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イベリス

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第二十一話 勉学もその五

「思い出したけれど」
「あの人もいい大学出てるし」
「それであれよ」
「人の粗捜しばかりで」
「何かあると鬼の首取ったみたいに騒いで」
「自分のことは知らんふりでね」
「あの人どう見てもね」
 その他人にあれこれ言う顔を思い出しながら話した。
「頭よくないわよね」
「それ以上に性格が、だけれどね」
「いい人じゃないわね」
「どう考えても」
「それで頭もね」
「それと小さな政党の党首の人」
 咲はこの人物のことも思い出した。
「やっぱり女の人だけれどね」
「あの人東大なのよね」
「しかも法学部」
「それで弁護士だったけれど」
「東大法学部首席だったのよね」
 ただ卒業しただけでなくというのだ。
「それでもね」
「あの人喋り方聞いても」
「言ってる内容聞いても」
「どう考えてもね」
「あの人頭よくないわよね」
「東大法学部首席で」
 兎に角勉強は出来るがというのだ。
「弁護士になったけれど」
「それであれだから」
「学校の勉強出来ても」
「それでも頭がいいか悪いかってね」
「また別ね」
「そうね、学校の成績はよくありたいけれど」
 それでもとだ、咲は言った。
「けれどね」
「それでもよね」
「ああした風にはなりたくないわね」
「人間として頭もよくなりたいわ」
「せめて悪くはなりたくないわ」
「ああはなりまいね」
 咲はこうも言った。
「出来る限りね」
「何ていうかね」
「人間勉強出来てもね」
「あそこまで酷いと」
「ちょっとね」
「そうよね、元政治家さんでも」 
 ここでこうも言った咲だった。
「いるしね、学者さんで」
「どの人?」
「そういう手の人だってのはわかるけれど」
「どの人?」
「あの髪の毛を赤くしてキノコカットにして」
 その人の外見のことを思い出しつつ話した。
「四角い眼鏡かけてて四角いお顔で扇子持ってる」
「ああ、あの人」
「あの人ね」
「あの人もね」
「お勉強出来ても」
「言ってること聞いてたら」 
 それこそというのだ。
「さっきの人達と変わらないっていうか」
「もっと酷いわよね」
「あの人は」
「あれで学者さん?」
「信じられないわよね」
「学者さんでも」
 頭がいいと言われる職業でもというのだ。 
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