八条学園騒動記
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第六百二十八話 冷気と風その一
冷気と風
ナンはコゼットと一緒にモンゴル料理、羊肉や乳製品そして馬乳と混ぜているお茶を飲みながら彼女にさらに話した。
「兎に角草原は寒いわ」
「風を遮るものがなくて」
「しかもおおむね大陸の真ん中だから」
「所謂大陸性気候ね」
「だからね」
「寒いのね」
「春と夏と秋はあるのよ」
季節の話もした。
「一応ね」
「一応なのね」
「この三つの季節はあっという間に終わって」
そうしてというのだ。
「冬がね」
「長いのね」
「それが草原なのよ」
「それでその冬をゲルで凌ぐのね」
「そうしてるわ」
「そのゲルの中は暖かいのね」
「今のゲルは特殊な生地だから」
それで作っていてというのだ。
「だからね」
「冬でも暖かいのね」
「そうなの、暖房を入れたら」
そうしたらというと。
「もうすぐにね」
「暖かくなるのね」
「春みたいにね、服もね」
こちらもというのだ。
「やっぱりね」
「冬に強いのね」
「そうした仕様だから」
それ故にというのだ。
「だからね」
「暖かいのね、服も」
「そうなの」
こうコゼットに話した。
「昔からね」
「草原に合わせた服ね」
「それで女の人もいつもズボンよ」
「今のあんたもよね」
「馬に乗るから」
だからだというのだ。
「服はね」
「女の人もズボンなのね」
「老若男女皆乗るのよ」
その馬にというのだ。
「だったらね」
「ズボンね」
「誰でもね」
「スカートはないのね」
「民族衣装、草原にいるとね」
「ないのね」
「街ではスカートの人もいるけれど」
それでもというのだ。
「やっぱりね」
「スカートの人はなのね」
「草原じゃいないわ」
「馬に乗るから」
「当然私もね」
「そういえばあんたスカート穿かないわね」
常にモンゴル人の民族衣装である、これがナンのスタイルでコゼットが今見ているそれもまたそうである。
「いつも」
「そうでしょ」
「それはやっぱり」
「馬に乗っているからよ」
「それでよね」
「モンゴル人の足は四本でね」
馬の足であることは言うまでもない。
「それだったらね」
「穿くのはズボンね」
「他のものはないわ」
絶対にというのだ。
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