八条学園騒動記
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第六百二十八話 冷気と風その三
「あまりね」
「いないのね」
「そうなの、男の人も」
女性だけでなくというのだ。
「結構ね」
「太るのね」
「そうなるの」
「そうなのね」
「とはいっても標準よ」
普通の太り方だというのだ。
「そんな丸々とはね」
「ならないのね」
「普通の太り方よ」
「中年太り?」
「それ位よ」
「そうなのね」
「別に二十世紀のアメリカ人みたいに」
この時代でも当時のアメリカ人の肥満は言われている、あまりにも極端な肥満であったとしてである。
「太らないわ」
「あの太り方はね」
コゼットもこう言った。
「一歩間違えなくてもね」
「命の危険はあるわね」
「そこまでじゃないのね」
「力士位にもね」
「太らないのね」
「モンゴル相撲の人は別として」
この時代でもモンゴルの国技の一つである。
「太り方は普通よ」
「中年太りってことね」
「そう、あとね」
「あと?」
「太っても」
それでもというのだ。
「ずっと馬に乗って肉体労働だから」
「筋肉はあるのね」
「脂肪の下はね」
「筋肉なのね」
「ええ、そうなのよ」
「成程ね、しかしモンゴル人って精悍な騎馬兵だってね」
コゼットはモンゴル帝国の話をした。
「イメージがあったけれど」
「それ若い人達でね」
「おじさんになると太るの」
「モンゴル帝国は国民皆兵だったのよ」
「そうだったの」
「だから若い人もお年寄りもね」
老若問わずというのだ。
「男の人はね」
「兵隊さんだったのね」
「もう徴兵どころか」
当時のモンゴル人にとってはというのだ。
「普通にしているこだったのよ」
「戦うことは」
「狩りをするのと同じよ」
それ位だったというのだ。
「もうね」
「何でもなかったの」
「だからおじさんどころかお爺さんでもね」
「兵隊さんだったの」
「それでおじさんは」
この年代の人はというと。
「やっぱりね」
「中年だから」
「しかも寒い草原にいるから」
「太っていてもなの」
「それでもね」
「不思議じゃなかったのね」
「そうだったのよ」
コゼットにお茶を飲みながら話した。
「モンゴル人の兵隊さんは」
「ちょっとイメージ狂うわね」
「あと小柄だったしね」
「ああ、それはね」
モンゴル兵が小柄と言われてだ、コゼットは平然と返した。
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