イベリス
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第三十五話 テストの結果を受けてその六
「こっちの妖怪じゃないわよ」
「関東は関東の妖怪がいるのよね」
「多分ね、東京は七不思議ね」
「本所の方の」
「それがあるけれど鬼のお話はないわね」
「そうなのね」
「あれは西の方ね」
鬼の話の特徴である、日本を東西に分けると東よりも西の方が多いのだ。特に京都にそうなっている。
「関東じゃ少ないわよ」
「そうなのね」
「ええ、ただ埼玉の人もね」
「人間よね」
「お父さん変な漫画読んだせいでね」
「そう言ってるだけなのね」
「ええ、だからね」
それでというのだ。
「別にね」
「気にしなくていいのね」
「別にね」
「そうなのね」
「そもそもお父さん普通に埼玉の人と接してるでしょ」
「差別してるか」
「偏見はあまりないから」
父はそうした人だというのだ。
「だからね」
「埼玉の人でも」
「実は偏見なくお付き合いしてるから」
だからだというのだ。
「別にね」
「気にしなくていいのね」
「そのうち埼玉にも慣れるわよ」
仕事で行っているうちにというのだ。
「今はこう言ってても」
「それでもなのね」
「そう、だからね」
「それでなのね」
「気にしないで」
「お父さんには埼玉に行ってもらうのね」
「通勤時間は多少長くなるけれど」
それでもというのだ。
「特にね」
「これといってね」
「埼玉も賑やかだし」
「というか東京を軸にメガロポリスになってるのよね」
「ええ、関東はね」
「そこに横浜とか川崎とか千葉もあって」
「埼玉もよ」
「だから賑やかよね」
「埼玉といっても」
それでもというのだ。
「別にね」
「田舎じゃないわね」
「そう、だから」
「お父さんも慣れるわね」
「お父さんは都会じゃないと暮らせないけれど」
これは東京で生まれ育ったからだ、このことは母も咲も同じだ。
「けれどね」
「埼玉も都会だから」
「問題ないわよ」
「そうね、コンビニだってあるし」
「何でもあるから」
埼玉県もというのだ。
「今だけよ、お父さんもそう言うのは」
「そうよね、じゃあ」
「今は愚痴に付き合いましょう」
「それだけね」
「そう、それだけよ」
「それじゃあ」
「今日は聞いてあげましょう」
父の愚痴をというのだ。
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