで咲はこうも言った。
「監督だった広岡さんと森さんって巨人の人よね」
「元々はそうなのよね」
「お二人共現役の時はね」
「広岡さんはショートで森さんはキャッチャー」
「活躍したのよね」
「じゃあ西武は巨人の流れ?」
 邪悪がそのまま具現化したかの様なそのチームのというのだ、この世で巨人程邪悪な存在はいない。
「あの」
「そうなるわね」
「というか咲ちゃんヤクルトファンだけれど」
「お二人共ヤクルトにいたじゃない」
「西武の前はね」
「それで日本一にしてるでしょ」
「実はそうなのよね」
 咲もその通りと答えた。
「最初は」
「そうでしょ、ヤクルトでしょ」
「元々はね」
「それがヤクルトを出ることになって」
「それで西武に誘われてだったでしょ」
「根本さんに」
「ええ、じゃあヤクルトから西武に渡って」 
 咲はあらめて考えて述べた。
「またヤクルトに戻った?」
「そうなる?」
「ヤクルトの場合は」
「広岡さんと森さんの経歴考えたら」
「そうね、何かヤクルトも色々あったから」
 咲はあらためて言った。
「野村さんだけじゃないってことね」
「そういうことね」
「要するにね」
「まあどのチームも色々あるけれどね」
「何もないチームもないわね」
「そうね、ヤクルトは最初弱かったのよね」
 咲は創設期から振り返って話した。
「国鉄だった時は」
「物凄い昔ね」
「国鉄って」
「金田さんの頃で」
「その頃は金田さんのチームだったわね」
「それでサンケイになって」
 このことには国鉄の財政難も背景にあった、プロ野球の歴史もまた世相と無関係ではないということだ。
「そこからヤクルトになって」
「広岡さんが監督になって」
「それから弱い時期もあって」
「そこから野村さんが監督になって」
「また低迷した時期もあって」
「今に至るわね」
「幸い最下位にはなっていないけれど」
 これは巨人が毎年なっているからだ。 
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