八条学園騒動記
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第六百十五話 またコーヒーを淹れるその四
「そうしたことがわかっているのもね」
「イスラムだね」
「アッラーは全てご存知だよ」
「それでイスラムは寛容だね」
「うん、人間は完璧じゃない」
「そのこともわかっているから」
「だからだよ、異教徒も認めるし」
このことはコーランからのことである、ジズヤさえ払えば他宗教の信仰を認める。それと共にムスリムに改宗した時の特典も見せる。
「そしてそうしたこともね」
「わかってるね」
「そうだよ」
まさにというのだ。
「イスラムは」
「だからマフィアも」
「いないに越したことはなくても」
そう思っていてもというのだ。
「けれどね」
「それでもだね」
「必要悪って考えは」
「受け入れられるね」
「いいか悪いかは別にして」
そうした基準は抜きにしてというのだ。
「そうだよ」
「そうだね」
「まあね、完全に殺菌したら」
アンネットも言った。
「いい細菌まで殺して」
「よくないね」
「そうなのよね」
こう菅に答えた。
「それはそれで」
「身体の中にも色々細菌いるのよね」
ジュディはこのことを話した。
「いい菌も悪い菌も」
「いい菌まで全部殺したらね」
「かえって身体の動きがね」
「悪くなるよ」
菅はジュディにも話した。
「それはそれでね」
「よく言われるけれどね」
「それで世の中には表と裏があって」
「裏もないと」
「世の中は成り立たないから」
「それも事実よね」
「ヤクザ屋さんは邪魔でも」
連合ではマフィアとヤクザは同義語である、どちらにしてもアウトロー裏社会の人間とみなされているのだ。
「存在は」
「必要悪でね」
「少ないに越したことはなくても」
「それでもね」
「必要で」
そしてというのだ。
「全部いなくなることは」
「それはそれでよくないのね」
「そうなんだよね」
「そこが難しいわね」
「僕もそう思うよ」
菅はジュディにも答えた。
「どうしてもね」
「だからあの連中もいなくならないってことね」
カトリは自分が中心となって通報した彼等のことを話した。
「どうしても」
「世の中はね」
「完全に清浄な世界はなくて」
「出来るだけ清浄な世界はあるよ」
「そっちを目指すべきね」
「やっぱりそうだね」
菅はこう答えた。
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