八条学園騒動記
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第六百二十八話 冷気と風その二
「本当にね」
「そうなのね」
「そもそもズボンってね」
ナンはこの服の話もした、話をしつつヨーグルトを食べる。
「遊牧民から生まれたから」
「馬に乗るから」
「スカートだとね」
「乗りにくいわね」
「だからね」
「服を分けたのね」
「そうなの、ズボンが出来るまでは」
それまではというと。
「裸でね」
「馬に乗ってたの」
「スキタイ人とかそうだったらしいわよ」
「古代ギリシアのあの人達ね」
「何でも実はケンタウロスってスキタイ人だったらしいけれど」
ギリシア神話に出て来る上半身は人で下半身は四本足の馬の種族である、野蛮で好色な種族として描かれている。
「あの人達はね」
「裸でなの」
「馬に乗っていたらしいわ」
「足が馬に擦れない?」
「だからずっと乗ってるから」
馬にというのだ。
「太腿のお肌もね」
「強くなっていたの」
「そうじゃないの?私達だってね」
今のモンゴル人もというのだ。
「太腿の内側の皮はね」
「分厚いの」
「そうなってるわよ」
「そうなるのね」
「いつも馬に乗ってるとね、下半身はしっかりして」
そうしてというのだ。
「皮もね」
「分厚くなるの」
「そうなの、それでズボンはね」
「モンゴル発祥ね」
「それで私もよ」
ナン自身もというのだ。
「ズボンを穿いてね」
「そうしてなのね」
「いつも馬に乗ってるのよ」
「そうなのね」
「モンゴル人はね」
「スカートは穿かない」
「そういうことよ、あとね」
ナンはさらに話した。
「女の人って草原にいたら体格が変わるの」
「どういうこと?」
「恰幅がよくなるのよ」
「つまり太るってことね」
「そうなるの」
「寒いから?」
「それでなの」
その為にというのだ。
「男の人もね」
「太るのね」
「筋肉は自然について」
「馬に乗っていて」
「それで遊牧生活でいつも作業していて」
そこに力仕事があることは言うまでもない。
「筋肉ついて」
「寒さを凌ぐ為に」
「ゲルとか服だけじゃなくて」
それに加えてというのだ。
「身体にもね」
「脂肪がつくの」
「そうなるの」
「あまり色気のないお話ね」
「さもないとね」
「暮らしていけないのね」
「草原で痩せている中年の人は」
そうした女性はというのだ。
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